凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『キネマの天地』懐かし嬉しのキャスティングです!!

 

この映画は、東映出身の深作欣二によって松竹映画の過去を象徴する『蒲田行進曲』というタイトルの映画を撮られたことに、松竹映画の名監督である野村芳太郎は憤って、4年後の1986年に自らプロデューサーとして映画『キネマの天地』を山田洋次監督で企画しました。

 

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目次

 

1.経緯

野村芳太郎は、松竹内部の人間で「過去の松竹映画撮影所」を映画化したいという思いがあったといい、1971年8月の第9作『男はつらいよ 柴又慕情』以降、「盆暮れ」の年2回製作されていた『男はつらいよ』も、こういった経緯により、1986年の夏は製作が見送られました。

こういった経過でオールスターキャストで松竹が渾身で製作したにも拘わらず『蒲田行進曲』の配給収入の17億6千万円を上回る20億円を期待されましたが、13億円という不本意な興行結果となりました。

 

2.あらすじ

物語は、田中絹代をモデルとした田中小春(有森也実)が浅草の帝国館で売り子をしているところを、松竹の小倉監督(すまけい)の目にとまり、蒲田撮影所を訪れたところが、いきなり端役に駆り出されました。しかしながら、その演技がうまくいかず落胆して父の下へ帰ります。演技に悩む彼女は旅回りの役者だった父喜八(渥美清)の励ましをきっかけに女優としての素質を開花させてゆきます。

 

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一方、そんな小春を助監督の島田(中井貴一)は、大部屋女優として出発した小春を何かにつけて励まし応援します。そして熱心に映画を語る島田に小春は徐々に惹かれていきます。

翌年、島田の脚本で小倉が監督となった大作「浮草」の主役となるはずの川島澄江(松坂慶子)が駆け落ちしたために、小春が抜擢されることになりました。

壁にぶつかり帰ってきた小春に喜八は一座の看板女優であった母との恋愛話を語って励ます。そのことが切っ掛けで撮影は成功し、映画は完成しますが、一方、喜八は、ゆき(倍賞千恵子)・満男(吉岡秀隆)とともに帝国館に「浮草」を観に行き、娘の姿をスクリーンで見ながら静かに息を引き取りました。

 

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3.まとめ

この様に、『男はつらいよ』の山田組が総出となり、松竹ゆかりの俳優の百花繚乱で今となっては物故した俳優さんも多く、そちらに目がいったためなのか、物語が前に出てこず、いまいち乗り切れない映画となってしまいました。

とは申せ、何といっても渥美清です。活動写真好きの屑屋(笹野高史)と喜八の松竹女優についてのやり取りや、前述の喜八が小春を励ますシーンは圧巻で、「寅さん」から解き放たれたかのように輝いていました。

 

4.付録

またこの映画は、今や円熟の境地の中井貴一の青年期、当時から渋みを見せている岸部一徳、このころ元気な山田隆夫、と枚挙にいとまのないキャスティングは映画ファンを楽しませてくれます。

しかしながら、かの地に旅立たれた俳優さんも多く、敬意を表して没年と享年をリストさせて頂きます。

1)現役俳優リスト

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2)物故俳優リスト

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