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映画『オーシャンズ11』半世紀ぶり、豪華スターの共演映画の再来?!

 

2001年12月7日公開(日本は 2002年2月2日)のアメリカ映画です。監督はスティーブン・ソダーバーグで、主演はジョージ・クルーニーブラッド・ピットほかハリウッドを代表する俳優が多数出演しています。

 

ダニー・オーシャンと彼が率いる10人の犯罪スペシャリスト集団がラスベガスのカジノの金庫破りに挑むサスペンスアクション映画でありながら、ハリウッド映画によくある銃激戦や銃を使用しての殺戮シーンを一切使わないことをコンセプトに描かれています。

 

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1960年公開の『オーシャンと十一人の仲間』のリメイク版であるのはご承知の通りで、オリジナル版は当時、ショービジネス界の頂点にあったフランク・シナトラ一家の個性と持ち芸を中心にすべてが構成された顔見せ映画でした。

 

からして、洒落たビジュアルは愉しめるけれど、映画としてはちょっとユルい出来なのですが、観客は緊密な犯罪プロットよりも彼らの達者な芸こそが観たかったわけで、結果的には娯楽作としてそれなりに成立していたのでした。

 

さて、今回のリメイク版です。ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)は、窃盗罪で4年間服役していたニュージャージーの刑務所から仮出所しました。仮釈放中の規則を無視して、ロスアンジェルスに住む仲間のラスティ・ライアン(ブラッド・ピット)に会い、服役中に企てていた新しい盗みの計画を打ち明けます。

 

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それはラスベガスのテリー・ベネディクト(アンディ・ガルシア)がオーナーの「ベラージオ」などの3大カジノの金が集まる地下巨大金庫の現金強奪計画でした。ネバダ州カジノ委員会の規制により、カジノには客の掛け金を賄う現金を保有する必要があったことから、ボクシングのタイトル・マッチ当日には少なくとも1億6000万ドル以上の巨額の現金が集まることに目を付けました。

 

ダニーとラスティは、カジノセキュリティに詳しく、オーシャンの駆け出しの頃の恩師でもあるベガスの大富豪ルーベン・ティシュコフ(エリオット・グールド)と、他に全米から8人の犯罪スペシャリストを集めました。こうしてミサイル基地並の強固なセキュリティシステムに挑んで行きます。しかしオーシャンには金のほかに、もうひとつ狙ったものがありました。

 

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盗みのプロたちがチームを組んで、という図式なら類似作はいくらもあるでしょうが、あえてこのタイトルを選んだからには単なるスター競演以上のものを期待してしまいます。

 

しかしソダーバーグ監督、得意の映像テクニックを駆使していて、現代的ではありますが、ありそうな感ありまくりの犯罪劇に終始して、うたい文句にふさわしいようなお遊びもほとんどありません。敢えていえば、ベネディクトの女となった元妻のテス(ジュリア・ロバーツ)を取り戻すところぐらいでしょうか。

 

それに登場人物が多すぎてブラピ、クルーニー、デーモン以外はなんとも見せ場に欠けています。もっともオリジナル版では標的の金庫は5つのカジノに分散していて、それを同時に狙わねばならないから11人必要となるのですが、なんと今回は最新の強固なセキュリティーながら都合よくたった1カ所に集まっています。どう考えても11人はいりません。

 

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同じようにトリックがもう一方の主役になっている映画、トム・クルーズの『ミッション・インポッシブル』(1996年)は、この映画の5年も前の映画なのにより多く手の込んだイリュージョンを見せてくれています。

 

オリジナル版のエンターティメントにも『ミッション・インポッシブル』のトリックにも及ばず、このキャスティングではもったいない内容でしょう。

 

当時、ジョージ・クルーニー40才、ブラッド・ピット37才、マット・デーモン31才、ジュリア・ロバーツ34才と若いキャスティングならばこその活力と艶をみせて欲しかったですね。