漫画『校舎うらのイレブン』ちばあきらの処女スポーツ漫画です?!
この漫画「校舎うらのイレブン」は1971年、別冊少年ジャンプ2月号に掲載された"ちばあきお"によるスポーツ漫画です。
下町の中学校を舞台に、地域の貧しい少年たちと体育大学を卒業したばかりの熱血教師が地区予選出場をめざすというストーリーです。
戦後の復興から取り残されたような街の、貧しい地域の学校の中でももっとも底辺にいるサッカー少年たちは、他の部からバレーボールやバスケットボールを盗んでキックの練習をしていました。そして、その絆はスポーツを通じて強くなっていき、ひたむきに頑張る姿は、冷ややかだった他の部や相手チームをも認めさせました。
この「校舎うらのイレブン」は「キャプテン」連載開始直前のウォーミングアップ時代に書き上げたものですが、一癖も二癖あるキャラクターをしっかりしたプロットにのせ、導入からエンディングまでいきいきと描いています。満を持して大筋にも詳細にも練り上げた、作品のように思います。
この漫画の作者の"ちばあきお"といえば、「キャプテン」や「プレイボール」の作家で中高年世代の幼少年期に大きな影響をうけたひとです。
ちばてつやの弟であることや、大ヒットスポーツ漫画を創造した偉大な作家が自殺によってこの世を去ったことでも大きなショックをうけました。
本宮ひろし、武論尊などの無頼派作家もリスペクトする、まじめ過ぎてやさし過ぎる漫画家の原点の作品です。
たしか(『チャンプ』の解説だったかで)本宮ひろ志が、ちばあきおの表現と姿勢に関し、ふつうのマンガ家であればセーブしてしまうところをより深く潜っていき、結果、死期を早めたのだろう、というようなことをいっていたのを記憶している。
『校舎うらのイレブン (シリーズ昭和の名作マンガ)』ちばあきお: Lエルトセヴン7 第2ステージ
ある日、あきおさんがオレを呼び出して、「最近のお前、かっこ悪いぞ」と諭してくれたんです。あきおさんに言われるまで、自分ではまったく気が付いてなかった。あきおさんのひと言がなければ、ヒット作を一本出しただけでオレは消えていたかもしれない。
他の人のレビューに、この本を大事にしていたが引っ越しなどの移動の際になくしてしまって残念...、というのがいくつかありました。本当に単行本、1冊なのでこういうことがままあるであろうと思うのと、それだけ忘れられなく残念な思いにさせる本なのでしょう。
ある意味、昭和を描いた隠れた名作でもあります。