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映画『アルカトラズからの脱出』色あせない脱獄映画の傑作でしょう!!

この映画は、1979年に公開されたクリント・イーストウッド主演、ドン・シーゲル監督のアメリカ映画です。脱獄不可能と言われたアルカトラズ刑務所から1962年6月11日の夜に脱獄したフランク・モリスの実話を基に制作されました。

 

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ドン・シーゲル監督とクリント・イーストウッドのコンビは1969年の『マンハッタン無宿』に始まり、『真昼の死闘』(1970年)、『白い肌の異常な夜』(1971年)、そして2人にとって代表作となった1971年の『ダーティハリー』まで3年間で4作品連続となっています。それから6年後にこの映画が生まれたことになります。

 

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この映画を観ていると、ニコラス・ケイジショーン・コネリーの名作『ザ・ロック』(1996年)が思い浮かびます。現実に旧アルカトラズ刑務所にテロリストが立て篭もったら、唯一アルカトラズ刑務所を脱獄した伝説の男・フランク・モリスを呼ぶ事になるのがもっともな話です。フランク・モリスはその後生死が不明という事ですが、凶悪犯ながらIQが133であったとか、そんなことが映画的に実際に起きて居たら世の中の面白味も増しますね。

 

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この40年の間に何本もの脱走もの、刑務所ものの映画がありましたが、いまだ色あせていませんし後に影響を与えているとしか思えないようなところが確かにありますね。


グリーンマイル』(1996年)でも使われてましたリトマス(フランク・ロンジオ)のネズミはいい薬味となっているし、この映画をもっと感動的にすると『ショーシャンクの空に』(1994年)になって、脱走の仕方を更にエンターティメントするとスタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの『大脱出』(2013年)になってきます。


こうしてみると、この映画は脱獄映画の王道と言ってもいいでしょう。まあ実際に脱獄に成功した実話の映画化なので当然かもしれません。それにしても当時40代後半のクリント・イーストウッドの所作や佇まいが渋すぎて、派手なアクションも、印象的な音楽もなく、ひたすら脱獄への道程が描写される地味な映画ですが、イーストウッドの存在感だけでも観る者を引きつけてしまいます。

 

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冒頭からアルカトラズ刑務所の象徴である所長(パトリック・マクグーハン)とモリス (クリント・イーストウッド) の対立構造が、この物語の明確な軸として描かれています。そこに他の囚人とのエピソードが差し込まれ、脱獄の準備と脱獄シーンの緊張感ある描写が続く後半へと話が進んでいきます。

 

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脱獄映画についての解説では、どうしても脱獄のシーンやそのための小道具ばかりに注目が集まってしまいがちですが、所長とモリスの対立構造という脚本上の明確な構成によって、この映画の面白みが増していることに間違いはないでしょう。