映画『天空の城ラピュタ』心ワクワクする少年の夢を魅せてくれます?!
この映画『天空の城ラピュタ』は、監督宮崎駿でスタジオジブリ初制作の1986年公開の長編アニメーション映画作品です。
目次
1.紹介
スウィフトの「ガリバー旅行記」をモチーフに、宮崎駿がオリジナル原案で描いた冒険アクションアニメです。
空に浮かぶ伝説の島“ラピュタ”や反重力作用を持つ“飛行石”といったファンタジックなプロットに、躍動感溢れるストーリーに加え、卓越した演出など、宮崎監督の手腕が冴える傑作娯楽活劇となりました。
ジブリの1作目といえば『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)や『風の谷のナウシカ』(1984年)かと思われがちですが、スタジオジブリ設立は1985年なので、実は本作が長編アニメ映画1作目にあたります。
2.ストーリー
1)プロローグ
大きな飛行船が夜空を飛ぶ中、海賊のドーラ一家は飛行石を求めて船を襲いかけます。
少女の胸に飛行石を見つけたドーラ(声、初井言榮)達は窓の外まで追い詰めますが少女は手を滑らせて真っ逆さまに落ちてしまいました。
しかしその飛行石は激しい光を放ちはじめて落ちる少女をゆっくりと落ちるように包み込んでいきます。
2)飛行石のおかげ
親方とともに鉱山で働く見習い機械工の少年パズー(声、田中真弓)は、お使いの帰り道に空から女の子が落ちてくるのを発見し仕事場で彼女を受け止めました。
翌朝、目を覚ましたシータ(声、横沢啓子)はパズーに助けられたことを知り、パズーが一人暮らしをする両親が残した家で、大きな雲に覆われた城の絵を見つけ、詐欺師の汚名を着せられたパズーの父親の話を聞きました。
そこへドーラ一家がシータを追ってやってきました。親方達の助けもあって逃げ出したパズー達でしたが今度は軍までやってきて2人を追い詰めます。
橋から転落した2人を助けたのはまたしても飛行石です。光を放って鉱山の地下深く廃抗までゆっくりと降りて行きました。
廃抗で2人はポムじいさん(常田富士男)に出会います。石が騒いでいて、廃抗内の鉱石がいつもと違うこと、そして石が騒ぐ時はラピュタが上に来ている時だという話を教えてもらいます。
3)ラピュタの秘密
外に出た2人を待ち受けていたのは軍でした。2人は共に囚われ幽閉されてしまいます。
シータは軍の特務機関の大佐ムスカ(寺田農)にラピュタの秘密について協力するように求められます。パズーの釈放を引き換えにしてシータは条件を飲みパズーに別れを告げました。
悲しみに暮れながら家に戻ったパズーを今度はドーラ一家が待っています。パズーはシータを助けるために一緒に連れて行って欲しいと頼みました。パズーはドーラ一家とともにシータが囚われている軍の施設へ飛び立ちました。
一方、協力を効き入れたシータはムスカにラピュタの正体を教えられ、そして天空から落ちてきたロボット兵を見せられます。シータはラピュタの王家の末裔だったのでした。
ムスカはシータにラピュタの封印を解く鍵を知っているはずと迫りますがシータはわからないと答えます。しかし、子供の頃祖母に「おまじない」として教わった自分を助ける言葉を思い出しました。
4)おまじない
我を助けよ、光よ蘇れという意味のおまじないをつぶやいたことで急に飛行石が光りだし死んでいたはずのロボット兵が暴れ始めました。
そしてシータが屋外に逃げ出した瞬間に飛行石は空の向こうを光りさしました。ムスカは、ラピュタへの道筋はこれだと確信し飛行石を奪おうとします。
ドーラとパズー達が到着し、ロボット兵に守られながら火に包まれた軍の要塞からシータを助け出すことに成功しました。
しかし、飛行石はムスカの手に渡ってしまいます。ドーラに、パズーとシータは海賊船の乗組員に入れてほしいと願い出ました。2人を連れてドーラは光が差した方角をめざしました。
夜になり見張りを任されていたパズーの元にシータがやってきました。そこでシータは、昔教えられたおまじないに絶対に言ってはいけない滅びの言葉もあったと話します。
そこへ、軍の飛行船が姿を現し、さらに近づいてくる雲の嵐も出現し、2人の乗ったカイトはドーラ達の海賊船から切り離されてしまいました。
5)天空の城ラピュタ
強風と厚い雲から抜けた2人の前に広がったのは緑豊かな天空の城ラピュタでした。しかしながら、同時に軍も到着しており、ドーラ達は捕まっていました。さらに、シータがムスカに捕まりパズーはシータを助けるため、まずはドーラ達を解放します。
捕まったシータは、ムスカにラピュタ内部へと連れて行かれます。そこでムスカに、自分もシータもラピュタの末裔であることを明かし、飛行石を用いて軍の兵隊達を皆殺しにしてしまいます。
シータはムスカから飛行石を奪ってそこから逃げ出しました。助けるためにやってきたパズーに海に捨ててと飛行石を渡します。追ってきたムスカはシータの命を引き換えに飛行石をもってこいとパズーを脅します。
パズーはシータにかけより、あの言葉を教えて、とシータに言います。そして2人はあの滅びの言葉「バルス」叫びました。
するとラピュタの城は崩れ落ちて、大きな根に囲われた巨大な飛行石と木だけが空高く登って行きました。ドーラ一家は、パズーとシータを心配しています。そこへカイトが見えました。2人は木の根っこに絡まって助かったのでした。
6)エピローグ
2人とドーラ一家は再会を喜びます。ドーラ一家はお宝はたいして獲得できなかったものの両手にたくさんの金や宝石を持っていました。
パズーとシータはカイトに乗ってドーラ一家と別れ、シータの故郷ゴンドラへ向かいました。
3.四方山話
1)時代背景
本作は、いつの時代の物語なのか、作中では具体的に語られることはありませんが、パズーの父親が撮ったラピュタの写真には「1868.7」と明記されているので、19世紀後半が舞台と思われます。
宮崎駿はインタビューで「産業革命のころを背景にしている」と述べていたので、その時期とちょうど一致します。また本作の主な舞台となっているのは、産業革命において重要な地であるイギリスで、作中に登場する銃火器なども、イギリスのものをモチーフにしているようです。
2)ジブリ作品第一号
本作は、監督である宮崎駿の小学校時代に考えていた架空の作品が骨子となっており、原作となる作品が存在しない初のアニメオリジナルの監督作品でです。
製作は徳間書店で、高畑勲の映画『柳川堀割物語』の製作遅延により資金調達に追われた宮崎駿が、徳間書店の鈴木敏夫に相談したことから企画が立ち上がり、この映画をきっかけに設立されたスタジオジブリ制作映画の初作品となりました。
3)人気作?
本作は、1986年に公開され、金曜ロードショーで何度も放送されるなど息の長い愛される作品となっていますが、公開当時はまったくヒットせず、現時点でもスタジオジブリ映画では観客動員数、興行収入共にワーストレコードホルダーとなっている結構不憫な作品でもあります。ちなみに、ブービーは『となりのトトロ』です。
この映画以降、宮崎監督は少年漫画的な冒険映画をほとんどやめてしまったのはそういった経緯からかも知れません。
4)サーバダウン
インターネット文化における『天空の城ラピュタ』は、スタジオジブリの作品の中でも、恐らく一番知名度と人気が高い作品ででしょう。
本作は、四半世紀前の作品であるにもかかわらず毎年のようにテレビで流れ、また今のネット文化の中核をなす20~30代の人間は大抵鑑賞済みでろうことから、劇中の設定やセリフなどはかなり早い時期から共通言語として機能していました。
特にクライマックスで叫ばれる滅びの呪文「バルス」は有名で、金曜ロードショーで流されるたび2chの実況掲示板や関連スレのある掲示板が「バルス!」の書き込みで埋め尽くされ、サーバが負荷に耐えられずダウンする現象はもはや風物詩となっていました。
ちなみに、実況鯖が「バルス!」でダウンすることはあまりない。なぜなら「見ろ!!人がゴミのようだ!!」ですでに落ちているからでした。
5)本物?
ちなみに、本作で登場するモールス信号は一応本物です。冒頭でムスカが発しているのは「VVV」(・・・- ・・・- ・・・-)、即ち試験信号です。
本当は試験電波を出す場合、所定の手順に従ってからでないといけないのですが、恐らく緊急時のため「この周波数帯を傍受した者、応答せよ」という意味で発したのであろうと思われます。わざわざ調整符号を打ってから救援を呼ぶとはなかなかの紳士です。
ドーラがパズーの家で聞いている暗号は「U D I O F I D I L I N Y 6 M A N U F A C T U R E R G」となっています。「手作り映画ですよ、でもウソのお話ですよ」とでも言いたいのでしょうか?
この辺にも宮崎駿のユーモアと拘りが観られます。
4.まとめ
ジブリの中でいちばん好きな作品で、何度観たことかわかりません。
空に浮かぶ島、飛行石、ゴリアテ、フラップター、この世界観がカッコよく特にタイガーモス号が大好きで、観ていていつもワクワクが止まりません。
何年経ってもラピュタの世界の壮大さ、冒険のハラハラ、神秘的な感じは色褪せず不朽の名作に間違いありません。