凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『アゲイン 28年目の甲子園 』単なる野球ノスタルジアではありません?!

 

どこにでもよくあるようなお話を上手に取り上げて見ごたえのある感動ドラマに仕上がってます。野球経験のないものが観ても琴線にビンビン響いてくるエピソードとストーリーが涙を誘います。

 

突然訪問してきた女子大生が発した人の名前を聞いた途端、男に胸の奥を射抜かれたような表情がうかびました。ここから28年の時を経て、大勢の人の心に残ったわだかまりが動き始めます。

 

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この女子大生、戸沢美枝(波瑠)が「マスターズ甲子園」の実行委員会に関係していることから、東日本大震災で亡くなった父親の母校、川越学院高校の野球部OBの坂町晴彦(中井貴一)のもとへ参加の勧誘に訪れました。

 

坂町は美枝の父親、松川典夫(太賀)の話になると何故か口ごもってしまいますが、美枝の熱意に坂町は一緒に野球部OBを訪ねて廻ります。

一番に当時のエース、高橋直之(柳葉敏郎)のところに訪れた時に、典夫が起こした暴力事件が原因で甲子園大会の県予選決勝に出れなくなったことが明かされます。

 

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高橋は、決勝戦に出場できなかったことを、今でも引きずり、人生のつまずきをそのせいにし、また人の目だけを気にして、大切な妻夏子(堀内敬子)の目をないがしろにしてきたのを娘マキ(久保田紗友)に叱責されて翻意し、晴彦の参加を条件に参加を決め、メンバー集めにも協力します。

 

こうして、マスターズ甲子園の県大会に臨み、一回戦に勝利しますが、その祝勝会の席で、美枝が典夫の娘であることが明かされ、そのことで、OB会長の柳田建司(西岡徳馬)が怒り狂います。

28年経っても、真実の事情が知られていないままなのと、甲子園予選決勝戦前夜の典夫の事件は野球部の皆にとって、それだけ衝撃と遺恨の事件だったのでした。

 

OB会長のあまりの暴言に、高橋は娘の美枝には関係ないことと激怒し美枝をかばいますが、宴席は大乱闘となり、美枝はいたたまれずその場を抜け出してしまいます。

 

行き場の無くなった美枝を晴彦は家に泊め、典夫の事件直後や、晴彦の離婚にいたる家庭の事情で娘沙奈美( 門脇麦)と疎遠になっていることを話します。

美枝は典夫との思い出の中で、晴彦の家を訪ねるきっかけともなった「一球入魂」の年賀状の「一球人魂(いっきゅうひとだま)」の思い出を語ります。

 

二回戦の前に当時のマネージャーであり、事件の当事者の立原裕子(和久井映見)から美枝に試合会場に一緒にこないか、と連絡がありました。

試合後、OB全員の前で、裕子は事件の真相を語ります。典夫は裕子をかばい、事件が大きくなることを懸念して、一身に責任をおって、悪者になったことを告白し、またその時、裕子も逃げて真実を語らなかったことをわびました。

 

真実を知ったOB会長は美枝に祝勝会での暴言を頭を下げて詫び、晴彦は「バカなノリがやっとチームに戻ってきた。」と言って、28年の空白がうまることになりました。

 

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川越学院高校野球部OBチームは順当に勝ち進み、決勝で対戦する所沢工業高校OBチームは、因縁の28年前の決勝戦の相手でした。

試合は所沢工業の優勢で進み、最終回の前で所沢工業側より勝ちを譲ろうかの提案がありました。相手も、28年前の川越学院の晴彦や高橋の事情を知っており、野球仲間としての心意気から甲子園への切符を渡そうとした訳です。

 

その提案に、晴彦は「我々は、あの時、負けることすらできなかった。我々にとってあの夏はまだ終わっていない、負けるならちゃんと負けて、けりをつけたい。」とことわりました。

 

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最終回の熱戦を逆転し、甲子園の本戦を前に、晴彦と美枝は東北の被災地にある典夫の墓参りに行きました。そこで居合わせた典夫の同僚から、遺品のグローブを渡されました。

そこには、野球への思いと娘美枝への思いが込められて「一球人魂」と書かれており、晴彦と美枝は典夫の心情に思いを馳せ、涙するのでした。

 

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甲子園大会では、奮闘むなしく、川越学院高校野球部OBチームは負けてしまいますが、試合後の希望者で行うキャッチボールで晴彦の娘、高橋の妻も参加しわだかまりを無くなったのでした。

 

映画公開のキャッチコピーは「直球勝負してみないか、人生に!」でした。ここに至るまで、28年の歳月がかかったわけですが...。

 

大きな女優さんになる予感のする波瑠、さすがの中井貴一柳葉敏郎和久井映見、当たり役?西岡徳馬、の皆さん、ありがとうございました。