凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『ハートビート』ミュージカル嫌いでも面白いダンス映画です?!

ブレイクダンス、ヒップホップ、コンテンポラリー何がなんで、どうか、まるで解りません。今まで知ってるダンス映画と言えば『ウエスト・サイド物語』(1961年)、『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977年)、『フラッシュダンス』(1983年)くらいでお寒い限りです。そのまさに門外漢の筆者がなんとなく観始めてついに最後まで観てしまったのがこの映画『ハートビート』(2016年)です。

 

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どちらかと言えばミュージカルが苦手で、お芝居の中から突然歌い出し踊り始めるのが納得いかない普通のミュージカル嫌いなのですが、もともとダンススクールでのコンクールに向けての苦節と成功までのお話となれば踊り始めるのに何の不思議もありません。

となれば、わりと自然に入ってきます。それに全くわけのわからないヒッポホップにお馴染みのクラッシクが絡んでくるとオッ!と引き付けられてきます。

 

物語は昔からどこにでもあった夢を追う若者たちを描いたものですが、本物のダンサーたちによるダンスバトルが圧巻で、ややこしいストーリーは不要で予想した通りに寸分なく違わないで、終焉を迎えます。

全体的には王道的なストーリーで、作中のダンスと音楽がそれを引き留めています。イケメンが奏でる鋭くも儚いバイオリンの音や、美女が踊る幻想的なバレエ、そして力強いヒップホップ。全てが融合してエネルギーに満ち溢れています。

 

ロシアの名門マリインスキー・バレエで活躍したキーナン・カンパがルビー役で映画初出演し、ミュージシャンとしても活躍する英国イケメンの新星ニコラス・ガリツィンがジョニー役を演じています。共演は「エクス・マキナ」にも出演し、英国ロイヤル・バレエ・スクール出身のソノヤ・ミズノ、さらに、世界最高峰のダンサー62人が参加して披露する多種多彩なダンスパフォーマンスが素人目にも圧巻です。

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縦横無尽に展開する、地下鉄ホームでのダンス・バトルも注目シーンのひとつで、『ウエスト・サイド物語』のジェット団とシャーク団のダンス・バトルを思わせオマージュしているのかと思わせます。

 

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パーティでのバイオリン対決とのコラボレーションは、ある意味クライマックスよりも素晴らしかく、主人公ルビーを取り合う形でライバル同士がバイオリン演奏で対決し、それに合わせてヒップホップ・ダンサーたちがタキシード姿で踊りを見せます。

バーのシーンではアイリッシュ音楽と共演までして、どこまで見せてくれるのと思わせてくれます。

そしてクライマックスはクラシックとヒップホップ、音楽とダンスがジャンルの垣根を越えて融合し、世界最高峰のダンサーたちが繰り出すパフォーマンスの本気ぶりに圧倒されます。

映画評論家としてのLiLiCoは、
「パーティ会場で小物を使いながらの振り付けは、ダンスが上手くてもなかなかできないですよね。アイデアもすごくいい。この人たちのフォーメーション、手の向きとか完璧。演奏対決も、バイオリンの弓がどんどん切れて、クモの糸が散っていくみたいになるのがエロティックで大好き。どれだけこの戦いが激しいのかがすごく伝わる。それがヒロインへの愛の強さでもあって。ダンス・シーンとしても、戦い、演奏シーンとしてもいい。ダンス映画の歴史に残るんだろうなと思います」と絶賛しています。

 

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出演者と監督があまり名を知られていないため話題になりませんでしたが、これは青春映画の中でも間違いなく観ておくべき1本でしょう。