凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『逃亡者』この映画の醍醐味はどこに?!

『逃亡者』は、アメリカABC系列で、1963年から1967年まで放送され、日本でもTBS系列で1964年より放映されて共に大ヒットしました。そのリメイク作品映画版です。

 

   f:id:mattyanp2016:20181012224710j:plain

 

 

そのテレビドラマのヒットぶりは半端なく、アメリカでの最終回の視聴率は50%で、当時のアメリカにおける視聴率の最高記録を樹立したそうです。

 

         f:id:mattyanp2016:20181012224953j:plain

 

日本でも、最終話の放送時刻には、往年のラジオドラマ「君の名は」のように、銭湯が空になったそうです。当時のTVガイドによると、日本での最終話の視聴率は、前編が24.5%、後編が31.8%でした。

 

1993年公開時、ハリソン・フォード51才、トミー・リー・ジョーンズ47才でしたがどう見ても逆の年齢にみえます。脚本を読んだハリソン・フォードは、当初、ジェラード役を熱望したといいますが、当時もう功成り名をとげ、油の乗り切った彼が所望したほど魅力のある役を、トミー・リー・ジョーンズが演じ、アカデミー賞助演男優賞受賞をかっさらってしまいました。

 

          f:id:mattyanp2016:20181012225730j:plain

 

この映画では、ジェラード連邦保安官補のキンブルを幾度となく窮地に追い詰める非情さや、逃亡犯を追う偏執狂的執念が描かれる一方、感情移入できるような描写が少なかったテレビドラマ版のジェラード警部とは異なり、キンブルの行動に有罪を確信できず、自ら再捜査に乗り出し、逮捕後のキンブルに温情をかけるなど美味しい役どころとなっています。

 

さて映画は、物語の舞台が映画公開当時の現代へと置き換えられて、設定やストーリーは変更されていますが、無実の罪を着せられながらも妻を殺害した真犯人「片腕の男」を追う医師キンブル(ハリソン・フォード)と、彼を逃亡犯として追う好敵手ジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)、という骨子はテレビドラマ版を踏襲しています。

 

この映画の元になっているテレビドラマ版の『逃亡者』は、1954年にアメリカ・オハイオ州でサミュエル・シェパード医師がその妻を殺害したとされた現実の冤罪事件に脚色を加えた小説を元に作られています。

 

このサム・シェパード事件は、当時マスコミに大きく取り上げられ、本にもなったために、アメリカでは有名であり、ドラマ「逃亡者」がヒットしたのはこうした背景もありました。しかしながら、1966年に行われた再審の結果、無罪判決が出ると、アメリカ国民の興味は急速に薄れ、視聴率も下降して、打ち切りが決定しました。しかしながら、さすがに最終回は、前述の通り高視聴率の新記録を樹立しました。

 

この事件には、後日談があって、サムは再び開業しましたが、周囲の疑いの目は変わらず、患者は訪れることはなく、あげくサムは酒とドラッグに溺れ、金に困ってプロレスラーに転身したものの、間もなく1970年に肝不全で死亡しました。

 

        f:id:mattyanp2016:20181012225325j:plain

 

この「無実の主人公が警察などの追っ手から逃げつつ、真犯人を捜し出す」という形式には人気があって、この映画以外にも様々な「逃亡者」が作られ、逃亡者という題名を付与されずとも似たような形式の作品は多くあるようです。いわんや「逃亡者」を冠した映画はアメリカではヘンリー・フォンダ、ミッキーローク、日本では長門裕之田原俊彦江口洋介などなど、まことに多くの映画やドラマが作られています。

 

         f:id:mattyanp2016:20181012225248j:plain

 

さすがに、25年も前の映画です。ジェイソン・ボーンシリーズの様なテンポと迫力の追っかけ劇は望むべくもありませんが、トミー・リー・ジョーンズ扮するジェラード連邦保安官補のキンブルへの追跡捜査に対する執念と迫力はドラマを盛り上げるのに補って余りあるものがありました。