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映画『グッドモーニング, ベトナム』異色のベトナム戦争映画です?!

この映画『グッドモーニング, ベトナム(Good Morning, Vietnam)』は、監督バリー・レビンソンで、主演ロビン・ウィリアムズによった、ベトナム戦争における戦争の冷酷さに翻弄される5ヶ月を描いた1987年制作のアメリカ映画です。

 

目次

 


1.紹介

一人のAFNDJが、兵士達を笑いとロックで癒し、戦争の冷酷さに翻弄される5ヶ月を描いたベトナム戦争映画の中でも異色の作品です。

戦争の無意味さ、人種差別、アメリカの一方的介入を、バリー・レビンソンは、現地の人々と親交を深める主人公の目を通して、それらを真正面から描こうとしています。

爆発テロの場面などもありますが、ベトナム戦争を舞台にした作品にしては、戦争の生々しい戦いを描写したシーンはほとんど見られない作品です。

 


2.ストーリー

1)プロローグ

1965年のサイゴンで、アメリカ陸軍のテイラー准将(ノーブル・ウイリンハム)が、ラジオ局のAFRSに空軍の人気ディスクジョッキー、 エイドリアン・クロナウアー(ロビン・ウィリアムズ)を呼び寄せました。

エドワード・ガーリック上等兵(フォレスト・ウィテカー)は、クロナウアを、基地の飛行場で迎えたその瞬間から彼を気に入ってしまいました。


2)着任

早速、局に向かったクロナウアーは、テイラー将軍の歓迎を受け、直属の上官スティーヴン・ ホーク少尉(ブルーノ・カービー)と責任者ディッカーソン曹長(J・T・ウォルシュ)に挨拶しました。

元々、人気DJが必要か否かで、テイラー将軍に意見していたディッカーソンは、クロナウアーの服装や態度をいきなり非難し、それを正すよう強い口調で警告します。

翌早朝、ガーリックに無理矢理に起こされたクロナウアーは、DJのリー・ドライウィッツ(ロバート・ウール)と入れ替わりで、サイゴンでの第一声を発する。

”グ~~~~モーニング, ベトナム!!”


3)大うけ

クロナウアーは、ムード音楽で兵士を癒そうとする従来の放送を全く無視し、きわどい言葉をまくし立て、ロックを多用した放送を始めてしまいます。

ガーリックやドライウィッツら、放送担当者は驚いてしまい、クロナウアーの放送は兵士達にも大受けしました。

しかし、ディッカーソンと同じ意見のホークは、当然のごとくクロナウアーの放送にけちをつけます。クロナウアーはそれを気にもせず、普段から上官ホークに敬意を払わないガーリックらは、彼の話を笑い飛ばすのでした。


4)出会い

ある日、クロナウアーは、現地の女性トリン(チンタラー・スカパット)を街角で見かけ一目惚れしてしまいます。

 

 

クロナウアーは、トリンが通う英語学校の教師に成りすまし、彼女に接近しようとしました。

その後クロナウアーは、居合わせたトリンの兄トゥアン(ドゥング・タン・トラン)と親しくなります。

トゥアンは、妹が目的のクロナウアーを警戒するものの、ジミー・ワー(クー・バ・ヌグエン)のバーで、アメリカ兵に侮辱された自分を、体を張って助けようとした彼を信用しました。

クロナウアーは、バーで暴れたことを、ディッカーソンに脅されるように責められますが、彼は一向に怯みません。

その後、クロナウアーは、ようやくトリンと会うことができて喜ぶものの、彼女の親戚10人を引き連れてのデートでした。


5)テロ勃発

クロナウアーは、ベトナムを訪れたニクソン元副大統領までも茶化してしまい、怒り心頭のホークとディッカーソンは、テイラー将軍にそれを訴えますが、将軍は大目に見て2人を追い払いました。

その日の午後、クロナウアーがジミー・ワーのバーにいると、トゥアンが現れて彼を外に連れ出します。

次の瞬間、アメリカ兵を狙ったと思われるテロで、バーが爆破されてしました。怒りを露にしたクロナウアーは、ディッカーソンが制止したにも拘らず、そのテロについて放送でしゃべってしまいます。

ホークとディッカーソンは、テイラー将軍にクロナウアーの暴挙を再び訴え、将軍は彼を停職にしました。

クロナウアーの後任を努めたホークの原稿の悪さを指摘するガーリックやドライウィッツは、何とか放送を止めさせようとします。

しかし、それを無視して始めたホークの放送は最悪にも拘らず、彼は、自分には笑いの才能があると思い込んでいました。

気落ちするクロナウアーを励まそうと、トゥアンは彼を自分の村に連れて行きました。

 



6)復活のために

その後、局にはクロナウアーの復帰を望む声が殺到し、テイラー将軍は彼を復帰させようとします。

しかし、村でトリンに交際を断られたクロナウアーは、抜け殻のようになってしまいました。

ガーリックは、クロナウアーを励まして復帰を促しますが、彼はそれを聞き入れようとしません。

そんなクロナウアーは、前線に向かう兵士達に通りで遭遇して、彼らの要求でパフォーマンスを披露します。

死に直面した兵士らの笑顔で、ガーリックが言う通り、彼らが自分を求めていることを知ったクロナウアーは、それをきっかけに息を吹き返しました。

 



7)危機

その後ディッカーソンは、クロナウアーとガーリックを危険地帯と知りながら、取材に向かわせます。

地雷の爆発で車を失った2人は、その場に現れたベトコンの捜索を逃れ、森林地帯を徒歩で進みました。

その頃、トゥアンは、2人が危険地帯に向かったことを知って、車で現場に向かいます。

トゥアンは二人を見つけますが、車が故障してしまい、徒歩でサイゴンに戻ろうとした3人は、運良くヘリコプターに救出されました。


8)名誉除隊

局に戻ったクロナウアーは、ディッカーソンから除隊を言い渡されます。

クロナウアーの、息の根を止めようとするディッカーソンは、トゥアン、別名ファン・ドク・トーがベトコンで、テロに絡んでいることを彼に知らせました。

今回は、テイラー将軍もクロナウアーをかばいきれなかったものの、将軍は、ディッカーソンの性格の悪さを非難し、グアムへの左遷を言い渡しました。

トゥアンの危険を知ったクロナウアーは、トリンから彼の居場所を知らされます。

しかし、トゥアンから、アメリカ人に殺された家族や隣人のことを聞いたクロナウアーは、やり切れない思いでその場を去りました。

クロナウアーは帰国することになり、ガーリックやMPと共に飛行場に向かう途中、偽教師を続けていた英語学校に通う人々と、ソフトボールをして楽しい時間を過ごしました。


9)エピローグ

クロナウアーは、その場に姿を見せたトリンに別れを告げて飛行場に向かい、ガーリックにメッセージを録音したテープを渡してサイゴンを飛び立ちます。

そして、局に戻ったガーリックは、クロナウアーの別れの言葉を放送で流すのでした。

 

3.四方山話

1)異色のベトナム戦争映画

本作は、交戦シーンや残酷なシーンなど、戦争映画に付き物のシーンが比較的少ない点が、他のベトナム戦争映画と一線を画しています。

他のベトナム戦争映画に多くみられるような、あからさまな反戦、あるいは戦争の美化を謳いはしませんが、戦争のむなしさや冷酷さ、アメリカ軍内の硬化した体質や情報操作、アメリカ人のベトナム人に対する人種差別やベトナム人女性蔑視を表現しています。

そしてアメリカによる他国への一方的な価値観の押し売りを柔らかに批判した快作とも評され、ロビン・ウィリアムズゴールデングローブ賞主演男優賞を獲得、アカデミー賞主演男優賞候補にもなるなど高い評価を得ました。


2)実在の人物

本作の主人公のエイドリアン・クロンナウアは実在の人物で、除隊後は弁護士をしていました。最終階級は軍曹でした。

登場した番組はクロンナウアが1965年から1966年までAFVN(Armed Forces Viet-nam Networks、ベトナム米軍放送)で担当していた「Dawn Buster」をモデルにしたもので、ストーリーの多くが本人の体験に基づいています。


3)芸達者なキャスト

本作においても、ロビン・ウィリアムズは、誰にも真似できないであろう才能を存分に発揮しています。そのマシンガントークは、セリフかアドリブなのか全く区別がつかないほどであり、驚異的なパフォーマンスを見せます。

主人公に惚れ込む、やや間の抜けた一等兵役のフォレスト・ウィテカーも、演技派として成長する実力の片鱗を見せてくれています。

クロナウアーを厄介払いしようとする、三枚目風の少尉ブルーノ・カービーと、憎らしいことこの上ない上級曹長J・T・ウォルシュの、両上官の熱演も”敵役”として印象深い演技を見せいます。


4)挿入歌

「この素晴らしき世界」( What a Wonderful World)は、1967年のルイ・アームストロングの楽曲で、作詞・作曲はジョージ・ダグラスとジョージ・デヴィッド・ワイスです。

ジョージ・ダグラはベトナム戦争を嘆き、平和な世界を夢見て、この曲を書いたそうです。アメリカ合衆国では中ヒット止まりでした。

その後、1987年の本作で、戦時中の南ベトナムの牧歌的田園風景とその中で起きるテロや空爆等戦場の現実を映す印象的なシークエンスにBGMとして起用され、全米32位というリバイバル・ヒットとなりました。

 

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4.まとめ

私のロビン・ウィリアムズフィルモグラフィーは、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』『レナードの朝』そして『グッドモーニング, ベトナム』となっています。

経歴からみても、本作は彼のはまり役、真骨頂なのでしょう。

こんな作品を残してくれた彼の生涯に思いを寄せればまことに痛ましく残念なものに思われます。