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映画『マッドマックス2』世紀の名作バイオレンス・ムービーです!!

この映画『マッドマックス2(Mad Max2:The Road Warrior)』は、1981年公開のオーストラリアの映画です。『マッドマックス』(1979年)の続編で、前作のヒットを受け、約10倍の費用をかけて製作されたバイオレンス・アクション映画です。

大国同士による戦争の後の荒廃した舞台設定、モヒカンヘアーで暴れまわる暴走族などを描いた世界観は、1980年代全般のSF映画をはじめ、『北斗の拳』など多くの作品に影響を与えました。

目次

 

 

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1.制作

舞台は前作のオーストラリアの片田舎から荒野に変わり、マックス以外の登場人物も全て一新されています。また、前作では当時のオーストラリアで社会問題となっていた暴走族の根絶というテーマを含有していたが、本作はより激しいカーチェイスを前面に押し出したアクション映画としての側面が強くなっています。製作費は前作の約10倍ですが、その大部分はマシーンの改造費に当てられていました。

 

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アメリカ公開時のタイトルは、『Mad Max 2』ではなく副題の『The Road Warrior』でした。当時のアメリカでは前作の知名度が低く、『マッドマックス』の続編という認識が成り立ちにくかったためです。

配役も決まった撮影開始前、ギブスンとスペンスはミラー監督から役を練り込ませるために『シェーン』と『用心棒』の2作品の鑑賞を指示され、撮影にのぞみました。


2. ストーリー

1)プロローグ

この時代、二大大国が争い始め世界が戦場と化し、人々は燃料を失い車は走れなくなりました。指導者の話し合いも空しく、全ては破壊されて文明は滅び、略奪と恐怖の時代となったのです。

道路は地獄となり、狂暴な暴走集団はガソリンを求め、人々は打ちのめされるだけでした。特殊警察M.F.P.(Main Force Patrol)の警官だったマックス・ロカタンスキー(メル・ギブソン)も全てを失い、絶望の末に孤独の世界に迷い込んでいました。


2)荒っぽい出会い

パワーアップした”インターセプター”に乗るマックスは、荒涼としたアウトバックを走行中、ガソリンの残り残量を気にしながら、暴走集団のウェズ・ジョーンズ(ヴァーノン・ウェルズ)らに追われています。ウェズは仲間の矢を腕に受けながらもマックスの追跡を続けるものの、諦めてその場を引き上げました。

大破した車のガソリンを抜いたマックスは走行を続け、道端のオートジャイロを見つけました。その場を調べたマックスは、地中から現れたジャイロ・キャプテン(ブルース・スペンス)にボウガンを向けられたのでした。

 

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ジャイロは車に乗っていた犬に襲われ、彼にナイフを突きつけたマックスは、ガソリンが大量にある場所を知っていると逃げ口上しました。

ジャイロを連れてその場に案内させたマックスは、石油を採掘して精製している者達の存在を知らされるのでした。


3)無法者集団

その場を遠望していると、暴走無法者集団のリーダーであるヒューマンガス(ケル・ニルソン)が、ウェズらを従えて攻め込もうとしていました。

 

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マックスは、その場の攻防戦の様子を窺い、ウェズらが精製所から出た男女の車に襲い掛かるのを目撃しました。
ウェズらが去った後その場に向かったマックスは、残っていた一人を殴り倒し、傷ついた男を助けて精製所に向かうのでした。

精製所のリーダー、パッパガーロ(マイク・プレストン)に外で起きたことを聞かれたマックスは、同行していた女が殺されたことを伝えるのですが、女戦士(ヴァージニア・ヘイ)にヒューマンガスらの仲間だと疑われたマックスは、助けた男がガソリンを提供することを約束したと言い張りました。

パッパガーロは、男が死んだために約束は無効だとマックスに伝え、彼を始末するよう指示しました。


4)最後通告

捕えた人質を連れた集団が現れ、ヒューマンガスがガソリンを渡すよう要求ました。その時、トンネルを伝って外に出た野性児のような少年フェラル・キッド(エミール・ミンティ)は、鋼鉄製のブーメランでウェズのパートナーを殺しました。

激怒するウェズが攻撃を仕掛けようとするのを、話し合いに来たと言うヒューマンガスは、ウェズを羽交い絞めにして気絶させ制止します。

 

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ヒューマンガスは、相手を脅しガソリンを手に入れるために、一日待って大人しく立ち去れば命は助けると言ってその場を去りました。


5)苦肉の決断

精製所内では、ヒューマンガスの提案を受け入れる意見と、自由を手に入れる唯一の手段であるこの場とガソリンを守るべきだと言うパッパガーロの考えが対立します。

そこで、マックスが話に割って入り、タンクローリーを運ぶトレーラーがある場所を知っていることを伝えました。トレーラーを手に入れて戻って来ると約束するマックスは、車にガソリンを入れてこの場から出してほしいと要求するのでした。

それが許されたマックスは、ディーゼル・オイルとガソリンを担いで外に出ました。拘束してあったジャイロの元に向かったマックスは、逃げた彼を追い、ジャイロを捕えたマックスは、オートジャイロでトレーラーが放置された場所に向かい、それを動かして精製所を目指すのでした。


6)脱出準備

パッパガーロは、夜の間にこの場を脱出することを考えますが、トレーラーを調べたメカニック(スティーブ・J・スピアーズ)は、修理に24時間かかることを伝え、それを聞いて、パッパガーロは、12時間で直すよう指示し、傷の手当てを受けました。

マックスを疑っていた女戦士は、彼に謝罪し、他の者達もマックスに感謝しますが、彼はその場を出て行くことを伝えるのでした。

丘の上に現れたヒューマンガスは、人質を殺そうとしながら精製所内の全員の命を奪うと警告します。

 

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ジャイロは女性を連れて飛び立とうとしますが、彼女は直前になり、家族同然の仲間を見捨てられないと言って残ることになりました。

マックスが出て行くことを知ったパッパガーロは、トレーラーの運転を頼み、その後、自分達と共に暮らすことを提案します。アウトバックで独り暮らすことに意味があるのか問われたマックスは、何か過去に辛い思いをしたのではないかとも聞かれるのでした。

不幸は自分だけではないと言われ、妻子を想い動揺したマックスは、パッパガーロを殴ってしまいます。辛い立場ではあるが、この場の者達は誇りをもって生きていると言うパッパガーロは、マックスが外の悪党どもと同じ考えだと言い放ちます。

部下にマックスを行かせるのかを聞かれたパッパガーロは、約束を守った彼は立派な男であり、トレーラーは自分が運転すると伝えるのでした。


7)散々な出戻り

マックスは、引き止めるジャイロの言葉も聞かずに、インターセプターで走り去りますが、ウェズらはマックスを追って街道で襲いかかり、インターセプターは横転してしまいます。

インターセプターのガソリンを抜きマックスは生かすよう指示したウェズでしたが、車は仕掛けられた爆破装置で爆発しました。
ウェズはその場を離れ、マックスは現れたジャイロに助けられ、皆の元へ戻りました。


8)後がない出発

トレーラーの修理は終わり、傷を負ったマックスがそれを運転することを申し出て彼らは出発し、待ち構えていたヒューマンガスの攻撃を受けながらそれを突破しました。精製所はヒューマンガスの一味の一部が占拠しようとしますが、仕掛けられた時限爆弾で木端微塵に爆破されました。


9)決戦

タンクローリーを守っていた女戦士やメカニックは追ってきたウェズらに殺され、トレーラーと並走していたパッパガーロがヒューマンガスに殺されました。

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激しい攻防が続き、マックスは、ボンネットに転がったショットガンの弾をキッドに拾うよう指示しますが、生きていたウェズが襲い掛かります。そこへ、正面から現れたヒューマンガスに向かい突進したマックスは、ウェズと共に彼の車を大破させました。

タンクローリーも横転し、ヒューマンガスの死と共に集団は引き上げました。


10)エピローグ

無事だったマックスは少年を抱きかかえて車を降り、タンクローリーに積載されていたのが砂であったことを確認するのでした。パッパガーロの計画通り、燃料はバスに隠されていたのでした

キッドは後を追ってきた仲間達の元に戻り、ジャイロが新たなリーダーとなって太陽の楽園を目指しました。

その後、”ロードウォリアー”マックスの伝説が成長して北部族のリーダーとなったキッドの記憶の中だけに生きるのでした。


3.エピソード

1)時代背景

しばしば本作の設定を「核戦争後の世界」とすることがありますが、実際には劇中で核戦争があったという言及はありません。土地が荒野なのはアウトバックOutback)といって、オーストラリアの内陸部に広がる、砂漠を中心とする広大な人口希薄地帯を指していて、この舞台の地方の自然環境です。


2)時系列撮影

現場は物語の時系列に沿った進行で撮影が行われました。この撮影方法は非効率的でコストも悪い手段でしたがミラーも解っていた上で作品に取り掛かりました。


3)セリフ

本作は、言わずと知れたメル・ギブソンをスターに押し上げた作品ですが、彼のセリフは劇中を通して17回しかありません。

 

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4)悪役1

ヒューマンガスを演じたケル・ニルソンはスウェーデンの元重量挙げ選手で、オーストラリア人の妻の仕事が女優業で、夫婦共に役者としてオーストラリアにて仕事を始めた頃、本作のヒューマンガス役に抜擢されました。頭髪がほとんど残っていない脈打つ頭皮は被り物の装身具です。


5)悪役2

ヴァーノン・ウェルズ演ずるウェズの衣装は、セクシーな尻が露出している構造になっていますが、ロケ地となった砂漠地帯は寒暖の差が激しく、上は50℃の灼熱から下は氷点下まで、大きく、かつ急激に気温が変化するので、気温が大きく下がると人間の尻が紫色に変色する現象を利用してヴァーノンの尻を温度計代わりにして撮影スケジュールを調整したそうです。

 

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4.まとめ

土地も人も荒廃した世界で、打たれても撃たれてもニヒルに立ち向かうマッドマックスの姿は、続編にとどまらず、本作以降幾多のエンターティメントを生んできました。

前作のヒットを踏まえてとは言え、思い切った世界観の変更は大ヒットとなったばかりか、このバイオレンステイストは、ゲームや他の分野にまで多大な影響を及ぼした訳で、いわば世紀の名作と言って良いでしょう。