凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『黄金狂時代』チャップリン映画の最高傑作です!!

この映画『黄金狂時代(The Gold Rush)』は、1925年に製作されたアメリカ映画で、チャールズ・チャップリンが監督・脚本・主演を務めています。喜劇王と呼ばれたチャップリンの作品の中でも特に傑作と呼ばれている作品です。

空腹のあまり自らのドタ靴を食べる場面や、崖っぷちの丸太小屋、恋人を待つ間に夢想するロールパンのダンス、犬をつないだまま踊るダンスのエピソードなど、映画史上に残る名場面の連続! 深い人間洞察に裏打ちされた、死と隣り合わせのユーモア、強欲の残酷さ、愛情の尊さなど、人生のすべてを天才的なパントマイムで表現するチャップリンの、問答無用の代表作です。

目次

 


1.発端

1923年に、チャップリンは友人であるダグラス・フェアバンクスメアリー・ピックフォード夫妻の家を訪れた際、ステレオスコープでアラスカ州のチルクート峠を越える探掘者の行列の写真を見て、作品のアイデアが浮かんだとされています。
そのアイデアに、1846年にシエラ・ネバダで発生した、入植団・ドナー隊の悲劇を取り入れていて、彼らが飢えをしのぐために仲間の死体や動物を食べて生き延びたというエピソードから、靴を食べるなどといった場面を発想したそうです。

 

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2.ストーリー

1)プロローグ

ゴールドラッシュに沸く極寒のアラスカで、一攫千金を夢見て危険な山岳地帯を往く男たちの中に、みずぼらしい身なりの孤独な放浪者チャーリー(チャールズ・チャップリン)の姿がありました。チャーリーは道に迷っているうちに吹雪に見舞われ、とある小屋に立ち寄りましたが、そこはお尋ね者の悪党ブラック・ラーセン(トム・マレイ)の隠れ家でした。

 

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2)山師ビッグ・ジム

小屋にあった肉を食べてしまったチャーリーは、ラーセンに追い出されそうになりますが、あまりの風の強さに外に出ることができません。やがて小屋に金鉱採掘権を有するビッグ・ジム・マッケイ(マック・スウェイン)という男が入り込み、ラーセンはチャーリーとビッグ・ジムを銃で威嚇して追い出そうとしますが、逆にビッグ・ジムに叩きのめされてしまいます。

 

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3)空腹の3人

三人はビッグ・ジムが主導権を握る形で小屋に留まることにしましたが、食料も底を尽いて、チャーリーは仕方なくロウソクを食べ始めました。三人はトランプカードを引いて、一番小さい数字を引いた者が食料の調達に行くことにしました。そして行くことになったラーセンは、自分を追ってきた者たちを射殺し、彼らの荷物を載せたソリを奪って小屋に向かいました。

その頃、チャーリーは自分の革靴を煮て、ビッグ・ジムと分け合って食べ飢えをしのいでいました。しかしそれでも飢えの収まらないビッグ・ジムは幻覚に苛まれて、チャーリーを鶏だと勘違いして追いかけ回してしまいます。

 

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チャーリーの説明を受けたビッグ・ジムは我に返って謝罪しましたが、それでもビッグ・ジムはチャーリーを食べようと襲いかかました。その時、小屋に熊が侵入してきて、チャーリーは熊を銃で仕留めて二人で食べました。


4)ビッグ・ジムの記憶喪失

チャーリーとビッグ・ジムは、ようやく腹を満たし、別行動を取ることにしましたが、ラーセンはビッグ・ジムの金鉱を見つけ金塊を横取りしようとしていました。ラーセンは現れたビッグ・ジムを殴って気絶させて、金塊をソリに載せて去ろうとしましたが、ラーセンはその直後に崖崩れに遭遇して命を落としてしまいます。

やがて、ビッグ・ジムは、意識を取り戻しましたが、彼は記憶を失ってしまっていました。


5)ジョージアとめぐり逢い

金鉱近くには一攫千金を夢見る者たちの集まる町がありました。活気に満ちたこの町の酒場で働いている女・ジョージアジョージア・ヘイル)は女たらしのジャック・キャメロン(マルコム・ウエイト)という男に好意を寄せられていましたが、気の強いジョージアは相手にしませんでした。それでもなおジャックからしつこく迫られたジョージアは、当てつけるかのようにたまたま酒場にやってきたチャーリーとダンスを踊り始めました。

 

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ジョージアはコミカルな動きのチャーリーに思わず笑みをこぼし、チャーリーに嫉妬したジャックは、彼に因縁をつけてバカにしてきましたが、ジャックは偶然にも頭上から落ちてきた時計にぶつかって気絶してしまいます。


6)歓喜の再会

その翌日、チャーリーは町の近くにある鉱山技師ハンク・カーティス(ヘンリー・バーグマン)の家に辿り着き、凍えたフリをして食事を分けてもらうことに成功しました。やがてハンクは仲間たちと共に鉱山に向かい、留守番を頼まれたチャーリーは友人たちと雪遊びをしていたジョージアと再会しました。

チャーリーはジョージアをハンクの家に招き入れます。そしてジョージアはチャーリーが前日に酒場で拾った自分の写真を大切にしていることに気付き、からかい半分で大晦日に再会することを約束しました。ジョージアに一目惚れしていたチャーリーは思わず有頂天となり、手袋を忘れて戻ったジョージアは彼の様子に驚いてしまう程でした。


7)待ちぼうけ

それからというもの、チャーリーは店の雪かきのアルバイトをして金を稼ぎ、大晦日当日にジョージアのために食事やプレゼントを用意して待機していました。ところが、いつまで経ってもジョージアは現れずに新年を迎えてしまって、チャーリーは酒場へ行ってしまいます。

その頃、ジョージアはジャックたちと共に酒場で楽しい時を過ごしており、年が開けてようやくチャーリーとの約束を思い出し、ジャックらと共に家を訪ねたところチャーリーは行き違いで不在にしていました。ジョージアは、チャーリーが歓迎の準備をして自分を待っていたことに気付いた深く心を痛めました。


8)愛の告白

数日後、チャーリーは酒場でジョージアから会って謝罪したいという手紙を受け取ります。その頃、金鉱の場所に関する記憶を失っていたビッグ・ジムはチャーリーを捜し、ジョージアを捜していたチャーリーと再会しました。ビッグ・ジムはチャーリーに一緒に金鉱を探そうと持ちかけ、話に乗ったチャーリーはようやくジョージアを見つけると彼女に愛の告白をし、金持ちになって必ず迎えに来ると告げてビッグ・ジムと共に出発しました。


9)一攫千金

小屋に着いたチャーリーとビッグ・ジムでしたが、二人が眠っている間に小屋は暴風で崖まで運ばれてしまいます。チャーリーとビッグ・ジムは最初のうちは自分たちが酒を飲んで二日酔いになったものと思い込んでいましたが、ドアを開けてみたところ、小屋はギリギリ1本のロープで持ちこたえている状態でした。しかし、この場所こそが探し求めていた金鉱であり、チャーリーとビッグ・ジムは念願叶って億万長者になることができました。

 

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10)誤解

二人は故郷に帰ることにし、チャーリーは帰りの船内で記者の取材を受け、成功談をアピールするため、かつてのみすぼらしい姿での写真撮影を求められました。この船にはジョージアも客として乗っており、チャーリーはジョージアとの再会を喜びましたが、船内では密航者が乗り込んでいるという噂が立っており、チャーリーは危うく密航者に間違われて捕まってしまいます。


11)エピローグ

ジョージアはチャーリーのために船賃を払おうとしたところ、記者たちがチャーリーは実は億万長者であることを教えてくれたので、チャーリーは誤解が解けて解放されました。こうしてめでたくジョージアと結ばれたチャーリーは彼女の手を取り歩き出しました。

 

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3.四方山話

1)革靴

有名な革靴を食べる場面は、靴の革を海藻で、釘を飴細工、靴ヒモはイカ墨スパゲッティで造ってありました。このシーンは何度も撮り直しをしながら修正を行ったために、撮影に3日かかり、63回撮り直されましたた。ちなみにチャップリンと、マック・スウェインは何度も海藻の靴を食べたために下痢に悩まされたそうです。


2)撮影

冒頭のチルクート峠を越える大勢の探掘者を映し出したシーンは、シエラネバダ山脈で撮影され、近くのサクラメントにいたホームレスなど600人をかき集めて撮影されました。
このようにチャップリン映画としては異例の大規模なロケーション撮影が敢行されましたが、チャップリンが風邪を引いたり、悪天候で撮影が思い通りに進まなかったこともあり、他のシーンはチャップリン・スタジオでの収録に変えられました。
スタジオ内に大掛かりな雪山や街のセットを作り、雪は塩と小麦粉で代用しました。また、トム・マレイ演じる指名手配犯が雪崩に飲み込まれるシーンでは特撮も使われています。


3)ヒロイン

当初のヒロイン役は、チャップリンの『キッ ド』(1921年)で「誘惑の天使」を演じたリタ・グレイでしたが、撮影途中にチャップリンの子を身籠っていることが判明し、途中で降板ました。

ジョージア・ヘイルは、ジョセフ・フォン・スタンバーグチャップリンの自宅へ持ち込んだ 『救ひを求むる人々』(1925年)に出演していたことがきっかけで、本作のヒロインに抜擢されました。

 

4)最高傑作

チャップリンの作品中の最高傑作と評する声も多く、チャップリンを「私の神様」 と敬愛していた淀川長治さんも、本作をチャップリン映画のNo.1としていました。
チャップリン曰く、「本作のチャーリーを記憶に留めて貰いたい」。

 

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4.まとめ

チャップリンの名言が浮かびます。

人生は恐れなければ、
とても素晴らしいものなんだよ。
人生に必要なもの。
それは勇気と想像力、
そして少しのお金だ。