この映画『フレンチ・コネクション2(French Connection II)』は、1975年公開のアメリカ映画、『フレンチ・コネクション』の続編です。監督は、ウィリアム・フリードキンからジョン・フランケンハイマーに変っています。
目次
1.ストーリー
1)プロローグ
物語の舞台はニューヨークからフランス、マルセイユに移り、ニューヨークでの大規模なヘロイン押収から時が経ち、捜査を主導したジミー・ドイル(ジーン・ハックマン)刑事はマルセイユ警察と合流しました。
マルセイユとアメリカを繋ぐ麻薬密輸ルート、通称フレンチ・コネクションの元締めのアラン・シャルニエ(フェルナンド・レイ)をドイルは捕まえようとしていたのです。
2)拉致
ところが、地元警察の刑事アンリ・バルテルミー(ベルナール・フレッソン)との連携はうまくいかず、ドイルのミスで潜入捜査官が殺されてしまいます。
アンリとの関係が険悪になる中、ドイルは独自に捜査を開始しますが、その矢先にシャルニエの手下に捕まり、ドイルはシャルニエの前に連れて行かれ、組織の秘密についてどこまで知っているか吐くよう迫られますが、頑なにその要求を拒否しました。
シャルニエは手下たちにドイルをヘロイン漬けにするよう指示し、すぐにドイルの腕にヘロインが注射されました。
その後、ドイルには定期的にヘロイン注射が打たれ、ドイルはヘロイン中毒になってしまいました。
監禁から三週間経った頃、シャルニエは、ドイルが組織のことは何も知らず、シャルニエの顔を知っているだけ、というのを確認し、ドイルの拉致で警察がやっきになって街を探しているのがじゃまで、ドイルを解放し、マルセイユの警察署の前に放り出しました。
3)禁断症状
アンリたちがドイルを発見したとき、ドイルは命の危険に直面していまして、医師の迅速な対応により一命を取り留めたものの、その後ドイルを待っていたのはヘロインの禁断症状でした。
警察署の地下室に監禁されたドイルに強烈な禁断症状が襲い、ときには暴れることもありましたそんなドイルに寄り添い続けたのは、対立してばかりいたアンリでした。
少しずつ禁断症状が落ち着き始めた頃、ドイルとアンリは酒を飲みながら会話する機会を持ち、ドイルは自分の過去を一方的に語りました。
ヤンキース入団を目指したこと、自分より上手の選手がいることを知り、野球選手の夢を諦めたこと…アンリはアメリカの野球文化をよく知らないながらも、懸命にドイルの話に耳を傾けました
しかしながら、ドイルは突然泣き出し、ヘロインを打ってくれと言い出し、アンリはそんなドイルに酒を飲ませ、落ち着かせるのでした。
4)回復
やがて時が経ち、ドイルの症状が落ち着くと、アンリはドイルを外に出しました。ドイルは元の体の状態に戻ろうと努め、シャルニエの捜査も再開しました。
そんなある日、ドイルはわずかな記憶から自分が監禁されたホテルを見つけ出し、アンリら地元警察の到着を待たずに、ホテルにガソリンをまいて、火を放ちました。
たちまちホテルは大火災となり、ドイルはホテルから逃げ出した男たちを捕まえ、
シャルニエが港で麻薬の回収をしているという情報を聞き出し、夜の港に向かいました。
ドイルたちはシャルニエの部下たちと銃撃戦に及びますが、ドックに海水が放出され、ドイルたちはあやうく溺れかけてしまいます
なんとかドイルはアンリを救出したものの、シャルニエを取り逃してしまったうえ、この銃撃戦で警官が死亡する悲劇が起きていました。
5)最終決戦
この事態を重く見た地元警察の上層部はポパイに明日帰国するよう求めました。ドイルは残されたわずかな時間を使って、アンリら数人の仲間とともにシャルニエ逮捕に向けて動き出しました。
ドイルとアンリはシャルニエとの関わりが疑われる船長を監視、すると、ドイルたちは船長がある男にカバンを引き渡す光景を目撃しましたドイルたちはこれが取引現場と確信し、男の行方を追いました。
長い尾行の末、ドイルたちはシャルニエの麻薬製造工場にたどり着き、両者は激しい銃撃戦に及び、混乱の中シャルニエは工場から脱出しました
6)走る
しかし、ドイルは執念でシャルニエを追い続けましたが、ニューヨークでドイルに尾行されたときのように、シャルニエはたくみに人混みに紛れ、ドイルから逃れようとしますが、ドイルはマルセイユの街中を走り続け、ついに一隻のヨット上にシャルニエの姿を発見しましたその後もなおドイルは走り、先回りしたドイルは、ヨットのシャルニエに向かって銃を構えました。
そしてドイルは、ヨットの甲板に現れたシャルニエの名を呼びながら発砲し、2発の弾丸はシャルニエに命中し、彼は甲板に倒れるのでした。
2.みどころ
1)薬物中毒
今作はより麻薬ビジネスの詳細が描かれています。特に、麻薬中毒になる主人公の姿は衝撃的で、ハックマンの迫真の演技が、麻薬の問題の深刻さを観る側に訴えてくるようにもみえます。
2)マルセイユのポパイ
無鉄砲なアメリカ人の主人公が、マルセイユの現地警察との衝突や文化の違いに苦悩する設定がなかなか面白いのです。
3)ランチェイス
前作のニューヨークに続き、緊迫感を感じさせるマルセイユのオールロケが効果を上げています。伝説のカーチェイスみたいなものはありませんが、街中を車を避けて走り抜けるさまはすごい躍動感があり、これも伝説的といっていいかも知れません。
3.まとめ
本作を単体の映画として観るなら並以上のアクション映画ですが、あの大傑作「フレンチ・コネクション」の続編として、期待して観ると肩透かしを食らいます。
映画史上に名を残す屈指の名主人公、ポパイの内面により迫ったのは面白いし、前作ではあまり垣間見えなかった場面です。
前作ほどの、興奮やハラハラ、臨場感といった部分は皆無に等しく、もっとこの映画を単体として、前作とは明確に区別をつけるようなものにすれば結果は違ったかもしれません。
ジーン・ハックマンの熱演も虚しく、前作ほどの衝撃は観客に与えることはできなかったようです。