映画『クリミナル・ミッション』クスッと笑える犯罪サスペンス映画?!ラストにどんでん返しあり!?
この映画『クリミナル・ミッション(Criminal Activities)』は、監督ジャッキー・アール・ヘイリー、ジョン・トラボルタ主演(?)の2015年アメリカのサスペンス映画です。
目次
1.紹介
ジャッキー・アール・ヘイリーの初監督映画ですが、達者な役者を揃えて面白いサスペンスとなっています。
マフィアに借金をした男たちがその返済の代わりに敵対組織の甥の拉致監禁を持ちかけられるクライムアクションストーリー。ジョン・トラボルタが存在感の溢れる演技を繰り広げているのも注目すべき点です。
2.ストーリー
1)プロローグ
マシュー(クリス・ヘイリー)は、不幸にも交通事故で亡くなってしまいました。彼の葬式に参加していたザック(マイケル・ピット)はその後彼女に会った後、ウォーレン(クリストファー・アボット)、プライス(ロブ・ブラウン)の同級生と合流、なぜかいじめられっ子だったノア(ダン・スティーブンス)も一緒になり、行動することになりました。
2)頓挫した儲け話
談笑しながら楽しむ4人。途中、プライスが切り出した株の話に、ウォーレンやノアが乗り気になり、多額の遺産があるというノアのおかげで20万ドルもの高額で買い取る事になりました。しかし、その買っていた会社が不正により取り締まりを受けてしまいます。
元手を失ったウォーレンは、マフィアに連れ去られてしまいました。ウォーレンは、借金を返済するようにと告げられました。何のことかと思っていると、ノアが快く出したお金はマフィアから借金したものだったのです。
3)エディの提案
借金は40万ドルにも膨らみ、マフィアのボス、エディ(ジョン・トラボルタ)から借金をチャラにする交換条件を提案されます。それは麻薬の密売人マルケス(エディ・ガデギ)を誘拐することでした。
実はエディの姪が誘拐されていて、取り返すためにマルケスを人質にしたいと考え、彼らに交換条件を出したのです。
後がなく、やるしかなくなった4人はマルケスの誘拐を実行します。マルケスの動向を探り、1人になった事を見計らうと、マスクを被りマルケスに襲いかかります。多少の抵抗はされたものの、マルケスを捕らえて車に乗せました。
4人以外にマルケスのことを盗聴していた者達も動きだし、車を走らせたウォーレン達を追跡し始めますが、どうにか撒いて難を逃れました。
4)始まった監禁
マルケスが目を覚ますと、手錠をかけられてどこか分からない所にいました。目の前には知らない若者4人。大人しくしていればなにもしないと話してきます。
どうにも手際の悪い4人を見て、マルケスはおおよその事を理解したのか、どれだけヤバい相手に手を出したのか理解させ、少しずつ主導権を上に持っていき始めるのでした。
こんなときなのに、ザックは誰かと電話をしています。問い詰めるとどうやら彼女の浮気調査を依頼し、報告を受けていました。
5)思わぬ展開
マルケスのボスであるフレミングは、甥が誘拐されたことに憤慨し、見つけた者に20万ドル払うと口言します。部下達がマルケスの行方を探し回っています。
徐々に主導権を握り始めたマルケスは、見張りに1人ずつ付いているときに話をし、解放すれば金が手に入ると都合の良い事を話し、彼らを惑わし始めました。
エディからは定期的に連絡はくるものの、マルケスの話で皆このままで良いのかと不安になり始めます。
やがてマルケスに盗聴器がしかけられていることが分かりました。マルケスを探している者達や、マルケスを追う警察がつけたかもしれない。どちらにも可能性があることに、さらに4人の焦りはつのります。
そんな中、エディが部下を引き連れやってきました。エディは誘拐された姪は見つかったので、マルケスはもう不要だと話します。エディはこのまま4人に警察に行かれると困るからと、口封じにマルケスをこの場で殺すようにと命じました。
4人は焦りながらも仕方なくマルケスを銃で撃ち殺しました。
6)真の裏切り者
3時間後、マフィア達がマルケスの遺体を海で処分しています。フレミングは実は助けるためマルケスを追っていたのではなく、裏切っていたマルケスを始末するために追っていたのでした。
フレミングはマルケスを始末した男に金を渡しています。その男とはノアでした。ノアは満足そうに金を見つめ、これまでの事を思い出していました。
全てはノアが計画したことで、叔父であるエディとFBI の捜査官であるプライスと協力し計画を始めたのです。昔の同級生を集め、儲け話を始め食いつかせます。プライスから裏切り者のマルケスの情報を知り、マルケスを殺し、マフィアから金を貰う。全ては計画通り、そして、ザックの彼女が浮気していた相手は実はノアでした。
7)エピローグ
怒り狂うザックをよそに、手にいれた大金でその彼女と仲良く海外に高飛びします。これは、昔いじめられていたノアの壮大な復讐劇であり叔父のエディに見直させることになったのでした。
3.四方山話
1)ジャッキー・アール・ヘイリー
エディの手下の凸凹コンビの小さい方を演じたジャッキー・アール・ヘイリーは、本作が初監督映画となります。
ラジオ番組の司会だった父の意向で幼い頃から芸能活動を始め、6歳の時に子役としてデビュー。1973年に『パリから来た殺し屋』で映画デビューしています。
1975年の『イナゴの日』で注目を集め、翌年公開の『がんばれ!ベアーズ』でブレイクしますが、その後は俳優として伸び悩みます。1990年代以降はコマーシャルの監督・プロデュースで成功していました。
2006年に俳優として再び活躍しはじめ、『リトル・チルドレン』でニューヨーク批評家協会賞助演男優賞を受賞し、アカデミー助演男優賞にもノミネートされました。
その後は『ウォッチメン』でロールシャッハを演じ、2010年にはリメイク版『エルム街の悪夢』で2代目フレディ・クルーガーに抜擢され、見事にカムバックを果たしました。
2)エディ・ガテギ
拉致されて言葉たくみに皆を惑わすマルケスを演じたエディ・ガテギは、ケニアのナイロビで生まれ、アメリカ合衆国カリフォルニア州オールバニで育ちました。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校に通い、バスケットボールをしていたましが、ひざを怪我してしまい、演劇の道へ転向します。
2006年に『アドレナリン』で映画デビューし、その後、『ヴェロニカ・マーズ』や、『Dr.HOUSE』などのテレビシリーズにゲスト出演しました。
2008年の『トワイライト〜初恋〜』と翌年公開の続編『ニュームーン/トワイライト・サーガ』ではヴァンパイアのローランを演じ、2011年公開の『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』ではミュータントのダーウィンを演じました。
3)ダン・スティーブンス
最後に笑ったノアを演じたダン・スティーブンスは、英ロンドン出身。ナショナル・ユース・シアターで演技を、ケンブリッジ大学で英文学を学びました。
2004年、TVドラマ『フランケンシュタイン』でプロの俳優として歩みはじめ、舞台『お気に召すまま』でイアン・チャールソン賞に入選し、名演出家ピーター・ホールの演出作を中心に舞台で活動する一方、TVドラマ『ライン・オブ・ビューティー 愛と欲望の境界線』(2006年)や『分別と多感』(2008年)などに出演しました。
『Hilde(原題)』(2009年日本未公開)で映画デビューを果たし、TVシリーズ『ダウントン・アビー」(2010年〜)の、物語の中心となる一家の跡取り婿マシュー役でブレイクしました。
その後は米映画『ザ・ゲスト』や『誘拐の掟』、『ナイト ミュージアム エジプト王の秘密』(すべて2014年)などに出演し、ディズニーの実写版『美女と野獣』(2017年)で野獣役に抜てきされました。
4)ジョン・トラボルタ
本作の主役格エディを演じたジョン・トラボルタは、ニュージャージー州イングルウッドにて、6人兄弟の末っ子として生まれました。父親のサルヴァトーレ(1995年没)はイタリア系アメリカ人2世であり、フットボール選手を兼ねたタイヤ会社のセールスマンでした。母親のヘレン・セシリア(1978年没)はアイルランド系アメリカ人の演技講師で、兄や姉も俳優をしています。
幼少よりダンス、演技を習い、1973年にはブロードウェイの舞台に立って、1975年『魔鬼雨』で映画デビューし、翌年の『キャリー』を経て、1977年『サタデー・ナイト・フィーバー』でスターになりました。
以降、『グリース』(1978年)、『アーバン・カウボーイ』(1980年)、『ミッドナイトクロス』(1981年)と話題作に多く出演しました。
1980年代中頃から低迷しますが、タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』(1994年)で復活し、『ゲット・ショーティ』(1995年)でゴールデングローブ賞の最優秀主演男優賞を受賞しました。
その後の主な出演作に『フェイス/オフ』(1997年)、『ソードフィッシュ』(2001年)、『団塊ボーイズ』(2007年)、『パリより愛をこめて』(2010年)、など。『ギャング・イン・ニューヨーク』(2018年)、『ワイルド・レース』(2019)などではプロデューサーも兼ねています。
近年の作品では、『サブウェイ123 激突』(2009年)のように極悪人がよく似合い、本作の様なコミカルな悪人も存在感たっぷりに演じています。
私生活では、トム・クルーズなどと共に、熱心なサイエントロジー信者と言われています。
4.まとめ
前半は『パルプ・フィクション』+『レザボア・ドッグス』(1992年)のタランティーノ監督みたいな映画を目指したようで、大抵の人が失敗するのが「ふざけかたのセンス」です。
あの独特の感覚を出せずに単なるヴァイオレンスになってしまうのが大半ですが、本作は、そのあたりがセンス良くかなり巧くいっているようです。
『ユージュアル・サスペクツ』的なドンデン返しの結末は、好き嫌いがありそうですが、コミカルな映画とすればアリでしょう。