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映画『アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ』フレンチ・スーパー・アクション・シリーズ第2弾です!!

 

この映画『アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ(Banlieue 13 - Ultimatum)』は、2009年のフランスのアクション映画。2004年の映画『アルティメット』の続編です。

目次

 

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1.紹介

リュック・ベッソンが製作・脚本を手掛けたCGに頼らない肉体派アクション映画の続編です。主演は前作に引き続き『ダイハード4.0』のシリル・ラファエル、『バビロンA.D.』のダビッド・ベルです。

近未来のパリ、さまざまな人種が混在するパリ郊外のバンリュー13地区はギャングの巣窟と化していました。ある日、13地区で警官が殺された事件をきっかけに地区の一掃計画が持ち上がります。その裏に陰謀を嗅ぎつけたレイトと潜入捜査官のダミアンは、再びタッグを組んで闇の組織に挑んでいきます。


2.ストーリー

1)プロローグ

ダミアン(シリル・ラファエリ)とレイト(ダヴィッド・ベル)が13番地区の爆破という国防長官の企みを暴いてから3年が過ぎました。

13番地区は相変わらず犯罪の温床地で、さまざまな人種からなるコミュニティができていました。
依然として状況が改善されないので、レイトは一人で壁を取り除こうとしていました。
ダミアンの方は相変わらず麻薬密売の摘発を続け、成果を上げていました。


2)事件勃発

場面は代わり、夜の路上に駐車してあった不審な車に警官が職務質問中、後からやってきた警察に射殺されます。
現場にいたサミール達少年は一部始終を撮影していました。射殺された警官は、車ごと持ち運ばれて、13番地区の入り口に捨て置かれます。
レイトは、このときDISSというナンバープレートをつけた車を目撃していました。
警察の車に驚いた見張りは、DISSが物陰から放った銃声に驚いて、車に向かって一斉に発砲します。警察はすでに死んでいましたが、13番地区の人間によって射殺されたと誤認されるのでした。


3)事態に対処

ダミアンは、麻薬売買グループを検挙した翌日に、麻薬売買の容疑で逮捕されます。何者かに罠に嵌められたと気づき、留置場からレイトの電話に助けを求めました。

パリでは、13番地区の人間が警察官を射殺したという事態に、騒動が各地で起きていました。この事態の収拾に共和国大統領はガスマン(ダニエル・デュヴァル)を任命します。
ガスマンは13番地区の住民を強制移住させ無人にして、犯罪の温床となっている5棟のビルを爆破、破壊することを提案します。爆破してできた土地を企業に誘致して、雇用を創出するように迫りました。

 

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4)事件の黒幕

一方で、レイトは、サミールから警官射殺事件の真相を撮影したSDカードを渡されます。自宅に戻ったレイトは、留守番電話に残されているダミアンのメッセージを聞きながら、SDの映像を確認します。
レイトは以前見かけたDISSの車の記憶と照らし合わせて、警官射殺事件は、でっち上げであることを理解しました。

自宅までやってきたDISSの刺客から逃れて、レイトはダミアンの収容されている留置所に到着します。看守から留置場の鍵を奪って、レイトはダミアンを救出します。レイトは一連の騒動はDISSの陰謀によるものと説明しました。
DISSとは秘密保安介入局の略であり、局長はガスマンにほかありませんでした。ダミアンは以前DISSの引き抜きを断っていました。


5)大反撃

13番地区に逃げ込んだダミアンとレイトは、アジア系グループの女頭タオ(エロディ・ユン)と手を組みます。タオと作戦を練る間にも、軍が13番地区の5棟のビル屋上に爆撃マークを設置していきました。

2人は13番地区の腕利きを集めてパリの司令官本部に乗り込みます。大統領官邸では、ガスマンが早く爆破命令を出すように急かしましたが、大統領は躊躇していました。住民が全員退避するまで命令は出さないとして、避難完了の報告を待ちます。

 

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そのとき、ダミアン達が部屋に到着し、ガスマンの陰謀によって今回の騒動が起きたと明かします。ガスマンは大統領を人質に取りますが、一瞬の隙を突いて大統領を助け出し、ガスマンを倒すことに成功しました。


6)エピローグ

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大統領はレイトたちに13番地区の再建を約束しました。レイトは大統領に問いかけます。いっそのこと、ゼロから新しく作り直したほうが早いのではないかと。大統領は一同が見守る中、爆破スイッチを押して、13番地区の5棟のビルを爆破したところで物語は終わります。

 

 


3.四方山話

1)ダミアンのアクション

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ダミアン役のシリル・ラファエリのアクションは、どのカテゴリーの格闘技なんでしょう?

経歴をみると、1980年、6歳から武道を兄の影響で始め、ヌンチャク、松濤館流空手などを習得し。1988年、14歳の時にアニー・フラテリーニのサーカス学校に入学し、アクロバットの訓練を受けました。

演劇にも興味を持ち、1991年、俳優出演したミュージカル『才女気取り』(Les Précieuses ridicules)で注目されてから、コメディ・ミュージカル『スターマニア』に4年間出演するなどして、舞台・テレビ・映画でスタントマンとして活躍します。
武術太極拳やテコンドーも行なうアクションを駆使し、格闘シーンの振り付けも担当するようになりました。

道家としても活躍し数々の大会で入賞。1999年のカンフーのワールドカップで銅メダルを獲得した後は、主に映画俳優業に専念しています。2000年公開の映画『TAXi2』では、悪の忍者役で華麗なヌンチャクさばきを披露しました。これが映画俳優としての本格的なデビューとなりました。

マーシャルアーツという話もありますが、フランス人でもあり空手もしくはカンフーの発展形なのでしょう。


2)レイトのアクション

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レイト役のダヴィッド・ベルのアクションはというと、これはもうパルクールでしょう。

では、パルクールとは、フランスの軍事訓練から発展して生まれた、走る・跳ぶ・登るといった移動所作に重点を置く、スポーツもしくは動作鍛錬です。

障害物があるコースを自分の身体能力だけで素早く滑らかに通り抜けるため、走る・跳ぶ・登るの基本に加えて、壁や地形を活かして飛び移る・飛び降りる・回転して受け身をとるといったダイナミックな動作も繰り返し行われます。

学校の陸上競技体操競技に満足できなかったダヴィッドは、父レイモンから"Le parcours"というトレーニングを教わりました。
レイモンは自身の経験を基にした鍛錬をそう呼んでいて、物事を行う最善の方法(兵士や消防士として)を見つけるためにこれを何度も繰り返してきた、と息子に話しました。
ダヴィッドは、たゆまぬトレーニングの重要性に気付き、父親から"Le parcours"を学んで没頭し、自身の鍛錬に集中するべく15歳で学校を辞めました。

その後、パリの様々なショーに出演したことで、その高いパフォーマンスはフランスのエンターテイメント業界で注目されるようになりました。


4.まとめ

走って、跳んで、宙を舞う。屋根の上を駆け抜け、建物からダイブし、壁をよじ登るそのアクロバティックな動きに、スピーディな音楽が加われば、凡庸な銃撃戦より興奮すること間違いありません。

ラファエリ、ベルの2人に、主役としての華がないのが弱点ですが、コンビで出ると余り気になりません。

レイトの仲間たちの漫画チックな戦法や、楽観的なラストなど、物語は平凡ですが、だからこそ、本作の本物嗜好のアクションが際立ちます。見え見えのCGやワイヤー・アクションにはない迫力が際立ちます。