映画『バーニング・オーシャン』実際の事故を材料にしたパニック・ディザスター・ムービーです!!
この映画『バーニング・オーシャン(Deepwater Horizon)』は、2010年のメキシコ湾原油流出事故をモチーフとし、監督ピーター・バーグ、主演マーク・ウォールバーグ、共演カート・ラッセル、ジョン・マルコヴィッチでの2016年製作のアメリカ合衆国の災害パニック映画です。ラストには実際の事故映像が使用されています。
目次
1.紹介
2010年に実際に起きた”メキシコ湾原油流出事故”での、”BP”が運営し”トランスオーシャン”が管理する石油掘削施設”ディープウォーター・ホライゾン”の爆破火災事故を描くディザスター・ムービーです。
製作費に1億1000万ドルをかけた作品で、最大の見せ場は、ディープウォーター・ホライゾンが大爆発を起こし炎上する様子を映し出すど迫力映像です。
第89回アカデミー賞では、音響編集、視覚効果賞にノミネートされました。
2.ストーリー
1)プロローグ
石油の掘削技術者であるマイク・ウィリアムズ(マーク・ウォールバーグ)は家族と離れて、メキシコ湾沖の石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾンへと仕事に出掛けます。
掘削施設主任のジミー・ハレル(カート・ラッセル)、操縦者のアンドレア・フレイタス(ジーナ・ロドリゲス)たちとヘリに乗り込み海上へと飛び立っていきました。
2)ディープウォーター・ホライゾン
ディープウォーター・ホライゾンは最新鋭の設備を備えた施設で、作業員の数も常時100名以上に上っています。契約している石油会社BPは、作業が予定より43日も遅れていることに苛立っていました。
ディープウォーターに到着したマイクたちは現状の説明を求めます。前回に来た時は時間が無かったため、十分な安全テストができなかったことをジミーは懸念していました。
普段ならセメント・テストが行われるのですが、作業開始を急ぎたいBPの重役ドナルド・ヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)はセメント・テストを行わずに担当会社を帰してしまいました。
そのとき、ディープウォーターの近くには泥水を積み込むためにバンクストン号が待機していました。
怒ったジミーはマイクを連れてヴィドリンの所へ殴り込みに行きます。ヴィドリンは、セメント・テストはしていないが正圧テストはクリアしたので問題は無いと言いました。それでもジミーは安全のためにも負圧テストは行うべきだと彼を説得しました。
3)安全確認
負圧テストが行われ、圧力計が1395PSIという数値を記録します。普通、安全ならば圧力計の数値はゼロから動かないのだが、この数値は警告が出るほどの数値でした。
ジミーは作業を開始するのは危険だと判断するがヴィドリンは違いました。危険ならドリルパイプから泥水が溢れてくるはずですが、泥水は溢れてきていません。ヴィドリンは、これはブラダー・エフェクト現象だと主張しました。
それを確かめるために、今度は抑圧パイプを使って負圧テストが行われました。針は動いたものの最終的にはゼロを示すという結果が出てヴィドリンの推察が証明される形となりました。
しかしながら、ドリルパイプの数値は相変わらず高いままでした。担当者から結果を報告されたジミーは、悩んだ末に作業開始の許可を出ししました。
4)大爆発
掘削泥水の除去が始まった。だが、汲み上げる泥水の勢いが止まらなくなってきます。担当者が危険を察知したのと同時に、ドリルパイプから泥水が溢れ始めてきました。ヴィドリンは一時的なものだと思いましたが、その瞬間、ものすごい勢いで泥水が噴き上げてきました。
逆流防止装置のスイッチが押されたおかげで一時的に泥水は抑えられたましが、再び高圧力となり泥水はパイプをぶち破ってあふれ出ししました。ドリルパイプからは大噴出となり、壊れた機械の破片と共に施設中に泥水がまき散らされていきました。
ディープウォーターは制御不能となり、掘削穴から泥水と共に噴き出してきた天然ガスに包まれていきます。高回転していたエンジンが負荷に耐えられなくなってショートし、その火花がガスに引火して大爆発が引き起こされます。ディープウォーターは一瞬のうちに燃え上がり、大崩壊しました。
5)決死の脱出
妻とネット電話で話していたマイクは爆発に巻き込まれたが軽傷で済みました。
彼は重傷者を救命ボートの所まで運ぶと、ジミーを探しに施設内へと戻って行きます。シャワーを浴びていたジミーは重傷を負って目も見えなくなっていました。
彼を発見したマイクは、パイプを切らないと大変なことになると言うジミーに従い、彼を連れてブリッジへと向かいます。
停電が発生し、ディープウォーターが海に流されだします。パイプを切らなくては危険だと判断したアンドレアは緊急停止ボタンを押そうとしますが、権限がないと上司に言われ行動を起こすことができません。
ブリッジに辿り着いたジミーは緊急停止ボタンを押してパイプをカットしようとしますが、パイプは切断されず火が治まる気配はありません。パイプが折れたらとんでもないことになります。ジミーは電力を復旧させてディープウォーターを定位置に戻そうと考えました。
ジミーの案を実行するためには補助電力を立ち上げなくてはなりません。マイクは炎に包まれる櫓を抜け、補助電力の操作盤に辿り着くと電源を入れました。アンドレアはディープウォーターを操作し、定位置まで動かして固定しました。
6)必死の脱出
マイクは、避難するため救命ボートの所へと向かいますが、定員に達したボートはすでに海上へと漕ぎ出していました。マイクはゴムボートがあることに気がつき、大急ぎでそれを広げると次々に乗り込ませました。だが、マイクとアンドレアが乗り込む前にボートが海上に落下してしまいます。
海に飛び込みたかったが、海面は流れ出た石油によって火の海となっていました。考えたマイクはアンドレアを連れて高台へと登って行きます。マイクはアンドレアに救命胴衣を付けさせると高台から飛び込めば、燃える海面を飛び越えられるからと飛び込むように言いました。
恐怖に囚われてしまったアンドレアは飛べないと叫びますが、マイクは彼女の意識を逸らした隙に海へと投げ込み、自分もすぐに飛び込んでいきました。
7)エピローグ
彼らはバンクストン号からの救助艇に助けられ、先に助けられていたジミーたちと合流しました。その後、マイクは家族と再会し、今回の事故について証言しました。
ディープウォーター・ホライゾンの事故は今までにない最大級の人災事故となって、11名の尊い命が失われる最悪の結果を残すこととなりました。
3.四方山話
1)制作
“人災”でもあった史上最悪の原油流出事故で、当時報じられた油まみれの“黒いペリカン”の写真は今も人々の脳裏に刻まれています。
ディープウォーター・ホライズンでは、その日、いったい何が起きていたのか。極限の臨場感をこめてその映画化に挑んだのは、ネイビーシールズの悲劇的な作戦を取り上げて『ローン・サバイバー』でもコンビを組んだ主演マーク・ワールバーグとピーター・バーグ監督です。
共演は「ヘイトフル・エイト」のカート・ラッセル、「RED リターンズ」のジョン・マルコヴィッチ、「パーフェクト・プラン」のケート・ハドソンといったベテランたちでした。
しかしながら、批評家、一般の評価は高かったものの、北米興行収入は予想をはるかに下回る約61000万ドル、全世界ではようやく製作費を回収できる約1億2200万ドルという成績で終わってしまいました。
2)カメオ出演
ピーター・バーグの演出に、製作と主演を兼ねるマーク・ウォールバーグ、実力派スター、カート・ラッセル、ジョン・マルコヴィッチ他、豪華競演も話題になった超大作ですが。ピーター・バーグは、ディープウォーター・ホライゾンに到着した主人公らと交代する作業員(スキップ)として出演しています。
3)同材料
本作は、メキシコ湾原油流出事故を映画化したものであり、この事件は2015年にもニコラス・ケイジ主演で『コンテンダー』として映画になっていますが、本作は現場で起きた再現ドラマの意味合いが強く、爆発や流出を必死で食い止めようとした男たちの感動のドラマになっています。
本作はこの事故を人災とみる立場なので、前半はじっくりと事故の背景が描かれ、BP社がいかに無茶な運営をしていたか、現場に不穏な空気が漂っていたかを伝えようとしています。
4.まとめ
ピーター・バーグらしいリアルな絵作りが凄く、徹底的に調べ尽くした結果、細部に至るまで事故の経緯が目で見て分かるものに仕上がっています。
特にディープウォーター・ホライゾンが爆発へと向かう様は圧巻で、テンポやカットの繋ぎ方も見事でした。
実話なので面白いという表現は不謹慎ですが、単純な筋の物語であるのに1時間50分をあっという間に見せきるエキサイティングさに満ちていました。
こういった実話は悪役を描くのが難しいのですが悪役レジェンドのマルコヴィッチが演じたことで説得力が生まれています。