凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『ポセイドン・アドベンチャー』パニック映画の不朽の名作です!!

この映画『ポセイドン・アドベンチャー(The Poseidon Adventure)』は、1969年のポール・ギャリコの小説を原作とした、1970年代に流行したパニック映画の代表的な作品です。1972年の公開で、監督ロナルド・ニーム、主演がジーン・ハックマン、共演でアーネスト・ボーグナイン、レッド・バトンズ、キャロル・リンレイなどが出演しています。

目次

 

 

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1.紹介

1972年に公開され大ヒットし、パニック映画ブームを巻き起こしたレジェンド的名作です。本作の大ヒットによって、当時経営難に陥っていた20世紀FOX社が経営を立て直し、TVに押されていたハリウッド自体も息を吹き返したと言われています。

映画の序盤で、その後苦難の道を歩むことになる登場人物の人間模様を描き出す構成は、その後のパニック映画でも定番となりました。天地が完全に逆転した船内を再現した大掛かりになったセットはアカデミー視覚効果賞を受賞、劇中で歌われる楽曲「モーニング・アフター」はアカデミー主題歌賞を受賞しました。


2.ストーリー

1)プロローグ

豪華客船ポセイドン号はニューヨークを出航、一路ギリシャへの航海を続けていました。嵐の中、機関部からエンジン不調の報告を受けるブリッジに、少年ロビン(エリック・シーア)が飛び込んできます。

ハリソン船長(レスリー・ニールセン)は叱りますが、ロビンはいつ来ても良いと前に言われたと抗弁します。ロビンはサーフィンをやっていると言って、船乗り然として波の高さを読み取ります。船長はそれを若干修正して彼をブリッジから退出させました。

船長はロビンが去った後、乗り合わせている船主代理人(フレッド・サドフ)に、寄航した際燃料を補給しなかったのでバラスト不足で危険だと文句を言いました。


2)危難の前に

嵐は酷く、マイク・ロゴ(アーネスト・ボーグナイン)は弱っている妻リンダ(ステラ・スティーヴンス)の為に船医を呼びます。

船医(ジャン・アーヴァン)は、リンダを他の乗客と同じ船酔いだとあっさり診断し、薬を出して去って行きます。それに心配性のマイクは怒号を上げますが、その通りだとリンダはうんざりした声を出します。

嵐が抜け、ジェームズ・マーティン(レッド・バトンズ)は早速ウォーキングの日課を再開させます。マニー・ローゼン(ジャック・アルバートソン)とベル(シェリー・ウィンタース)のローゼン夫妻はそれを見送り、寄航先で孫と会える事を楽しみにしていました。

神父のフランク・スコット(ジーン・ハックマン)は、共に乗船している同僚のジョン牧師(アーサー・オコンネル)と信仰について語り合います。スコットは、神と信者の関係に関して教会とは違う主張をした為、アフリカへ左遷させられましたが、自由を得たとそれを喜んで居ました。

嵐を無事抜けましたが、船長の不安は拭えませんでした。しかし代理人は、速度を上げて早く目的地に向かう事を船主の代理権限で命じます。この船は既に解体が決まり、航行の遅れは経費を余分に加算させていたのでした。

船長は渋々従います。そんな船の中、歌手ノニー・パリー(キャロル・リンレイ)の歌に、給仕のエイカーズ(ロディ・マクドウォール)は聞き惚れて居ました。ロビンにはスーザン(パメラ・スー・マーティン)という姉が居ました。
彼女は両親不在のこの船で弟の面倒を甲斐甲斐しく見ていました。そのスーザンは、ロビンを連れてスコットのミサに出席します。

スコットは、人は神に頼るだけでなく、自らの力で為し遂げるという事を熱弁していました。

航海は順調に続き、日付は大晦日になります。船では晩餐会が催されます。元娼婦のリンダはその晩餐会に出席するのを嫌がり、マイクを困らせていました。給仕の中に昔の客が居るのを見付けたからです。マイクは気にするなと言い、もう商売させない為に逮捕して結婚したんだと彼女を引っ張って行きました。

 

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3)客船転覆

乗客達は晩餐会を楽しみます。しかし、航路の先で海底地震が起きます。その地震は大波を生み、ポセイドン号はその波に飲まれ転覆していしまいました。

上下がひっくり返った船内で、人々は負傷者の手当て等に勤しみます。チーフ・パーサーは、船の浸水対策は万全なので会場に留まり救助を待ってくれと言います。しかし、一部から救助は船底、現在は船の最上部から来るから移動した方が良いという意見も出ます。船の事を機関士などから聞いているロビンも、プロペラシャフトから脱出できる可能性を口にします。

スコットは、上の方で取り残されて降りて来れないエイカーズの協力を得て、ツリーを模したタワーを梯子にしてこの会場を脱出、機関室を目指す為先導を始めます。

ロビン、スーザン姉弟、リンダ、マイクの夫婦、宝石の装飾品を孫への形見にしてと夫を送り出そうとした妻を説得したローゼン夫妻、マーティンが一緒に乗船していた兄を失って悲しんでいたノニーを連れ、そしてスコットがタワーを登って会場を後にしようとします。

 

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しかし他の乗客達は、チーフ・パーサーの言葉もあり、動こうとしません。その時爆発が起き、会場に海水が流れ込んできて乗客達は我先にとタワーを登ろうとしますが、その重みに耐え切れず、タワーは落ちてしまいます。

脱出方法を失った乗客は阿鼻叫喚を上げます。なす術のないスコットは、歯軋りをしながら先に行った9人を追い船底に向かいました。


4)せまる海水

一行は、火災が発生しているキッチンを抜け、ブロードウェイと呼ばれる従業員通路を抜ける事にします。以前ロビンが、そこを抜けて機関室に行った事があると保障したからです。

船を登る一行ですが、道が塞がっていたので排気筒を使い進む事にします。その間も水はどんどん入ってきて船が沈んでいるのが実感できます。排気口に入り、排気筒を目指します。

最後のマーティンが入る頃には、水が押し寄せて来て居ました。排気筒に出てスコットが先に上がります。皆それに続き、階層を一つ上がって行きます。しかし、その最中また爆発が起こり、エイカーズが落ちてしまいました。マイクが助けに行こうとしますが、救えず彼も階層を上がります。押し寄せる水にノニーが怯えますが、マーティンがそれを優しく宥め、先に進ませます。

先を進むスコットの前に他の生存者達が現れました。彼等は先程の爆発で機関室が駄目になったと思い、船首に向かっていたのでした。スコットは船首は浸水していると訴えますが聞き入れられません。そこにマーティン達が合流し、エイカーズが死んだ事を伝えられます。スコットはマイクに当り散らします。

そんなスコットにマイクは、船首に向かうのが正解かもしれないと怒鳴り返します。そう言われたスコットは船尾を確認してくるとを言い出し、マイクは15分だけ待つと約束を交わします。そんなやり取りを見て動揺する一行にマーティンは、落ち着かせるように何か役立つものを探しましょうと提案し皆散って行きます。

スーザンは不安に駆られてスコットに着いて行きました。スコットの行く先は道が塞がっていて、落胆を隠せません。助かりますよねと縋るスーザンにスコットは、道は他にもあると立ち直って見せます。先を進んだスコットはハッチを開け、スーザンに5分で戻らなかったマイクの所へ戻れと言い残し奥へ向かいました。

他の皆はお互いを勇気付けながら時間を過ごします。約束の時間が経過し、スーザンが帰って来てスコットが戻らないと訴えます。それを聞いたマイクは先に進もうとしますが、もうちょっと待とうというマーティン達と言い争いを始めてしまいます。

そこにスコットが戻ってきて、道を見つけたと吉報を持って来ました。いざ機関室へ向かおうとすると、ロビンが居ない事に気付きます。更にはまた爆発が起き、水が押し寄せて来ました。スコットは皆を先に行かせ、はぐれたロビンを見付け出し、皆と合流しました。


5)ベルの献身

更に奥に進む一行ですが、道は水没していました。スコットはロープを持ち潜って道を付けようとしますが、ベルが女子水泳協会会員だとメダルを掲げ、潜水の記録を作った事があると志願します。しかし危険だと言う事でスコットが行く事になりました。

最初は順調でしたが途中スコットは瓦礫に挟まれてしまいます。ロープが止まり混乱する皆を尻目に、ベルは迷わず水に飛び込んで行きます。彼女はスコットを助け、泳ぎ切って見せました。マニーは水があれば妻は別人だと自慢します。

 

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しかしベルは水から上がった直後、突然倒れてしまいました。自分の死を悟った彼女は、メダルを夫に手渡してくれとスコットに託し、命は大事だと事切れます。スコットはこの人までも召されるのかと慟哭します。

合図が返って来ないのでマイクが向かいます。辿り着いた彼はベルの死を知り驚きます。スコットはマイクに、マニーには何も言わず、皆を連れて来てくれと指示を出します。マイクはベルの勇気を賞賛し、皆の所へ戻ります。

戻ったマイクにマニーは妻の事を聞きますが、彼女はやり遂げたとしか言われません。何かあった事を察したマニーは慌てて水に潜って行きます。ロープを伝って行けと指示するマイクに、ノニーが自分は泳げないと告白したのでマーティンが手を引いて水に入ります。

マニーは水から上がり、妻の亡骸と対面し、悲しみに打ちひしがれます。他の皆も上がって来て、ベルの死を知ります。そんな彼等にスコットは、後少しだと先へ進む事を促します。

 

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流石のマイクもデリカシーがないと彼を注意しますが、先へ進む事がベルの意思を継ぐ事だと言い切ります。スコットはマニーにベルの遺言とメダルを渡します。彼は別れを惜しむ時間が欲しいと願います。スコットは1分待つと告げました。


6)最後の難関

一行はパイプの上を渡り、プロペラシャフトまで後一歩の所まで近付いていました。しかしその時、駄目押しのような爆発が起こり、震動でリンダが炎の中に落ちてしまいました。そして激しく高温の蒸気が噴出し、道を塞ぎました。マイクは嘆き悲しみ、最愛の人を奪ったとスコットを激しく責めます。

スコットはその罵声を聞きながら、神に頼らずここまで来た自分達をまだ邪魔すのかと声を上げます。そしてまだ生贄が欲しいのかとバルブに飛び付き、宙に浮いた状態で死んで言った者達の名を上げながら自分を殺せとバルブを閉じます。

 

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蒸気は止まりましたが、足掛かりもなく彼はもう戻れませんでした。スコットは皆の方を振り向き、マイクに皆を連れて行けと叱咤します。そして彼は力尽き炎の中へ身を投じました。スコットの死に動揺が広がります。

マーティンは後を託されたマイクに泣き言ばかり言っていないで先導してくれと声を上げます。マイクは立ち上がり、プロペラシャフトまで皆を連れて行きます。しかしそこは行き止まりでした。驚く皆にロビンは、ここの鋼板は薄い場所だから見付け易い筈だと説明します。

その時、何かを叩く音が聞こえたような気がします。皆は慌ててそこら中を叩き生存を知らせますが反応がなく、ノニーは膝を崩してもう止めてと絶望します。しかしマーティンはスコットならやめないと音を出し続けました。そして、確かな反応が返って来ました。鋼板が切り裂かれ、一同は遂に救助隊と出会います。マイクはスコットの正しさを認めますが、死んだ者達の事を憂います。

 

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7)エピローグ

救助隊は船首側は駄目だったと話し、彼等を救い上げます。生存者達を乗せたヘリコプターは、漂う船底から舞い上がり、船を離れて行きました。

 

 

3.四方山話

1)パニック映画のレジェンド

この作品で当時パニック映画(ディザスター・フィルム)と呼ばれるジャンルが確立して、アーウィン・アレンを中心とするスタッフが、この時の特撮技術を活かし、2年後に『タワーリング・インフェルノ』を製作しました。

製作費1200万ドルは船のセット、転覆場面の撮影、1135万リットルの水に大半が消費されたそうです。まだコンピューターグラフィックの無い時代で全て実写でした。撮影には実在する豪華客船のクイーン・メリー号が使用されました。


2)キャラクター

フレンチ・コネクション』(1971年)でアカデミー主演賞を受賞したジーン・ハックマンの”進歩的型破り”な意志の強い牧師役は、やや強引にも思えますが、危機に立ち向かおうとする強さの象徴的人物として、それを熱演し、その統率、実行力に、見ている者も励まされます。

共演陣では、粗暴だが人間味があり憎めない刑事アーネスト・ボーグナインの圧倒的迫力、いつものユーモラスな演技に加え、優しさをにじませるレッド・バトンズ、また、アカデミー助演賞にノミネートされ、水中シーンも見事にこなしたシェリー・ウィンタースらが特に印象に残る。

主題曲は、作品中キャロル・リンレイが歌う「モーニング・アフター」は大ヒットしましたが、これはモーリン・マクガヴァンの吹き替えでした。

 

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4.まとめ

1970年代に巻き起こったパニック映画ブームの火付け役となって、オカルト映画で言えば『エクソシスト』に当たる、ディザスター・アクション映画の金字塔と言えるだけでなく人間ドラマとしても一級の作品でしょう。