映画『ランボー3/怒りのアフガン』人気シリーズ第3弾ステージが変わりました!!
『ランボー』はアメリカ国内でベトナム帰還兵の話、『ランボー2/怒りの脱出』は、ベトナム戦争未帰還兵救出の話、で第3作は『ランボー3/怒りのアフガン』となり舞台も変わり、捕虜なった元上官の救出のお話となりました。
ベトナム戦争の後遺症的なテーマの前2作に対し、事情の異なるアフガン紛争に舞台は移りましたが、絶望的に困難なミッションにランボーが1人で立ち向かうというシチュエーションは同じです。
事の起こりは、アフガン紛争のソ連介入の末期戦局を一変させたといわれる対戦闘ヘリ用スティンガーミサイルの反政府陣営への供給に関する調査依頼でした。
いったん断ったジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)でしたが、サミュエル・トラウトマン大佐(リチャード・クレンナ)が潜入したもののザイセン大佐(マーク・ド・ジョング)率いるソ連軍に逮捕監禁されたことを告げられ救出に向かうことになりました。
ランボーは、すぐさまアフガンに向かい、現地のアフガン・ゲリラ(ムジャーヒディーン)のモーサ(サッソン・ガーベイ)と協力してソ連軍の要塞に潜入します。
激しい戦闘の末、ランボーはトラウトマン大佐を救出しますが、ザイセン大佐は最強の軍隊を引き連れてランボー達を追撃します。
戦車・装甲車・戦闘ヘリの攻撃に万事窮すとなりますが、間一髪で、マソード(スピロス・フォーカス)率いるムジャーヒディーンの兵士が西部劇の騎兵隊よろしく馬に乗ってランボーを加勢にやってきて形勢は逆転します。
ロケ地は冒頭のランボーの隠遁地はタイ、アフガンの風景はイスラエル、そしてアリゾナ州で行われています。
イスラエルでは14週間に及ぶ長期ロケとなりましたが、当局からの規制が厳しく、終盤の荒野における大規模な戦闘シーンはアリゾナで撮影されました。
それにしても、劇中のペシャワールやアフガニスタンの場面の大半はイスラエルで撮影されたそうです。アフガニスタンの景色は我々には縁遠いものでしかありませんが、あのような草木も生えない、不毛の砂漠や山岳地帯の映像は容易に想像がつきました。
しかしながら、ソ連軍の基地は海に望む断崖の縁にセットを築いた関係で絶対見えるはずのない海が画面内に入らないように撮影されたそうです。
このほかランボーがアフガニスタンで見る山々のシーンは紅海のほとり近郊で撮影され、アフガンでは普通に遠方に見えるであろう雪山は合成したものとなりました。
また、ランボーが居候していた長い階段のタイの寺院は野外セットではなく、建築中の本物の寺院が使われたそうです。
ただ、ランボーの背景はジャングルと泥水がよく似合い、また付き物のようでもありますが、シリーズ中この作品だけが、乾燥地帯となっています。
アフガニスタンについての興味深いシーンがありました。ランボーを案内するアフガン人モーサによって、
「アフガニスタンは、昔、アレクサンダー大王が、次にチンギスハンが征服を試みて、さらにイギリスがやって来て今はソ連だ。でもアフガン人は負けない」
ソ連軍の捕虜となったトラウトマン大佐によって、
「愛国心をもったゲリラがいる国を征服はできない。我々はベトナムでそれを体験した。」
といわせていましたが、このように、ベトナム戦争でアメリカは20年、アフガン介入でソ連は10年の辛酸をなめてきました。
国家や軍部の思惑で、民衆や兵士にとって、いつも理不尽で堪えがたい苦痛があるにも関わらず、さらに苦痛を助長させている現実をランボーシリーズはつきつけています。
ともあれ、多種多彩な銃器の使用に加えて、イスラエル軍の協力による、中東戦争で実際にシリアやエジプトが使用してイスラエルに捕獲されたT-54/55、BRDM-2、BTR-60、ZSU-23-4といったソ連製兵器が登場しています。
これ以外にもイスラエルがヨルダンから捕獲したイギリス製のサラセン装甲車や、イスラエルが元々使用していたアメリカ製のM3ハーフトラックも登場していて軍事マニアにはこたえられない映画となっています。