凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『ラストスタンド』まことに面白い西部劇風アクション映画です!!

アメリカでは大ゴケしたというこの映画ですが、当時66歳のシュワちゃんが、歳相応に枯れたアクションと演技で西部劇を思わせるステージとストーリーを見せて、楽しませてくれました。

 

原題の「The Last Stand」は、最後の砦とか背水の陣などの意味で、西部開拓時代のカスター将軍の第七騎兵隊全滅から「Custer's Last Stand」なる言い回しなどで英雄視されていたこともありましたが、近年はインデアン側からの見方で180度評価が変わってきたみたいです。


そんなタイトルの通り、シュワちゃんの追跡側では、国境突破阻止の「最後の砦」であり、逃亡犯サイドでは見くびっていた相手に全滅の憂き目にあって、まさにコルテスの「ラストスタンド」になりました。

 

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物語は、元ロサンジェルス市警の敏腕刑事レイ・オーウェンズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、現在は第一線を退き、メキシコ国境の田舎町ソマートンで保安官として住民からも信頼され、静かな日々を送っていました。

 

そんなある日、FBIのジョン・バニスター捜査官(フォレスト・ウィテカー)より、麻薬王にして警官殺しの凶悪犯ガブリエル・コルテス(エドゥアルド・ノリエガ)が、手下の援護で脱走に成功し、そのまま猛スピードでメキシコ国境へと逃亡していると連絡をうけました。

 

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住民の老人が射殺され、部下の一人を失ったレイは、なんとしてもコルテスとその一味の逃亡をこの街で食い止めようと決意します。

 

田舎町のメインストリートにずらりと横に並んだ悪漢一味、迎え撃つのは老保安官と間に合わせの助手です。このパターン、マカロニ・ウエスタンや本家の西部劇で何度も見かけたシーンで、ここまでくると微笑ましくもあります。

 

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さらに、悪漢一味は最新の銃器とグレネードランチャーまで装備しているのに対し、保安官側は、マニアがこっそり集めた第一次大戦物の銃器で立ち向かいます。ドラム式弾倉のトミーガンをぶっ放し、ヴィッカース機関銃を撃ちまくります。時代錯誤ではありますが、そこが銃器愛好家にとってはたまらないところです。

 

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このように、コミカル路線のアクション映画ですが、冒頭で駐車違反として町長のシボレー・カマロ ZL1のキーを取り上げておいて、最後の追撃で使ってぼこぼこにしてしまったり、若い野心的な副保安官が早々に殺されてしまうことによって、チームの強烈なモチベーションになったりして、伏線や筋道の整合性もしっかりとっています。

 

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また、逃亡犯のガブリエル・コルテス(エドゥアルド・ノリエガ)自らシボレー・コルベットZR1の改造モデル車で逃げるのも、匿名で公式レースに参加するほど運転技術が高いとか、へりで逃げるより早いとか、自己顕示欲が強いからとか、とってつけてような理屈をつけています。

 

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それにしても、ロートル保安官が、ちょっと間の抜けた副保安官や、経験不足のまじめな女性副保安官、素っ頓狂な銃器マニア、カフェにたむろしている老人たち、対する悪人たちは、住民を事も無げに射殺し、田舎の保安官を小ばかにしている割に抜けたところもあり、FBIはあたまから保安官をみくびっていて、犯人逮捕後にあやまることになります。西部劇の逆転劇のパターンをフル装備している感があります。

 

だから面白いのでしょう。もともとコミカルな一面を見せていたアーノルド・シュワルツェネッガーですが、この映画は絶好のシュワちゃんの舞台となりました。コミカル・アクション映画に理屈は無用です。

公開の前々年に年甲斐もなく発覚した隠し子スキャンダルの影響かもしれませんが、世間の評判はともかくもっと評価されていい映画だと思います。