凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『シルバラード』最後の伝統的西部劇?!

この映画『シルバラード(Silverado)』は、1985年制作のアメリカ合衆国の西部劇映画です。

ローレンス・カスダンの監督・製作・脚本です。監督としてはこれが2作目ですが『スター・ウォーズ』シリーズや『インディ・ジョーンズ』シリーズの1作目の脚本を書いた人で、娯楽映画のつぼは心得ています。従って本作は単に正統派西部劇というだけでなく、冒険活劇ともなっています。

 

f:id:mattyanp2016:20201215161917j:plain

 

目次

 

 

f:id:mattyanp2016:20201215162350j:plain



1.紹介

出演者は人気が出る前のケビン・コスナーダニー・グローヴァーをはじめ脇役が多いケヴィン・クラインやストッコ・グレンが主演として出ており、どちらかというとB級という感じですが、映画自体は超大作のようなできで、西部劇ファンなら楽しめるシーンがたっぷり用意されています。

正統派西部劇が作られなくなってしまった時代、復讐、悪徳保安官、幌馬車隊やロマンス、差別や裏切りに牛の大暴走、そして決闘まで、西部劇の、あらゆる醍醐味を網羅している娯楽作品に仕上がっています。

公開当時の現代風西部劇に少々物足りなさを感じていましたが、上記のように、やや欲張り過ぎな所はあるものの、十分楽しめる内容に満足します。

特に、リンチを受けたエメット(スコット・グレン)が、姉家族が襲われ、さらに甥をさらわれたのを聞き、傷の痛みを忘れて敵に戦いを挑もうとする姿が、強烈に印象に残り、後のマカロニウエスタンに影響を与えたかも、とも思わせる展開となっています。


2.ストーリー

1)プロローグ

5年の刑を終えたエメット(スコット・グレン)は、無法者の襲撃を退け、彼らの馬を奪い旅を続けていました。

途中、仲間に身包みはがされ倒れていたペイドン(ケヴィン・クライン)という男を救い介抱したエメットは、彼と共にある町に向かいます。

 

f:id:mattyanp2016:20201215163812j:plain

 

その町で、自分の馬を盗んだ男を見つけたペイドンは、銃を調達して、その男を倒し馬を奪い返しました。

さらにペイドンは、かつての仲間コッブ(ブライアン・デネヒー)に出くわし、仕事に誘われるがそれを断ります。

そして、ペイドンはターリーに寄り、その後、シルバラードの姉の元にむかうというエメットに同行することにしました。


2)ターリーの町で

ターリーに着いたエメットとペイドンは、酒場で暴れ、逮捕寸前の黒人客マル・ジョンソン(ダニー・グローヴァー)を助けました。

保安官ジョン・T・ラングストン(ジョン・クリーズ)は、マルを町から追い出して、エメットの捜す弟ジェイク(ケヴィン・コスナー)が投獄されていることを伝えました。

エメットは、ジェイクが殺人を犯し翌日縛り首になることを知り、彼を助けようとするが、ペイドンは加担することを断ります。

酒場に向かった2人でしたが、自分の帽子を被った男を見つけたペイドンが、その男を撃ち殺し、ジェイクと同じ牢屋に入れられてしまいます。

その夜、エメットは処刑台に火を放ち、牢屋番を痛めつけて脱出したペイドンとジェイクと共に逃亡しました。


3)マルの参加

ラングストンは、捜索隊を編成し3人を追うが、彼に町を追い出されたマルが、彼に加勢し捜索隊を追い払います。

そして、エメットらはマルを仲間に引き入れてシルバラードに向かうのでした。

 

f:id:mattyanp2016:20201215163037j:plain

 

途中4人は、金を奪われた幌馬車隊のホバート(ブライオン・ジェームズ)らに出会います。

エメット達はジェイクを幌馬車隊の道案内に残し、金を奪い返しに向かいました。

ドーソン(ジェームズ・ギャモン)が率いる、金を奪った無法者集団を見つけたエメット達は、一芝居打って集団を罠にかけ、現金を奪い返しました。

幌馬車隊に合流したエメット達でしたが、彼らに同行して無法者に命を奪われた男の妻ハンナ(ロザンナ・アークェット)とペイドンが親密になりました。

シルバラードに向かったエメットは途中マルと別れ、ペイドンはハンナを開拓地に送ることになり、エメットは、ジェイクと2人で町に向かい、ペイドンを待つことになりました。


4)シルバラードでは

故郷の家に向かったマルは、父エズラ(ジョー・セネカ)と再会しますが、母親は死に、立ち退きを迫る牧場主イーサン・マッケンドリック(レイ・ベイカー)に家は焼かれていました。

シルバラードに着いたペイドンは、酒場の女主人ステラ(リンダ・ハント)に出会い、コッブがその酒場のオーナーで、町の保安官をしていることを知るのでした。

 

f:id:mattyanp2016:20201215162630j:plain

 

翌日、父エズラをマッケンドリックの手下に殺されたマルは、復讐のためにシルバラードに向かいました。

姉ケイト(パトリシア・ゴール)一家の自宅に戻ったエメットは、町でペイドンと再会します。

ペイドンは、酒場の用心棒として雇われることになるものの、職を与えたコッブの強引且つ残虐な手法に眉をひそめるのでした。

町の女に成り下がっていた妹レイ(リン・ホワイトフィールド)を尋ねたマルは、彼女に父親の死を伝えますが、家族を捨て家を出た兄を、レイは許しませんでした。


5)しかけられた罠

幌馬車隊の開拓民のパーティーに出席したエメットは、実はハンナに心を寄せていたことを、彼女に伝えようとするのですが、そこで、マッケンドリックの手下の襲撃に遭いましたが、エメットはジェイクと共に応戦し、何とか敵を追い払うことができました。

町でマッケンドリックに出くわしたエメットは、出所後に自分を殺そうとした男達が、彼の手下だということに気づきました。

マッケンドリックと通じているコッブは、エメットとジェイクを追い払うために、ペイドンに手出しをするなと忠告します。

エメットは、保安官補タイリー(ジェフ・フェイヒー)らからリンチ受けますが、そこにマルが現れて彼を救い出しました。

隠れ家の洞穴にエメットを匿ったマルは、命を狙われているジェイクを助けようとして、妹レイに助けを求めました。

マルは、レイの客で、町に立ち寄ったギャンブラーのスリック・スタンホープ(ジェフ・ゴールドブラム)の協力を得てジェイクを助けようとしますが、スリックに裏切られたマルは、コッブの罠にはまり、捕らえられてしまいました。


6)シルバラードの前哨戦

ペイドンは牢屋のマルに面会に行きますが、コッブに雇われている彼を、マルは信用しませんでした。

ジェイクが、姉ケイトの家に帰ったことに気づいたペイドンは、彼と姉の息子のオーギー(トーマス・ウィルソン・ブラウン)がさらわれたことを知りました。

ペイドンはコッブを見限ろうとしますが、ステラの命と引き換えにコッブに脅されて引き止められました。

コッブの暴挙を見兼ねていたステラは、ペイドンに立ち向かうよう勇気付けるのでした。

レイは裏切ったスリックのナイフを奪い、マルを助けようとして保安官補に撃たれました。そして、脱走したマルはエメットの元に向かいます。

マルは洞窟に戻り、傷の癒えないエメットに姉夫婦が襲われ、息子オーギーをさらわれたことを伝えました。


7)最後の決闘

エメットはそれを聞き復讐を誓い、マルと共にマッケンドリックの牧場に向かいます。

ペイドンも2人に合流し、彼らは牛を暴走させて牧場を襲います。

エメットは、甥のオーギーを救い出して、彼からジェイクが落馬して死んだと聞かされるが、乗馬の名手のジェイクは無事だと確信するのでした。

 

f:id:mattyanp2016:20201215163620j:plain

 

納屋に隠れていたジェイクも加勢して敵を倒し、エメット達はシルバラードに逃げたマッケンドリックを追いました。

コッブはレイを捜すようスリックに命令し、彼は瀕死のレイを見つけますが、彼女はスリックを警戒しています。そこへ現れたマルはスリックを殺し、レイを助け、エメットは自分を刑務所送りにしたマッケンドリックを、ペイドンはコッブと決闘して倒しました。


8)エピローグ

その後、マルはレイと共に自分達の土地に向かい、エメットは、ハンナに再会を約し、シルバラードの保安官になったペイドンに別れを告げました。

そして、エメットとジェイクは、町を離れる姉ケイト一家と別れカリフォルニアに向かうのでした。

 


3.キャスティング

しぶい脇役が勢ぞろいです。それぞれ気になったフィルモグラフィをあげてみました。

・ペイドン⇒ケヴィン・クライン
 『ソフィーの選択』ネイサン
 『真夏の夜の夢』ニック・ボトム

・エメット⇒スコット・グレン
 『レッド・オクトーバーを追え!』バート艦長
 『トレーニング デイ』ロジャー

・ジェイク⇒ケビン・コスナー
 『アンタッチャブル』エリオット・ネス
 『ワイアット・アープ』ワイアット・アープ

・マル⇒ダニー・グローヴァー
 『リーサル・ウェポン』ロジャー・マータフ

・コッブ⇒ブライアン・デネヒー
 『ランボーティーズル保安官

・スリック⇒ジェフ・ゴールドブラム
 『ジュラシック・パーク』イアン・マルコム博士
 『インデペンデンス・デイ』デイヴィッド・レヴィンソン

・ハンナ⇒ロザンナ・アークエット
 『隣のヒットマン』ソフィ

・ラングストン保安官⇒ジョン・クリーズ
 『モンティ・パイソン

 

f:id:mattyanp2016:20201215164426j:plain

 

4.まとめ

最もアメリカらしい伝統文化とも言える西部劇を、消滅させないために作ったローレンス・カスダンの意気込みが、十分伝わってくる作品となりました。