凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『ウィンチェスター銃’73』名銃の行方と主人公の仇討ちとを多士済々の俳優で同時に描いています!!

 

この映画『ウィンチェスター銃'73(Winchester '73) 』は、1950年に制作された、アンソニー・マン監督、ジェームズ・ステュアート主演のアメリカ西部劇映画です。

目次

 

 

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1.紹介

黄金コンビのジェームズ・スチュワートアンソニー・マンにとっての、初めての西部劇となった作品です。

主役はもちろんジェームズ・スチュワートなのですが、そのストーリーの中で"威光"さえ感じさせる名銃”ウィンチェスターM1873”の存在を際立たせる、アンソニー・マンのシャープな演出は冴え渡っています。

先住民のリーダー役で、ちっともインディアンらしくない、まだデビューしたばかりのロック・ハドソンや、こちらも新人時代のトニー・カーティスが騎兵隊員役で登場します。


2.ストーリー

1)プロローグ

1876年7月のダッジシティ、リン・マカダム(ジェームズ・スチュワート)と相棒のハイスペード・フランキー・ウィルソン(ミラード・ミッチェル)は、仇敵のダッチ・ヘンリー・ブラウン(スティーヴン・マクナリー)を追ってこの町に訪れます。

二人は、町の保安官が、酒場の女ローラ・マナーズ(シェリー・ウィンタース)を追い出すところに出くわします。

保安官は、町の秩序を守るという理由で、よそ者の二人の銃を預かろうとしますが、リンはそれを拒もうとします。

しかし、保安官がワイアット・アープ(ウィル・ギア)だと知り、二人は納得して銃を渡すのでした。


2)射撃大会後の強奪

町では、100回目を迎えた独立記念日を記念して、名銃”ウィンチェスターM1873”を賞品に、射撃大会が開かれることになっていました。

それにダッチが出ることを、リンはアープから知らされ、自分も出場を決めます。

リンは酒場にいたダッチと目を合わせ、彼に侮辱されやり返そうとしますが、アープになだめられました。

そして、”ウィンチェスター社”が数多く製造した銃の中で、”1000に一つの銃”と言う 完璧なその銃を手に入れるため、集まった者達による射撃大会が始まりました。

勝負は、甲乙付けがたい見事な腕前を披露したリンとダッチの一騎打ちとなります。決着がつかないまま、リンは先住民の飾りに切手を貼り、それを撃ち抜いて勝負をつけようとします。

 

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リンは見事にそれを撃ち抜き、ウィンチェスター銃を手に入れることになり、 銃床に名前を刻み翌日に渡されることをアープから伝えられました。

ダッチが町を出ることを知ったリンは、銃の名前の刻印は断り彼を追おうとしますが、ダッチは、リンの部屋で彼を待ち伏せして、ウィンチェスター銃を奪って逃走しました。


3)懸けの代償から略奪

その途中、ライカーの店で、先住民との取引業者のジョー・ラモン(ジョン・マッキンタイア)に、ダッチの持つウィンチェスター銃に目を付けられます。ダッチは、結局、ラモンにカードで負けてウィンチェスター銃を手放すことになってしまいました。

その後ラモンは、先住民のリーダー、ヤング・ブル(ロック・ハドソン)との取引に向かいます。ヤング・ブルは、ラモンが持参した銃に目もくれずに、彼のウィンチェスター銃を強引に奪ってしまいました。

ダッチはラモンを追っていましたが、彼がヤング・ブルに殺され頭の皮を剥がされているところを見つけ、ウィンチェスター銃も奪われていました。

 

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その頃、ダッチの情報を入手したリンとハイスペードは先を急ぎます。

一方、ダッジシティを追い出されたローラと婚約者スティーヴ・ミラー(チャールズ・ドレイク)の馬車が、ヤング・ブルの一団に襲われてしまいます。

ローラを置き去りにして、助けを呼びに行ったミラーが、付近に騎兵隊がいるのを見つけ、彼女を呼びに行き難を逃れました。


4)襲撃後の拾得

しかし、ミラーは騎兵隊が先住民に包囲されていることを、ウィルクス軍曹(ジェイ・C・フリッペン)から知らされます。

その夜、先住民に追われたリンとハイスペードも騎兵隊に合流し、朝の奇襲に備え休息を取りました。

翌朝、先住民の攻撃が始まり、圧倒的に不利な騎兵隊側でしたが、リンがヤング・ブルを一発で仕留めます。

先住民は退散し、リンとハイスペードはウィルクス軍曹とローラに別れを告げて去って行きました。

その直後、部隊員のドーン(トニー・カーティス)が、落ちていたウィンチェスター銃を見つけ、ウィルクスにそれを知らせます。

ウィルクスは、その銃を持つ価値のある者はリンしかいないと、彼を呼び戻そうとしますが既に遅く、仕方なくウィンチェスター銃を感謝のしるしとしてミラーに渡し、ローラとも別れを告げました。


5)悪人から悪人へ

結婚後に住む家に着いたミラーとローラですが、彼女は自分が置き去りにされたことで傷ついていました。

そこに、保安官に追われた悪党ウェイコ・ジョニー・ディーン(ダン・デュリエ)が現れます。ウェイコは、知人のミラーがいたために驚きますが、彼の持っていたウィンチェスターに気づきました。

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ウィンチェスター銃を買い取ろうとしたウェイコでしたが、彼はそれを売ろうとしないミラーをいたぶり、挑発して射殺してしまいました。

保安官は家に火をつけましたが、ウェイコは仲間達を犠牲にして、ローラを連れて逃亡しました。

リンがダッチへの復讐に執念を燃やす頃、ウェイコは彼らが待つ岩山のアジトに到着しました。

ダッチは、ウェイコの持つウィンチェスター銃を見て驚き、自分の銃だと言って強引に奪ってしまいます。

その後ダッチは、ウェイコとタスコサの町の銀行を襲う段取りを始めました。

ローラはそこで、リンとダッチが年配の男性と写っている写真を見つけます。


6)遺恨の岩山

タスコサでは、ダッチらと酒場にいたローラは、そこに現れたリンとハイスペードに再会します。ローラは、ミラーがウェイコに殺されたことを告げますが、そこに現金を積んだ駅馬車が到着します。

リンは、ウェイコがダッチと落ち合うことを知っていたため、彼に探りを入れました。ダッチの居場所を知ろうとするリンは、ウェイコを痛めつけて彼の居場所に案内させました。

ウェイコは、銃を抜こうとしたためリンに射殺され、ダッチはその騒ぎの中で逃走します。

子供を助けようとしたローラが腕を撃たれてしまい、リンは彼女をハイスペードに任せてダッチを追いました。

 

岩山に逃げ込んだダッチは、上方からウィンチェスター銃でリンを狙い撃ちし、彼は手出しができません。しかし、リンは、岩山を登り、ダッチを追い込んでを射殺しました。

 

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7)エピローグ

リンの戻りを待つ間に、ローラは、リンがダッチに父親を殺されことと、二人が実は兄弟だということをハイスペードから知らされました。

そして、そこへ、ウィンチェスター銃を奪い返したリンが、ローラとハイスペードの元に戻りました。

 

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3.四方山話

1)ウィンチェスター銃

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本作の一方の主人公のウィンチェスター’73銃は1000に一丁のレアものですが、そのルーツや関わり合いのあるものを調べてみました。

 

西部劇の代表的なライフルと言えば、初期を除いてレバーアクションのウィンチェスター銃が幅をきかせています。

そのレバーアクションとは、銃の機関部下側に突き出た引き金ガードを兼ねたレバーを下に引き、それをまた戻すことで薬室から空薬莢を排除すると同時に次弾を装填するという仕組みで、チューブマガジン(管状弾倉)を備えることでそれまで1発発射するたびに弾込めが必要であったライフル銃を連射できるようにしたものです。

ウィンチェスター社は、レバーアクションライフルの生産を続け、民間用では西部を代表するライフルメーカーとなりました。

このウィンチェスターライフルの中でも有名な機種としては西部劇に多く登場する「M1866(イエローボーイ)」、その改良型でセンターファイア実包が使える「M1873」によって人気を博しました。

特に、M1873は弾丸の共有が可能なコルトSAA「フロンティアシックスシューター」(44-40弾仕様)と共に西部を征服した銃とも称されています。


2)いろんなウィンチェスター銃

①ランダルカスタム

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ティーブ・マックウィーンの「拳銃無宿」で使われた、ランダルカスタムはレバーアクションライフルのウィンチェスターM1892の銃身を切り詰めたソード・オフ(鋸でカット)したような改造を施しています。更にその上、ループレバー(手を入れる部分)を大きく広げた可動用心鉄。を取り付けた改造銃です。

時代設定(1870年代)からすると、モデルは「西部を征服した銃」の異名を持つウィンチェスターM1873であるのが妥当なのですが、この当時の西部劇では時代背景に関係なく、ウィンチェスターライフルはM1873の後継機であるM1892を使用するのが普通でした。

これは当時、稀少品であるM1873を撮影用に数多く揃えられなかったのと、1970年代までウィンチェスター社でM1892を生産しており、入手の容易さが圧倒的に違ったためのようです。


ジョン・ウェイン特製

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このループレバー(手を入れる部分)を大きく広げた銃は、ジョン・ウェインが『駅馬車』や『勇気ある追跡』やその他の作品で使用したウェイン特製のウィンチェスターM92でも見ることができました。

勇気ある追跡』では、ジョン・ウェインは、馬上で手綱を咥え、拍車をくれながら、左手にコルトSAAをぶっ放し、右手にループレバー付きウィンチェスターM92をクルクル回して装弾して撃ちまくり、悪党4人相手に単身突撃しました。この時ジョン・ウェイン62歳、りっぱというほかありません。


③ライフルマンの愛銃

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1958年当時、西部劇は既に大人気であったために、製作スタッフは、他の映画やドラマとは違った色合いを出すために悪戦苦闘し、チャック・コナーズ演じるルーカスに、ウィンチェスター・モデル1892のこれもループレバーを大きく広げた銃を持たせることにしました。

チャック・コナーズが、番組冒頭で、この銃を腰のあたりに抱えて速射ちするシーンは、高い人気を呼びました。


④トム・ホーンの愛銃

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ティーブ・マックウィーンが演じた実在のガンマンの愛銃で、その長い射程での狙撃が命取りとなった曰くのライフルでした。

その「ウィンチェスターモデル1876 センテニアルレバーアクション」は、有名なウィンチェスターモデル1873 アクションの拡大バージョンを用いて、大物猟に適したカートリッジを使用したレバーアクション連発ライフルでした。

カートリッジとライフルはセオドア・ルーズベルトを含むアメリカのハンターの間で短い人気を博し、カナダの北西騎馬警察とテキサスレンジャーズに使用されました。


4.まとめ

銃を追いかけていくと人を追いかけていくことになり新しい人にぶつかって、その場その場で新しい物語があるというのはある意味ではロードムービーのようで面白いアイデアです。小さな物語がいくつも出てきて変化に富んだ、当時の社会のたくさんの角度を垣間見れるようです。

主人公の因縁をサスペンス風に最後に明かしてうならせましたが、この兄弟のどちらが兄で弟なのか解りませんでした。