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映画『ジュラシック・パークIII』シリーズ第3弾!最強スピノサウルスの登場です!!

 

この映画『ジュラシック・パークIII(Jurassic Park III)』は、2001年に公開されたアメリカ映画です。『ジュラシック・パーク』(1990年)、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997年)から続くシリーズの第3作作品です。

目次

 

 

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1.制作

シリーズの前2作が「マイケル・クライトンSF小説の映画化」という形をとっていたのに対し、この作品では基本的に映画独自のストーリーが展開されています。監督は前2作のスティーヴン・スピルバーグからジョー・ジョンストンに変わり、タイトルのロゴマークはスピノサウルスに変わりました。

原点回帰をテーマにしていて、背景には「生命倫理や生命の進化・歴史」、人間が「神の真似事」をすることへの批判精神等は、原作及び1作目から引き続き受け継がれています。また、スピルバーグの作品でよく指摘される「親子関係」も1作目とは異なる形で見られることになりました。

主人公は再びアラン・グラント博士となり、演じるサム・ニールは同じ役を再び演じるのはこれが初めてでしたが、思い入れの強い役であることや、ファンからも再登板を望む声が多かったことからオファーを快諾しました。


2.ストーリー

1)プロローグ

コスタリカの西330kmにある、全島立入禁止のソルナ島、その付近の上空を、パラセーリングする男ベン・ヒルデブランド(マーク・ハレリック)と少年エリック・カービー(トレヴァー・モーガン)がいました。彼らはソルナ島に恐竜がいるのを知っており、クルーザーに引っ張ってもらいながら、島を上空からビデオカメラで撮影していました。

霧がかかり、やがて晴れ間に見えたクルーザーには、血痕を残して乗員がいませんでした。無人のクルーザーは岩礁にぶつかり、ベンとエリックは固定した紐を外して島へ避難着陸することになりました。


2)グラント博士の近況

ジュラシック・パークでの事件から8年後。アラン・グラント博士(サム・ニール)は、エリー・デグラー(ローラ・ダーン)と彼女の息子チャーリー・デグラー(ブレイク・マイケル・ブライアン)とまだ赤ん坊の女児に会っていました。
かつて恋人同士だった2人は別れて、エリーは国務省に勤務する外交官マーク・デグラー(テイラー・ニコルズ)と幸福な家庭を築いていました。

グラント博士は有名な学者で講演会を開くと満員になるほどですが、聴衆が聞きたいのはグラント博士が体験したジュラシック・パークのことと、サンディエゴで起きたT-レックス襲撃事件への感想でした。講演会で資金協力を募っても、はかばかしくありませんでした。

グラント博士と若い男性助手ビリー・ブレナン(アレッサンドロ・ニヴォラ)は、現在はモンタナ州立ロッキー博物館で研究をしています。フォート・ペック湖で採掘をしますが、残りの期間は4週間、資金は3週間分しかありませんでした。

助手・ビリーは発掘したラプトルの頭蓋の共鳴腔で、笛のような音色が出せると言い、グラント博士の「ラプトルは会話しているのではないか」という裏付けを作りました。


3)問題の依頼

名の知られているカービー社のポール・カービー(ウィリアム・H・メイシー)と妻アマンダ・カービー(ティア・レオーニ)がグラント博士を訪問しまし、恐竜が存在するソルナ島の上空を飛ぶ許可を得たので、案内してほしいと依頼しました。

ソルナ島とはジュラシック・パークの2つめの島です。ジュラシック・パークはサイトAと呼ばれ、その他にサイトBなる恐竜を供給するための遺伝子工場が存在し、そのサイトBがソルナ島でした。

ポール夫妻の結婚記念日のイベントのためで、渋ったものの多額の研究資金を約束されたグラント博士は応じます。助手のビリーも同行することになりました。


4)ソルナ島へ

ポールとアマンダ夫妻が調達した小型セスナ機にグラント博士とビリーも乗り込み、ソルナ島の上空にやってきました。

メンバーはほかに、銃の達人クーパー(ジョン・ディール)、セスナの操縦者ユデスキー(マイケル・ジェッター)とM.B.ナッシュ(ブルース・ヤング)です。

ところが「上空から案内してほしい」と言われていたのに、飛行機は島へ上陸しようとしています。

制止しようとしたグラント博士はクーパーに後頭部を殴られて気絶し、意識を取り戻した時には、飛行機は既に島へ着陸していました。

 

5)明かされた真実

実はポールとアマンダ夫妻の目的は、2か月前にこの島の近くでパラセーリング中に事故に遭い、行方不明になった息子・エリックを探すことだったのです。

ポールとアマンダは厳密には1年前に離婚した「元夫婦」でした。息子・エリックはアマンダが引き取って育てており、男友達のベンがエリックを連れてソルナ島に向かい、行方不明になったのです。

アマンダは元夫のポールに助力を仰ぎ、今回の強硬手段に出たのでした。ポールは「カービー社」という一流企業の名を出しましたが、実際には「カービー塗装タイル店(個人商店)」の経営者です。


6)恐怖の始まり

恐竜がいるにもかかわらず、拡声器を使って息子・エリックの名を叫び出したアマンダを止めたグラント博士ですが、時既に遅しで、背びれのあるワニみたいな大きな肉食恐竜スピノサウルスがやってきます。

慌ててセスナで再び飛ぼうとしましたが、逃げ遅れてセスナに乗り損ねたクーパーが滑走路に出て来たため離陸に失敗し、セスナは樹上に落ちて真っ二つに割れてしまいました。

 

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クーパーはスピノサウルスに食べられ、衛星電話で救助を要請していたナッシュも、大破したセスナの中でスピノサウルスに食われてしまいました。


7)エリックの生存

グラント博士と助手・ビリー、ポールとアマンダ元夫妻と操縦士・ユデスキーの5人が森を歩いていると、パラシュートが見つかりました。そばにビデオカメラも落ちています。

バッテリーは切れていましたが充電器に接続してビデオカメラを再生すると、墜落直前までの映像が映っていました。エリックは生きているという希望を、アマンダは持ちました。

パラシュートも持って行くことになり、ひきずりおろすと、そこにはベンのミイラ化した遺体がありました。アマンダはそれを間近で見てショックを受け、思わず走り出します。

泣くアマンダを慰めるポールですが、アマンダが泣いているのはベンの死が悲しいからではなく、息子・エリックがここで2か月を過ごしていたであろうことに対してだと告白しました。


8)ラプトルからの逃避

ポールが恐竜の卵がたくさんあるのを見つけます。その卵の形を見て、グラント博士は嫌な予感がしました。過去にグラント博士がさんざんな目に遭わされた、ラプトルのものでした。

ビリーが怪しい動きをします。写真撮影だと嘘をつきますが、ビリーは卵を2つ盗みました。

グラント博士たちは研究施設の場所に行きますが、長年放置されているので、中は荒れ放題です。電話も当然通じません。

自動販売機を壊して食料と飲料を手に入れますが、施設内でラプトルと出くわしました。中に閉じ込めて、一行は草食恐竜にまぎれて逃げます。

しかしユデスキーがラプトルに捕まって殺されました。他のメンバーは木の上に逃げ、ユデスキーの腕が動いたのでアマンダが助けに行こうとしましたが、それは賢いラプトルの罠で、ユデスキーは死んでいました。


9)エリックと遭遇

他のメンバーからはぐれたグラント博士は、ラプトルに襲われたところを、なんと催涙弾で助けられます。助けたのは、探していた相手・エリック少年でした。

エリックは研究施設にあった物品を工夫して使い、施設の近くで生き延びていたのです。施設の近くにいれば、誰か助けが来るかもしれないと考えていたのでした。

少年・エリックは、離婚した自分の両親が探しに来てくれているのを知って感激し、さらに助けた相手がグラント博士だと知って驚きます。

グラント博士たちは、はぐれた時には海で合流しようと約束していました。皆それぞれ海に向かいます。翌朝、グラント博士は川岸に古い船を発見し、使えそうだと思います。

 

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海に近づいた途中で、エリック少年は携帯電話の着信音を聞きつけます。父・ポールの衛星電話の着信音で、すぐ近くにポールがいると思って駆けだしたエリック少年は、ポールとアマンダ、助手・ビリーと再会しました。


10)スピノサウルスの襲来

交流電圧の柵に挟まれていますが、一同は再会を喜びましたが、電話の着信音は別の場所から聞こえます。衛星電話はポールが持っているのではなく、救援を呼ぶためにナッシュが使っていました。

嫌な予感は的中し、ナッシュを食べたスピノサウルスが近づいており、携帯電話の着信音は、その腹の中から聞こえていたのでした。

ピノサウルスはエリック少年とグラント博士側におり、2人は柵の内側へ急いで入りますが、スピノサウルスは柵を難なく壊して追ってきます。5人は施設内に逃げ込み、金属の扉を閉じて回避しました。


11)ラプトルに追われる理由

グラント博士は逃げてはぐれた際、ビリーのバッグを見つけて持ち歩いていましたが、助手のビリーが返してくれと懇願します。

ぴんときたグラント博士がバッグを開けると、中には卵が2つ入っていました。ラプトルが執拗に自分たちを追ってきたのは、卵を盗まれたからだとグラント博士は悟りました。

助手のビリーは、売れば10年分の発掘資金になると思って盗んだと白状しました。しかし仲間を危険な目に遭わせたことで、ビリーは負い目を感じます。

崖から落として捨てようかと思ったグラント博士ですが、捨てても根本的解決にはなりません。とりあえず保管することにしました。


12)翼竜の襲来

川岸にある古い船で下流の海まで移動しようと考えたグラント博士は、施設内の鉄階段を利用しましたが、腐食していて途中までしか降りられませんでした。やむなく別のつり橋を使って1人ずつ慎重に移動することにしました。

 

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ところがそこは翼竜の鳥かごでした。エリックが翼竜にさらわれ、巣のヒナたちに食べられそうになります。負い目を感じていたビリーが、すかさず森で見つけたパラシュートを使って追っていき、エリックを助けました。ビリーはエリックを助けて川に落とした後、パラシュートがガケにひっかかって翼竜に襲われます。

グラント博士とポール、アマンダ、エリック少年は古い船に乗り、下流へ行こうとします。ガソリンは満タンだと確認し、エンジンはかけずに流れに乗って下りました。


13)救助依頼

再び携帯電話の着信音が聞こえたので、4人は警戒しますが、今度は排泄物の中からでした。衛星電話が仕えると救助を呼べるので、みんな必死で排泄物に手を突っ込んで探します。

アマンダが見つけますが、電話は1回しかかけられそうにありません。グラント博士はエリーに電話をかけますが、息子・チャーリーが出てしまい、テレビに見入ったりなどして、なかなか母・エリーに渡しません。

やっとエリーに繋がったグラント博士は「川だ! サイトB!」と言いますが、そこで通話は切れてしまいました。


14)最後の闘い

川から背びれが出現し、スピノサウルスが襲ってきました。船は沈み、人間たちは檻に入った状態になってしまいます。

 

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ポールが崖にあったクレーンでスピノサウルスを引きつけている間に、グラント博士が船のガソリンを抜き、発光弾で引火させました。炎に包まれたスピノサウルスは、川で消火した後、退散します。

やっと海に出ようとする直前で、グラント博士、ポール、アマンダ、エリックはラプトルの群れに囲まれました。ラプトルは襲ってこず、人間側の出方を見ています。

 

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卵を取り戻すのが狙いだと気づいたグラント博士は、バッグから卵を取り出してアマンダに差し出させ、その隙に助手・ビリーが作ったラプトルの共鳴腔のレプリカを吹き、気をひきました。ラプトルは卵を咥えると、そのまま立ち去りました。


15)エピローグ

海に出ると救援ヘリと海兵隊が到着しており、迎えてくれました。短い通話ではあるものの、エリーが事情を察して救援ヘリを要請していたのでした。

一行は助かり、ポールとアマンダは復縁しそうな気配で、翼竜に襲われたビリーも救助されていて、グラント博士に帽子を渡しました。


3.みどころ

1)やらかしキャラ

序盤は一番のやらかしキャラの母・アマンダがお約束連発で物語を引っ張る。洋画では小さい女の子がよくこの役割りをしています。ここでは大の大人が言うことを聞かず大声で喚き散らします。解っていても殴ってやりたいほどでないといい演出とは言えないのでしょう。


2)たくましすぎる息子

中盤ではエリックが行方不明となったのが2ヶ月前だと判明します。そしてキラプトルに囲まれた博士を助けてくれたのはエリックで、なんと彼は一人でたくましく生き延びていたのでした。

博士が「(生きていたのは)奇跡としか言いようがない」と話しかけてもエリックは「たった2ヵ月?」とケロリ。さらには、翼竜に連れ去られても、駆けつけたビリーの操縦するパラグライダーに飛び乗り、やはり逃げ切りました。


3)駆け引き

いわゆる野生の恐竜なら「発見される=死」ともなりかねないのですが、群れで会話ができる恐竜として描かれているラプトルとの対峙している緊張感は半端ありません。ティラノサウルスより凶暴なスピノサウルスや翼竜たちは普通に襲いかかってくるので、対峙する緩急においても面白みをもたせているといえますね。


4)伏線と回収

序盤のグラント博士のかつての恋人エリーへの家庭訪問に始まって、発掘現場でビリーは、3Dプリンターでラプトルの共鳴腔のレプリカを作り、グラント博士を驚かせます。
島では、衛星電話で救助を要請していたナッシュも、大破したセスナの中でスピノサウルスに衛星電話ごと食われてしまいます。
さらにビリーは、エリックが島に不時着したパラグライダーをたたんで携帯し、ラプトルの巣では、こっそりと卵を持ち去ります。

これらが、エリーに救助の連絡ができ、エリックを翼竜の巣から助け出し、ラプトルに囲まれたみんなを救うネタになりました。

 

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5.まとめ

オリジナル脚本となっても、上映時間94分の中にテンポよく緩急をつけたアトラクション要素を入れながら、人間たちの成長・親子の絆を描き、伏線の貼り方・回収方法も秀逸で、凶暴なスピノサウルスのキャラ、ラプトルとの緊迫した対峙と、観客の記の引き方をよく心得た映画でした。ただ、他のシリーズ作品に比べ興行収入が最も少なかったのは、転じて、こじんまりと纏まり過ぎていたからかも知れません。