凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『アンストッパブル』と『暴走機関車』同じ題材なのですが?!

列車の屋根で仁王立ちに前をにらむデンゼル・ワシントンのシーンで、機関車の屋根で風に立ち向かうジョン・ボイドを思い出しました。

 

どちらも、日本では見られないアメリカ大陸仕様の巨大な機関車がほとんど主役の映画です。

 

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内容は『アンストッパブル』が仕事に責任と使命感によって命がけで挑むのに対し、『暴走機関車』は脱獄囚の執念と狂気を描いていて同じノンストップアクションムービーでも大いに異なります。

 

目次

 

1.『アンストッパブル

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この映画は、2001年5月にオハイオ州で発生したCSX8888号暴走事故を題材に制作されました。

デンゼル・ワシントンの安定した重厚な演技とスピーディーなストリー展開、迫力ある映像ともっと評価されていい映画のように思いますが、実話であって、それも10年も経っていないとなれば、事実に引っ張られ、逆に事実に抑えられてしまうのでしょうか。

 

事実に反している、ご都合が多いとかのご意見はあまり気にならないのですが、車掌が仕事に対してあまりにも簡単に豹変したのには拍子外れでした。

 

アンストッパブルあらすじ

最新鋭ディーゼル機関車「777号」と「767号」の重連での牽引による39両編成・全長800mの貨物列車の操車中に、作業員・デューイ(イーサン・サプリー)とギリース(T・J・ミラー)の不用意なミスにより、無人走行を始めました。更にミスが重なり列車は加速し猛スピードで暴走していきました。

 

一方では、新人の車掌のウィル・コルソン(クリス・パイン)とベテラン機関士のフランク・バーンズ(デンゼル・ワシントン)とは機関車1206号に乗車します。ウィルはコネ入社で経験がないものの指揮系統上は絶対である車掌ですが、妻との離婚裁判の最中でした。フランクもまた鉄道会社がコスト削減のために整理解雇言い渡されたベテランの一人で、ウィルのような縁故による新人採用を行っていることに不満を持っているものの、誠実に仕事に取り組んでいました。

 

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777号は19万リットルのディーゼル燃料に加え、発火性の強い有毒化学物質(溶融フェノール)を大量に積載していて、進行先には、市街地のスタントンに続いており、そこには「スタントンの大曲り」と呼ばれる有名な急カーブ箇所があり、このままでは市街地で壮絶な脱線事故を起こして大きな被害が出るのは必至の状況でした。

 

操車場長・コニー・フーパー(ロザリオ・ドーソン)は、連邦鉄道局職員のスコット・ワーナー(ケヴィン・コリガン)の助言を受けながら、運行部長のオスカー・ガルビン(ケヴィン・ダン)の誤った命令に対抗しながら必死に事故回避努力します。

 

鉄道のプロフェッショナルであるコニー、バーンズが知識と経験を駆使してマンモス機関車に対峙しますが、ことごとく跳ね返されてしまいます。結局手作業で貨車のブレーキを絞め最後はバーンズの指示で急カーブでの絶妙のタイミングで最後のブレーキで減速し、辛うじて脱線を免れました。

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実話について

CSX8888号暴走事故(CSX 8888 incident、別名 クレイジーエイツ事故)は、2001年にアメリカ・オハイオ州で発生しました。CSXトランスポーテーションの貨物列車が暴走した事故で、SD40-2型機関車と47両の貨車が機関士不在の状態で最高時速110km、走行距離延べ105.6km、走行時間約2時間を暴走し、最終的に追いついた別の機関車を後部に連結して急カーブまで残りわずか2kmの地点で停車させました。

2.『暴走機関車

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マニーの最後になんでわざわざ死ななければならないのか、という大きな疑問が残ります。暴走機関車は暴走が止まり、同乗者は助かりそうな展開なのに、憎らしい仇役と止まらない機関車に残ってしまいます。逃げることに疲れたのか、よくわかりませんがジョン・ヴォイトの狂気の演技に結末を納得させられてしまいます。

 

アカデミー賞の主演男優賞、助演男優賞編集賞にノミネートされたように、ジョン・ヴォイトのみならず、脱獄の相棒役のエリック・ロバーツのチャラい演技、時代を感じさせない迫力ある映像と見どころの多い映画ではあります。

 

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暴走機関車あらすじ

重犯罪者刑務所からの脱獄を繰り返した囚人マニー(ジョン・ヴォイト)は、所長のランケン(ジョン・P・ライアン)に目の敵にされて3年間もの間懲罰房に入れられていましたが、マニーを英雄視している洗濯係のバック(エリック・ロバーツ)と共に脱獄を企てまんまと刑務所を脱出します。

 

操車場に辿り着いた二人は、ちょうど構内に入ってた4重連ディーゼル機関車に隠れて乗り込みました。アラスカからの脱出を図るわけですが、発車直後に機関士が心臓発作を起こして意識を失い機関車から転落してしまいます。機関出力が全開のままだったために非常ブレーキも焼き切れ、列車は無人の状態で暴走を始めてしまいました。


指令所のフランクは(カイル・T・ヘフナー)、機関車を無傷で停止させるために指令システムを稼働させようとしますが、機関車の速度は上がり続け、運行部長のマクドナルド(ケネス・マクミラン)は、会社の損失回避を優先して機関車を脱線させるようにフランクに命令しました。

 

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余談

この映画は黒澤明菊島隆三(ノンクレジット)、小國英雄(ノンクレジット)が書いた脚本を基にしていますが、大幅に改稿されていて、黒澤明は完成した映画を批判していたそうです。黒澤明が企画した段階では、ヘンリー・フォンダピーター・フォークの主演を予定していました。