凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』奇跡の猫ボブと人生ドン底男ジェームズとのキズナ?!

 

この映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(A Street Cat Named Bob)』は、監督は、ロジャー・スポティスウッド、主演はルーク・トレッダウェイで、ジェームズ・ボーエン原作の    2016年公開のイギリスの伝記映画です。

目次

 

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1.紹介

若者ジェームズは、ミュージシャンを夢見ていたものの社会からのドロップアウトを繰り返していましたが、「ボブ」と名付けられた野良猫との出会いをきっかけに、家族・友人との関係を通して新たな生き方を探し出していきます。

原作は、ノンフィクション『ボブという名のストリート・キャット』で、イギリスでシリーズ合計1,000万部を超える大ヒットを記録しました。実在の猫「ボブ」が、映画版でもほとんどの出演シーンを任せられているほか、ジェームズ本人もカメオ出演しています。


2.ストーリー

1)プロローグ

ジェームズ・ボーエン(ルーク・トレッダウェイ)は、ロンドンの路上で歌を歌いながら、ホームレス生活をしています。10代前半でヘロイン中毒者となったジェームズは、家族からも見放され、ホームレスにまで落ちぶれていました。

現在はソーシャルワーカーのヴァル(ジョアンヌ・フロガット)の更生プログラムに従い、代替薬のメタドンを服用しながら、ヘロインと手を切ろうとしています。しかし、意志の弱いジェームズは、なかなかヘロインを断ち切ることができませんでした。


2)出会い

メタドン服用中にも関わらず、誘惑に負けてヘロインを吸ってしまったジェームズは、意識不明の状態で病院へ運ばれます。ヴァルはジェームズを厳しく叱責し、退院したら必ず面会に来るよう言っておきました。ジェームズは肝炎まで発症しており、またヘロインを使ったら、命を落とす危険があったのです。

ヴァルはジェームズに何度も裏切られていましたが、なぜか彼を見捨てることができず、彼の将来を本気で心配していました。彼女は、ジェームズを更生させるためには、静かに暮らせる家が必要だと考え、市の職員に頼み込んで、家賃のいらない公団住宅を貸してもらうことができました。

「絶対に更生プログラムをさぼらない」という条件で、風呂付きの家を手に入れたジェームズは、久しぶりにゆっくりと湯船に浸かりました。ところが、途中で不審な物音に気づきます。

物音を立てていたのは、窓から入り込んだ1匹の猫でした。ジェームズは安堵し、その猫にミルクをやります。猫はそのままジェームズの家に居座り、その夜は彼と一緒に眠りました。


3)父親と隣人とボブ

翌日から、ジェームズは猫の飼い主探しを始めますが、近所では見つかりません。

ジェームズは、とりあえず猫を外に放し、薬局でメタドンを服用してから、駅前で歌を歌います。しかし、駅員に注意されたため、その場を離れますが。その時、ジェームズは父親のジャック・ボーエン(アンソニー・ヘッド)を見かけ、声をかけました。

ジャックはジェームズの母親と離婚後、別の女性と再婚し、新しい家庭を持っていました。新しい妻ヒラリー(ベス・ゴダード)がヘロイン中毒のジェームズを嫌っているので、ジャックも息子とは距離を置いています。ジャックはそのことに罪悪感を感じており、ジェームズに金を渡して、足早に去っていくのでした。

ジェームズが帰宅すると、家の前にケガをしたあの猫が佇んでいました。隣人のベティ(ルタ・ゲドミンタス)という女性は、動物のことに詳しく、無料の動物福祉病院を紹介してくれました。ベティの発案で、猫の名前はボブに決定しました。

 

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4)ボブの災難

動物病院は混んでおり、ジェームズは長時間待たされます。今日はヴァルとの面会日なので、ジェームズは焦っていました。しかし、ジェームズはヴァルとの約束より、ボブの治療を優先します。さらに、父親から貰ったお金で、有料の薬まで買ってやるのでした。

帰宅後、ジェームズはボブに薬を飲ませようとするが、どうしてもうまくいきません。仕方がないのでベティを頼ると、彼女はすぐに薬を飲ませてくれました。その時、2人は少しだけ身の上話をします。ベティは、薬物依存者が大嫌いだと話していました。

ジェームズはヴァルのところへ行き、遅刻した理由を説明して謝罪しました。ベティのことを聞いたヴァルは、新しい関係を作るのは早すぎるとアドバイスします。新しい人間関係ができて感情が揺れると、薬物に頼りたくなる危険性が高まるからでした。

ジェームズは、しばらく家でおとなしく過ごし、ボブのケガの回復を待ちました。その後、ベティに付き添ってもらって、ボブの去勢手術を済ませます。ジェームズは、これからもボブを飼い続ける決心をしていました。ボブが来てくれたことで、ジェームズの孤独は癒され、精神状態も安定するようになっていました。


5)福の神の到来とジャンキーの馴れの果て

家賃は無料でも生活費は必要なので、ジェームズはボブを外に放し、歌を歌いに出かけます。ジェームズは、路上で歌ってわずかなお金を稼いでいました。ところが、ボブは何度言い聞かせてもジェームズの後を追ってきて、バスにまで乗り込んできます。これにはジェームズも観念し、ボブも一緒に連れていくことにしました。

 

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賑やかな街中に来たジェームズは、ボブを肩の上に乗せて歩き、周囲の注目を浴びます。歌を歌い始めてからも、ボブのおかげで多くの観客が集まり、稼ぎも増えました。

ジェームズが「お前のおかげだ」と言って手を差し出すと、ボブがハイタッチをしてくれ、ジェームズは幸せな気持ちで、ボブと一緒に帰途につくのでした。

翌日、ジェームズはボブに犬用のハーネスを装着し、家を出ました。すると、待ち伏せしていた仲間から声をかけられます。ジェームズは彼に、「必ず食べ物を買えよ」と忠告して金を渡し、何となく不安な気持ちで彼と別れました。

クリスマスが近づいた街中は、いつも以上に賑わっていて、ジェームズとボブの周囲には人垣ができます。猫好きの老婦人は、猫缶とボブ用のマフラーをプレゼントしてくれました。

お金もたくさん稼ぐことができ、ジェームズの心は満たされました。その日は、絶対菜食主義者ビーガンのベティが肉抜きの手料理までご馳走してくれました。

翌日、ボブと買い物に出たジェームズは、路上で倒れていた昨日の仲間を発見します。彼はヘロインの過剰摂取で、心肺停止状態になっていたのです。騒ぎを聞きつけたベティは、すぐに人工呼吸を施しました。仲間は救急車で運ばれましたが、結局命を落としました。


6)ベティのトラウマ

ベティの最愛の兄は、薬物の過剰摂取により、28歳の若さで亡くなっていました。ベティはそのショックから今も立ち直れず、実家を出て、兄が亡くなったこの家で暮らしているのでした。

その話を聞いたジェームズは、彼女としっかり向き合うためにも、断薬したいとヴァルに申し出ます。しかし、ヴァルはまだ早いと考え、断薬を許可しませんでした。

ボブが来てから順調だったジェームズの生活が、再び不安定になり始めます。新年のお祝いに父親の家を訪ねた時、父親の新しい家族から毛嫌いされ、ジェームズは深く傷つきました。

さらに、路上で歌っている時も見知らぬ男に嫌がらせを受け、警察沙汰の騒ぎになります。その後、メタドンを服用していた薬局でベティと会い、薬物依存者であることが彼女にバレてしまいます。

ベティは、ジェームズが薬物依存者であることを知ってショックを受けました。


7)路上ライブ・雑誌販売禁止、ボブ失踪

騒ぎを起こしたため、路上で歌うことを禁止されたジェームズは、ホームレス支援の雑誌を売ってお金を稼ぐことになりました。ここでもボブのおかげで多くの人が集まり、雑誌は順調に売れました。ジェームズとボブの噂を聞きつけた新聞記者は、2人のことを新聞記事にしました。

しかし、ジェームズとボブの出現で、売り上げが下がってしまったホームレスは、縄張り荒らしだと本部に訴え、本部はこの訴えを認め、ジェームズに1ヶ月間の販売禁止を命じました。

収入がなくなり、ジェームズの暮らしは逼迫します。ジェームズはひもじい中でもボブの食料だけは確保してやり、何とか1ヶ月を耐え切りましたが、ベティとは和解できないままでした。

再びホームレス支援の雑誌を売り始めたジェームズに、子連れの母親が声をかけてきました。母親は、子供が欲しがっているのでボブを買い取りたいと言い出します。

 

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ジェームズと母親が口論している最中、散歩中の犬がボブに吠えかかり、驚いたボブが逃げ出しました。ジェームズは必死で後を追うが、ボブを見失ってしまいます。

それから2晩もボブが帰らず、ジェームズは心身共にボロボロの状態となりました。ヴァルは、1人になるのは危険だから父親の家へ行くよう忠告しますが、ジェームズは家でボブの帰りを待ちました。

ジェームズは、ドラッグに頼りたくなる衝動を必死で抑えていました。そして、無事にボブが帰ってきた日、ジェームズは今度こそ本気で断薬しようと決意するのでした。


8)断薬から執筆へ

今回はヴァルも賛成してくれました。ヴァルから、代替薬のメタドンを断つのはヘロインよりもきついと言われますが、ジェームズの気持ちは変わりません。

断薬する前、ジェームズはベティに「これが終わったら、黙っていたことを償いたい」と言っておきました。依存症に詳しいベティは、ジェームズが外へ出ないで済むように、断薬中の買い物を引き受けてくれました。

断薬の禁断症状は強烈でしたが、ジェームズは必死でその苦しみを耐え抜きます。ボブは片時もそばを離れず、禁断症状に苦しむジェームズを見守っていました。

ついに断薬に成功したジェームズは、ヴァルの更生プログラムを卒業しました。ジェームズの姿に触発されたベティは、自分の人生を生きることにして、実家へ帰ることになりました。帰る前、ベティは自分の連絡先と預かっていた出版社からの手紙を渡してくれました。

その手紙には、ジェームズとボブの物語を本にしないかと書かれていました。本の執筆を決意したジェームズは、父親に会いに行き、今まで迷惑をかけてきたことを謝罪します。父親は「謝るのは私の方だ」と言ってくれ、親子は長年のわだかまりを解くのでした。

 

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9)エピローグ

ジェームズは苦労して初めての本を執筆し、いよいよ出版の日を迎えます。本屋での出版記念イベントには、ヴァルやベティや父親夫婦も来てくれました。ジェームズはボブと一緒にみんなの前で挨拶をして、感謝の言葉を述べるのでした。

 

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その後、本はベストセラーとなり、ジェームズは安定した暮らしを手に入れました。現在は、ホームレスや動物のための慈善活動に従事しているジェームズの傍らには、今でもボブが寄り添っていました。

 

 

3.四方山話

1)撮影

カメラはボブの生き生きした表情はもちろん、さまざまな面を見せるロンドンの現状もしっかりと映し出しています。ブランド店の立ち並ぶファッション街や華やかな観光名所の数々、そして、対照的にジェームズたち低所得者層の暮らす地域の危なく虚ろな空気をも見せます。

原作に登場した場所のすべてでロケを敢行したという本物の背景が、ハッピーでかわいいだけでなく、ホームレスの窮状や薬物依存者の絶望なども率直に描いく、嘘偽りない物語をリアルに伝える要素の一つとなっています。


2)キャスト

①ジェームズ

ボブの相棒、ジェームズに扮したのは『アタック・ザ・ブロック』、『タイタンの戦い』などの英国美形俳優ルーク・トレッダウェイです。本作でカメオ出演を果たしたジェームズ自身が「僕の人生そのもの」と賛辞を贈るほどの熱演を見せています。

②ヴァル

ジェームズを献身的にサポートするヴァルには人気ドラマ「ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館」でゴールデングローブ賞最優秀助演女優賞を受賞したジョアンヌ・フロガットが演じています。

③ベティ

つらい過去を持つガールフレンドの隣人ベティには『One Night One Love ワンナイト、ワンラブ』でもルークと共演しているルタ・ゲドミンタスです。


3)反響

いま日本は空前の猫ブームです。猫の飼育数がいよいよ犬を上回りそうな勢いで、人気猫の写真集やグッズの売り上げなど、猫の経済効果、いわゆる「ネコノミクス」はとどまるところを知らないほどになっています。

思わず癒されるモフモフ感、マイペースな姿やくるくる変わる表情と。CMや動画など、既に多くのアイドルが存在しますが、最も注目したいスター猫の一匹が、この映画の主人公「ボブ」なのです。

ボブは、本国イギリスでは、もはや大スターです。本作の原作となり、彼を主人公にしたノンフィクション「ボブという名のストリート・キャット」が2012年3月にイギリスで出版されると、ザ・サンデー・タイムズ紙のベストセラー・リストに76週間連続でランクインする記録を樹立しました。

30を越える地域で出版され、販売部数は世界中で500万部、続編2冊を合わせると計1000万部を越える大ベストセラーとなっています。

最近では、10代のための最高の読み物の一つとして、『ハリー・ポッター』や『ハンガー・ゲーム』といった名だたる作品とともに挙げられています。


4)訃報

本の大ヒットで世界的に有名となり、本作『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』も大ヒットし伝説となったボブが2020年6月15日に亡くなりました。14歳前後だったそうです。

「ジェームズとボブが世界中でファンを獲得し続ける中、ボブは本のサイン会などで世界中を旅しました。有名な猫として、信じられないような生活を送っていました。並外れた猫でした。」と、出版社は公式の声明でボブの死を偲びました。


5)命名

ボブという名前の由来は原作と映画では異なっていて、映画ではベティの閃きで命名され、原作では『ツイン・ピークス』のキラー・ボブからとなっています。

 

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4.まとめ

「3Bの法則」というのがあります。彼氏にしてはいけない“3B”ことバンドマン・美容師・バーテンダーの男のことではありません。

Beast、Baby、Beauty。

・美人(Beauty)
・赤ちゃん(Baby)
・動物(Beast)

この3つのBは様々な広告表現の中でもとりわけ効果が高いそうで、例えば、美人の写真を使うと広告への注意を引くことができ、赤ちゃんや動物の写真は安心感を与えることができます。

なるほど、ドラマや映画でもこれを題材にすればハズレが無いといわれます。

本作は、猫を狂言回し的に用いながらも、実は、しっかりした人間のドラマになっているところが、この映画のポイントで,だからこそ観る人の心をうつのでしょう。