映画『レッドブル』シュワちゃん好きにはこたえられません?!
この映画『レッドブル(Red Heat)』は、1988年公開の監督ウォルター・ヒル、主演アーノルド・シュワルツェネッガー、共演ジェームズ・ベルーシのアメリカのアクション映画です。
目次
1.紹介
ソ連崩壊前の米ソ冷戦下、社会情勢などをやや大袈裟に描いてはいますが、迫力あるアクションとして観ればまずまず楽しめる映画となっています。
アメリカ映画として初めて、モスクワ市内および赤の広場でのロケを許可された作品です。ただし、アクション・シーンはブダペストやオーストリアで撮影されています。
『ターミネーター』(1984年)の主人公を思わせる、無表情な堅物警官アーノルド・シュワルツェネッガーと、いかにもアメリカ人らしい奔放な刑事役のジェームズ・ベルーシのタイプの違うデカ同士の、噛み合わないやり取りは結構笑わせてくれます。
アーノルド・シュワルツェネッガーは、当時、話題作が目白押しで、いよいよハリウッドの頂点を極めようとしていた頃の作品で、顔のつやもよく、見事な肉体美も素晴しく、訛りがかくせる少ないセリフで、外国人らしさがよく出ています。
よくいるタイプのアメリカ人、はみだし刑事をジェームズ・ベルーシは好演し、この頃が最も充実していた時期だと言えるでしょう。
若々しいローレンス・フィッシュバーンがみられます。
2.ストーリー
1)プロローグ
東西冷戦時代後期のソ連、モスクワです。モスクワ市警特捜部の中でもひと際屈強な肉体と強さを誇る警務大尉イワン・ダンコ(アーノルド・シュワルツェネッガー)大尉は、相棒のユーリ・オガルコフ(オレグ・ヴィドフ)らと共に、ソ連とアメリカ間の麻薬密売ルートを仕切る麻薬王ヴィクター・ロスタビリ(エド・オロス)のコカイン取引現場を押さえて追いつめようとしました。ところが、隙を突いたヴィクターはユーリを殺害して逃亡していきました。
2)ダンコ、シカゴへ
その半年後。アメリカ・シカゴに逃れたヴィクターは現地で逮捕され収監されていました。知らせを受けたダンコはヴィクターをソ連に送還する任務を命じられてシカゴに飛び、シカゴ市警のはみ出し者刑事アート・リジック(ジェームズ・ベルーシ)と、その相棒ギャラガー(リチャード・ブライト)に出迎えられました。
無口で堅物なダンコはお調子者で口の軽いリジックと反りが合わず、この日は安い宿に泊まることにしました。
3)ヴィクター逃亡
翌日、ルー・ドネリー警部(ピーター・ボイル)と会ったダンコは、早速リジックやギャラガーと共にヴィクターの引き渡しに向かいましたが、そこに警備員を装ったヴィクターの手下たちや協力関係にある地元ギャング団が襲い掛かり、ギャラガーは射殺されて、ヴィクターは逃亡してしまいました。
この際、ダンコは意識朦朧となりながらも床に落ちていたヴィクターの鍵を拾いました。
任務に失敗したダンコはモスクワへの強制送還を命じられ、リジックとは反りが合わない上司チャーリー・スタッブス警部補(ローレンス・フィッシュバーン)やドネリーに責められてしまいます。
しかし、ダンコはヴィクターを逮捕するまでは何が何でもモスクワに戻らないと決意、ドネリーもあえてダンコを泳がせることにし、リジックはダンコの見張り役を押し付けられました。
4)ヴィクターの誘い
性格も正反対のダンコとリジックはいがみ合いながらも協力して捜査を進め、やがて金のためにヴィクターと結婚したというエアロビクスインストラクターの“キャット”ことキャサリン・マンゼッティ(ジーナ・ガーション)に近づきました。
リジックと共にキャットを尾行していたダンコとはヴィクターと接触する機会を得ました。ヴィクターは鍵と引き換えに巨額の報酬を渡す取引を持ち掛けましたが、ダンコは首を縦に振ることはありませんでした。
5)苦境の二人
その頃、病院に収容されていたヴィクターの手下のひとりが口封じのため抹殺され、病院に乗り込んだダンコは実行犯を射殺し、その場にいたキャットを取り逃がしてしまいました。
またしても失態を犯したダンコは銃を取り上げられてしまいますが、リジックは命を救ってくれたお礼にと、ダンコに私物の拳銃44マグナムを渡し、これを機に2人には国境を越えた友情が芽生えていきました。
やがてダンコはキャットの協力を得て、鍵の謎に迫ろうとしていましたが、自分の部屋を襲撃してきたヴィクター一味との銃撃戦の間に、鍵をヴィクターに奪われてしまいました。
翌日、キャットは他殺体となって発見され、リジックは内勤を命じられ、ダンコはとうとうモスクワに送り帰されることになりました。
6)バス同士のカーチェイス
ダンコはヴィクターの鍵がバスターミナルのコインロッカーの鍵であることに気づき、リジックと共に現場へと急行しました。ヴィクターは取引相手を殺して麻薬と現金を奪い、モントリオール行きのバスを奪って逃走しました。
ダンコとリジックもバスを奪ってヴィクターを追い、壮絶なカーチェイスの末に双方のバスは正面衝突しそうになりましたが、ダンコとリジックはあえてバスを横転させることで衝突を回避し、ヴィクターのバスは列車に衝突して炎上しました。
ヴィクターはバスから抜け出して逃げようとしましたが、ダンコはリジックから借りた44マグナムでヴィクターを射殺しました。
7)エピローグ
そしてダンコがソ連に帰国する日が訪れました。今や真の友となったダンコとリジックは、互いの腕時計を交換し合いました。
リジックは高級時計を渡したのですが、ダンコからもらった安物の軍用時計に少しだけがっかりしました。
それでもダンコはリジックに見送られてモスクワに戻り、クレムリンで敬礼を掲げました。
3.四方山話
1)シュワちゃん
名映画解説者の故淀川長治がその独特かつ長い姓から一部分を取って「シュワちゃん」と命名しました。
2)CM出演
数度の訪日時にはバラエティ番組や各種のコマーシャルメッセージに出演しました。1990年、日清食品の『カップヌードル』のTVコマーシャルで、ACCCMフェスティバルで第30回テレビCM部門ACC賞を受賞しました。
3)ハマー
ハマーを初めて自家用車にした一人としても知られています。ハマーはもともとシュワルツェネッガーの要望により、軍用車両のハンヴィーを民生仕様にしたものです。
4)名セリフ
『ターミネーター』での台詞「I'll be back」(また戻ってくる)もしくは「I'm back」(戻ったぞ)は、以後の出演作品の台詞でも、しばしばカメオ的に使われたことから、世界的に有名になっており、来日した際や日本のみならず、海外のマスメディアのインタビューの際にも、必ずこの台詞を発しています。
『ターミネーター』シリーズ以外で、この台詞が使用されているのは『コマンドー』『ゴリラ』『バトルランナー』『ツインズ』『キンダガートン・コップ』『ラスト・アクション・ヒーロー』『シックス・デイ』『エクスペンダブルズ2』などです。
5)演技力
シュワルツェネッガーの演技力に関しては疑問視する声は少なくなく、長女は彼の演技を下手と酷評したことがあり、また、映画評論家のおすぎも酷評しています。
6)受賞歴
俳優としての栄誉ある賞はほとんど受賞経験がなく、一方で、不名誉なラジー賞には8回ノミネートされていますが一度も受賞しなかったため、2004年には25周年最低落選賞を受賞しました。
7)最も人を殺した俳優
2014年に「映画史上最も人を殺した俳優」として第一位に選ばれています。出演作の中で劇中一番人を殺害したのは『コマンドー』で74人です。
8)苦労話
シュワルツェネッガーは、俳優としてのキャリアを築く上での初期の苦労を「エージェントやキャスティング担当者から、『体が変だ』『アクセントがおかしい』『名前が長すぎる』などと言われた。基本的に、どこに行ってもチャンスはないと言われていた」と語っています。
4.まとめ
シュワちゃんは一応有能で無口な堅物刑事役ですが、本人が一生懸命にこのアメリカ人から見た典型的なソビエト人役をやっているのが可笑しく、別にこの作品は喜劇ではないしうけを狙っているわけでもないのでしょうが、立派に喜劇になっています。