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映画『マスカレード・ホテル』傑作ミステリーが華やかに映像化されています!!

この映画『マスカレード・ホテル』は、東野圭吾の長編小説を原作とし、監督鈴木雅之、主演木村拓哉、共演長澤まさみの2019年公開のミステリー映画です。

目次

 

 

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1.紹介

東野圭吾のベストセラー小説「マスカレード」シリーズの第1作「マスカレード・ホテル」を映画化し、木村拓哉が初の刑事役に挑んだミステリードラマです。

犯人を見つけるためホテルのフロントクラークに成りすまして潜入捜査に乗り出したキムタクは、教育係である優秀なフロントクラークに長澤まさみと衝突を繰り返しながら、多様の宿泊客との接触を交えつつ、事件の真相に近づいていくきます。

『HERO』シリーズの鈴木雅之がメガホンをとり、『ライアーゲーム』シリーズの岡田道尚が脚本を担当しました。

小日向文世松たか子が重要な脇を務める他、多くの俳優が出ていて、友情出演の明石家さんまはどこで出ているのか話題になりました。


2.ストーリー

1)プロローグ

高級ホテル「コルテシア東京」でフロントとして働く岸尚美(長澤まさみ)は、どんなクレーマーにも冷静で適切な対応をすることで、同僚からも厚い信用を得ていましたた。

 

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ワンマンな仕事ぶりで、同僚から目を付けられている刑事の新田浩介(木村拓哉)は、このホテルの下見をしに来ていました。新田が追っている連続殺人事件の次の犯行はこのホテルで起こると予測され、潜入捜査が計画されていたからです。

帰国子女で英語ができるという理由でフロントとして犯人を探ることとなった新田、その指導係として任命された山岸は、だらしない新田の容姿や立ち振る舞いにお手上げ状態でした。

 

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2)ホテルのお客様

もちろんVIPの客でもお構いなしに対応する新田に、客がルールとなる仕事である以上臨機応変さを求める山岸でしたが、刑事である新田の勘は鋭く、クレーマーの手口を欺きホテルの損害を防ぐ一面に驚かされるのでした。

新田が以前にコンビを組んでいた能瀬(小日向文世)が宿泊しに来るなど、多くの客が出入りするホテル・コルテシアに、サングラスと手袋を召した上品な老婦人の片桐瑶子(松たか子)が訪ねてきました。目が見えない様子の片桐ですが、新田は芝居ではないかと疑っていました。

 

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事あるごとに山岸を呼び出す片桐の行動に疑問を抱く新田は、注意するように促すが山岸は新田の言葉を信じようとしません。

どこに連続殺人事件の犯人が潜んでいるかわからない緊張感に追われる新田は、冷静さを取り戻そうと一人になるのでした。

片桐がチェックアウトするタイミングがやってきます。見送ろうとする山岸に対して、片桐は目が見えていることをカミングアウトし、実は視覚障害を抱える夫が翌週に宿泊予定だったため、不安要素をなくすために試しに来たのだといいました。

「とてもいいホテルだった」と安堵した様子で立ち去る片桐を見送った2人。徐々に2人の関係性に信頼が生まれ始めていました。


3)仮面をかぶったお客様

ホテルを誰よりも知っている山岸に対して、新田は自分の考えを明かして、人が常にいるホテルで殺人ができるのは客室だと予測し、どの客室でも出入りできる従業員の中に犯人がいるのではないかと考えていたのでしが、同僚を疑っていると知り、山岸は激怒するのでした。

栗原健治(生瀬勝久)という男が宿泊しにやってきました。執拗に新田に絡む栗原の顔を、どこかで見たことがあると勘繰り始めました。栗原には前科などはないものの、この他にも、とある男性に怯える女性など疑う余地のある人間が多く捜査は行き詰まっていました。

 

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栗原の嫌がらせは加速し、新田の運んだ荷物の中にあったパソコンからデータが消えたというクレームをつけてきました。代わりに原稿の打ち込みを強要された新田は、山岸の手を借りて何とか乗り越えました。

しかし、そこに、危険人物とされている男性が宿泊してきました。以前にも、ストーカー女性をフロントで拒否し顧客を守った経験のあった山岸は、危険を察し急いで女性の安全を確保しに動きますが、なんと予想は逆でした。

女性の方から危険人物とされた男性に会いに来たのです。急いで部屋に向かった山岸と新田。実は二人は夫婦でした。夫の浮気現場を押さえ、離婚届を手渡す目論見で宿泊していたのでした。新田はホテルマンとして仕事を全うする凄さを痛感するのでした。


4)連続殺人犯の追求

翌朝、栗原は更なるクレームをつけてきました。新田は栗原の正体を思い出しました。実は高校生の時に教育実習生である栗原の授業を受けていました。栗原は、その時に自分より発音が良い帰国子女の新田の存在に屈辱的な経験をさせられたことを根に持っていたのでした。

テルマンとして凛とした対応を徹底する新田の姿に、心を動かされた栗原は、逆恨みから突発的に考えた計画を正直に告白し、謝罪しました。

無事に栗原を見送ることができた新田は、栗原の行動から事件のヒントを得ました。能瀬の手を借り実証するも、捜査本部に情報が漏れてしまいました。そうして捜査本部では明るみになってきた事実をホテル側には秘密にしたまま、捜査を遂行しようとしました。

同一犯による連続殺人と思われていた事件は、何か一つの事件を隠すための偽装だったと予測した新田は、再び能瀬と手を組み確証を得ようとします。しかし、この内密な話を山岸に聞かれてしまいました。

手柄のために殺人を容認するのかと怒る山岸に対して、新田は「犯罪から市民を守ることが、刑事のできる最大のサービスだ」と熱い思いを伝え説得するのでした。


5)本当の標的は?

新田の熱意を理解した山岸は、狙われているであろう結婚式が終わるまで事件について公表はしないと約束しす。そして、新田もこの事件を無事に解決できない場合には刑事を辞めると宣言するのでした。

厳重な警備の中で迎えた結婚式当日、山岸はフロントに大きな荷物を持った若い男性がいることに気付きます。その男性が持っている荷物にはファーのついた帽子が入っていました。一度は見失った山岸でしたが、同じ帽子を被って女装した人物を発見しすぐに新田に報告しました。

 

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捜査の矛先は一斉にその男性に向かった。予想通り花嫁に近づこうとしたところを確保しましたが、その男は手紙を届けに来ただけだと言い張ります。

違和感を覚えた新田は、事件の捜査をしている能瀬の連絡を確認し、疑うべきは片桐だと気づきますが、時すでに遅く、山岸は片桐の案内に入っておりフロントから姿を消していました。

タイミングよく、能瀬から片桐についての情報が入ります。本当の名前は長倉麻貴で、実は以前に山岸がフロントで追い返してしまった女性でした。

当時妊娠していた長倉は、恋人を捜しにホテルを訪ねましたが、ストーカーだと勘違いされ宿泊さえも拒否されました。大雨の中恋人を外で待った長倉は流産してしまい、山岸を恨んでいたのでした。

見せかけの連続殺人も、結婚式の花嫁を追うストーカーも全て長倉が仕込んだことで、絶対的に証拠が残らないと思っていた長倉でしたが、間一髪のところで新田が助けに入りました。そして、全ての事件の犯人が見つかり、捜査は無事終了となりました。

静まり返ったホテルのフロントで、新田は一度客として宿泊しに来ると約束しました。山岸は「お気をつけて」と見送るのでした。


6)エピローグ

後日、賑わいを取り戻したホテル・コルテシアではプライベートとして、新田と山岸そして能瀬が食事をしに集りました。気を利かせた能瀬は娘が家に来たと嘘を付き、会を抜け出しました。そうして二人は穏やかな表情で会話を楽しむのでした。

 

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3.四方山話

1)原作者のメッセージ

東野圭吾はスクリーンHPで次の様に述べています。

「2011年に「マスカレード・ホテル」を刊行したところ、映像化の話が次々に舞い込みました。
ホテルという華やかな舞台が気に入られたのかも知れません。
しかし私は担当者たちと相談し、余程のことがない限り映像化にゴーサインは出さないことに決めていました。
自分の新たなシリーズにしようと考えていたのでイメージを固定されたくなかったのです。
それから6年後、今回の企画に「新田浩介-木村拓哉」とあるのを見て、激しく迷いました。
というのは小説の連載中、新田を描く際に漠然と思い浮かべていたのが、正に木村さんだったからです。」    

                            以下、省略

                                     

2)相互評価

先日開催された次作の『マスカレード・ナイト』の完成披露試写会では、再共演した長澤について

「やっぱり最高」と木村拓哉は絶賛しています。この日も「この作品に限らず、まさみちゃんは出演すると決断した作品から一度たりとも逃げていない。(長澤が出演する)作品を見ると、いつもそう思うし、その強さと覚悟を感じています」

と長澤に最大限の賛辞を送っていました。

この言葉を受け、長澤まさみ

「木村さんからは、現場での集中力のコントロールを学ばせていただいた」と尊敬の念を示し、また、「数々の作品でいろんな役を演じ、たくさんのものを生み出しているすごい方なのに、常に素直な心で、スポンジのように柔らかく、さまざまなことを吸収する姿に、『やっぱり、すごいな』と。きっといつも新鮮な気持ちで現場にいるんだろうと思う」

と話していました。


3)小日向文世

第44回報知映画賞の授賞式で、この2年で3本共演しているという小日向は

「長澤さんと会うたびに、何だか背が高くなってる気がするんですよ。もう65歳なので僕が縮んでるんだと思いますが、それだけじゃなく女優としてのオーラがさせているのかな?魅力やすごさを肌で感じています。さらに大きくなって、高みを目指してほしい」

と無邪気なトボケで祝福しました。

 

 

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4.まとめ

この作品で、ホテルマンの矜持というものがよくわかりました。さらに、長澤まさみのフロントでの姿勢、立ち振る舞いがみごとで、大女優の風格さえ漂わせていました。