凸凹玉手箱

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映画『依頼人』原作者ジョン・グリシャムも大満足の名品です!!

この映画『依頼人(The Client)』は、ジョン・グリシャムの「ペリカン文書」「ザ・ファーム/法律事務所」に続く小説「依頼人」を映画化したもので、1994年に製作されたアメリカ映画です。ソフト発売時に『ザ・クライアント 依頼人』というタイトルに改題されました。

監督は、ジョエル・シュマッカーで、スーザン・サランドントミー・リー・ジョーンズが共演し、この作品で伝説の子役ブラッド・レンフロがデビューしました。

目次

 

 

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1.あらすじ

1)プロローグ

テネシー州メンフィス郊外。11歳の少年マーク・スウェイ(ブラッド・レンフロ)は、8歳の弟のリッキー(デヴィッド・スペック)を連れて自宅近くの森で遊び、隠れてタバコを吸おうとしたその時、1台の車が偶然通りかかりました。

 

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車の男は排気管からホースを車内に取り込み、自殺を図ろうとしていました。マークは慌てて車からホースを引き抜こうとしたところ男に気付かれてしまい、車内に引きずり込まれて自殺の道連れにされそうになりました。


2)驚愕の出来事

男は弁護士のジェローム・クリフォード(ウォルター・オルケウィック)であり、酒に酔っていたジェロームは覚悟を決めたかのようにマークにマフィアが殺した上院議員の死体の隠し場所を教えました。怯えるマークは隙を見て車外に脱出、リッキーを連れて逃げようとしましたが、ジェロームはその直後に拳銃自殺を遂げました。

 

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マークは警察に通報し、駆け付けたハーディ巡査部長(ウィル・パットン)に保護されました。そしてマークとリッキーは何も語ることなく母ダイアン(メアリー=ルイーズ・パーカー)の待つトレーラーハウスへ戻りましたが、リッキーは事件のショックから入院してしまいました。

マークは真実を話せば自身や家族に危険が及ぶと考えて、警察の事情聴取にも口を閉ざしてしまいます。ところが、ハーディが採取したマークの指紋とジェロームの車内から発見された指紋が一致したことから、州知事の座を目指す野心家の連邦検察官ロイ・フォルトリッグ(トミー・リー・ジョーンズ)はFBIと共にマークを徹底的に追及しようとしました。


3)マフィアの脅迫

ジェローム上院議員殺しの容疑者であり、“剃刀”の異名を持つマフィアの殺し屋バリー・マルダーノ(アンソニー・ラパリア)の弁護士を務めており、裁判で証言する予定だったのです。その頃、マフィアのボスでバリーの雇い主のジョニー・スラーリ(ロン・ディーン)もまたマークに目をつけ、部下のポール・グロンキー(キム・コーテス)に動向を見張らせることにしました。

警察やFBI、マフィアにまで目をつけられて追い詰められたマークは、リッキーの入院する病院で拾ったチラシをきっかけに弁護士を雇うことを思いつき、わずか1ドルの所持金を持って凄腕の女性弁護士レジーナ・“レジー”・ラヴ(スーザン・サランドン)に弁護を依頼、彼女はマークが困窮していることから弁護を引き受けることにしました。しかしその後、マークはグロンキーから「バラしたら殺す」と脅しをかけられてしまいました。


4)FBIとマフィアの追求

手柄が欲しかったフォルトリッグはFBIメンフィス支局長のジェイソン・マクスーン(J・T・ウォルシュ)らと共にマークを追及しようとしましたが、レジーはマークの身の安全を守ることを最優先して追い払おうとしました。

 

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フォルトリッグはレジーが麻薬と酒に溺れていたことを明かし、かつて自分たち家族を苦しめたアルコール中毒者の父を思い出してしまったマークはレジーをクビにしようとしましたが、レジーはかつて自らも夫に裏切られて家族を失ったことを明かし、思い直したマークは再びレジーと手を組むことにしました。そんな時、マーク一家の暮らすトレーラーハウスはグロンキーらによって焼き討ちに遭い、スラーリはバリーにマークを含む関係者全員の抹殺を命じました。


5)法廷での攻防

マークは召喚状により検察に連行されていきましたが、レジーはハリー・ローズベルト判事(オジー・デイヴィス)にマークを拘留したことを抗議、身の安全が保障されないまま証言させるのかと問い詰めました。やがてマークは法廷にかけられますが黙秘権を行使し、仮病を装って病院に行くフリをして逃亡を図り、グロンキーの追跡を振り切ってレジーの元に向かって、レジーの助手クリント・フォン・フーザー(アンソニー・エドワーズ)の電話を傍受したマクスーンらはフォルトリッグにマークたちがニューオーリンズに向かうことを報告、スラーリもバリーに証拠隠滅を指示しました。


6)勇気ある決着

上院議員の死体の隠し場所とは、自殺したジェロームの自宅のボート小屋でした。マークとレジーはボート小屋で死体を探していたところにバリーとグロンキーらが現れ、マークとレジーは身を隠そうとするもマルダーノらに見つかってしまいます。しかし、マークとレジーは協力してバリーらと対峙し、隣家の警報を鳴らしたためバリーらは逃亡、グロンキーはボートの下敷きとなりました。そしてマークとレジー上院議員の死体を確認、逃げたバリーは全ての責任を負わされてスラーリに抹殺されました。


7)エピローグ

マークはニューオーリンスにやってきたフォルトリッグらに死体の隠し場所を教える代わりに“証人保護プログラム”の適用を求め、フォルドリッグはレジーの要請でマーク一家が安心して暮らせる家や環境を提供することになりましたが、それはマークとレジーの別れを意味するものでした。
ジーはマークがこれから先の人生に迷わぬよう、いつも離さず持ち歩いていたコンパスのブレスレットを渡して別れを惜しみ、

ダイアン、リッキーとともにレジーに見送られて新たな生活の地へと旅立っていきました。

ジーから隠し場所を教えてもらったフォルドリックは、ずずうしくも晴れがましくマスコミを通じて事件の解決を宣言しました。

 

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2.みどころ

1)天才ブラッド・レンフロ

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マーク・スウェイは少年のくせに端正な顔立ちから憎々しげに悪態をつくかと思えば母親やレジーに甘える素振りをみせたりし、小賢しさを振り撒きます。観ている方を苛立たせるほどなのは、見事な演技と言わざるを得ません。


2)スーザン・サランドン

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弁護士レジー・ラブは、母親以上にマークを理解し我慢強く解決に立ち向かいます。
フォルトリッグ検事に初お目見えで決定的な録音をとり、裁判所での審問に堂々と渡り合うシーンなど、敏腕検事と丁々発止のやりとりも感心させられます。
本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされたのもむべなるかなです。


3)トミー・リー・ジョーンズ

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ロイ・フォルトリッグ検事は、知事選出馬を目指す野心家で、この事件を踏み台にしようとあれこれと策を弄します。
序盤でレジーの事務所に乗り込み法的に脅しをかけたり、裁判所での攻防戦でも、勝ちはしませんが、迫力のある論戦をみせてくれます。
数々のヒット作に登場し様々な役を演じましたが、本作のような敏腕検事は当たり役の一つです。


4)オジー・デイヴィス

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ハリー・ルーズベルト判事は、毅然とした態度で法廷を裁きます。偉そうなフォルトリッグ検事に有無を言わせぬ迫力で押さえつけますが、レジー側に偏らず厳正な判断を下します。
デイヴィスは公民権運動の活動家としても有名で、マルコムXジェシー・ジャクソン、マーティン・ルーサー・キングと親交が深かったようです。


5)メアリー=ルイーズ・パーカー

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マーク兄弟の母親で自分勝手に何かにつけ喚き散らします。
本来端正な顔立ちにも拘わらず醜いほどに顔を歪め、観ている方の苛立ち感もハンパなくさせますが、そこが名女優の所以でしょう。本作の後、エミー賞トニー賞ゴールデングローブ賞などを受賞しています


3.ブラッド・レンフロについて

本作で達者な演技をみせたブラッド・レンフロですが、25歳で生涯を終えています。
テネシー州ノックスビル出身で、母アンジェラと父マークは青写真工場で働いていいました。幼少期は父が麻薬に浸かっていた為、貧しい生活をおくっていましたが、5歳の頃に両親が離婚したのを契機に父方の祖母に引き取られ、育てられました。

 

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趣味はギターを演奏することや詩・小説を書くことで、特に物語を作ることに関しては幼い頃からその才能を開花させました。自らドラッグ禁止キャンペーンのCMシナリオを書き上げ、売人役で出演しました。それを見た警察官が彼の演技に感心し、『依頼人』のオーディションを受けることを勧められ、5000人の応募者の中から主演に選ばれました。

プライベートでは問題が多く、皮肉にももうすでに1998年にコカインやマリファナ所持で逮捕されています。

2008年1月15日、ロサンゼルスの自宅で急死、享年25歳、死因は、ヘロインの過剰摂取でした。

ちなみに、彼を見出したキャスティングディレクターは『ターミネーター2』で一躍有名になったエドワード・ファーロングを見出した人物でもあったのですが、残念なことにハリウッドの達者な子役はよくこういう生涯をおくります。


4.まとめ

数あるジョン・グリシャムの映画化作品の中でも、ベストの呼び声高い作品です。これだけ達者な俳優陣が、しのぎを削って織りなした名品と言えるでしょう。