凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『隠し砦の三悪人』完璧なエンターティメント!楽しませてくれます!!

 60年も前の映画、しかもモノクロ、さらに2時間を優に超す長尺で、黒澤作品ではありますがちょっと取っ掛かりにくかったのですが、冒頭からなんとなく見たようなシーンで始まり、知らない間に黒澤映画ワールドに取り込まれてしまいました。

 

太平(千秋実)と又七(藤原釜足)の凸凹コンビが互いに悪態をつきながら荒れ地をヨタヨタ歩いています。時代と対象は著しく異なりますが、あの『スターウォーズ エピソード4 新たなる希望』でのCー3POとR2ーD2の掛け合いにイメージはそのまんまです。

 

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調べてみれば、ジョージ・ルーカススターウォーズを作る上で影響を受けたと公言しているのは有名な話でした。こちらが本家であったわけです。

 

お話は、いかにして無理難題満載の敵中突破を成し遂げるか、というただ一点に集中しているという単純明快なストーリーをスリリングでハラハラ・ドキドキな展開で繰り広げ、観る者を惹き付けて止みません。黒澤映画の醍醐味でしょうが、ジョージ・ルーカススティーブン・スピルバーグがお手本にするのも当たり前ですね。

 

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黒澤映画初のシネマスコープ画で、大画面いっぱいに躍動するダイナミックなアクションとカメラワークがもうひとつの魅力で、真壁六郎太(三船敏郎)が刀を構え手放しで馬に乗り、約1分に渡り騎馬武者を追い掛ける場面は、西部劇さながら、時代劇ではめったに見られないシーンです。

 

実際に三船敏郎がスタント無しで演じているとのことで、危険な疾走する馬上で両手放しで斬り合いをさせる黒澤監督も監督ならそれをやってのける役者も役者で、背筋がピシッと伸びて、憤怒の形相で敵を追撃する姿の三船敏郎はアクション俳優としても一流であることを見せつけてくれます。

 

ただ、それに続く、田所兵衛(藤田進)との槍対決は、5分15秒の長尺ながらちょっと長すぎるばかりか、薙刀でもあるまいし、槍は突くもので、切りつけたり、振り回したりしてはいけません。

 

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薪を集めて踊り狂う地元の火祭りでは、日劇ダンシングチームをエキストラで火祭りの女達にしたて、ちょっと浮いたようではありますが、リアルなドラマでもないので、スパイス的なシーンとなって迫力ある踊りは終盤を盛り上げます。

 

まさに娯楽映画の神髄がこれでもかと籠められているかのようで、危機また危機の連続を知恵と奇策で次から次へと切り抜けていきます。

 

三船敏郎の非の打ち所がない問答無用のカッコ良さ、千秋実藤原釜足の凸凹コンビのコミカルさ、「裏切り御免!」の藤田進の潔さ、この映画が映画初出演だった上原美佐の見事なまでの男勝りな姫ぶりとみごとな太腿などなど、登場人物全員が魅力的に躍動します。

 

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突っ込みどころ満載ですが、突っ込むような映画でもありませんし、単純に楽しませてくれる映画であり、今となってはその仕掛けを楽しむ映画なのでしょう。