凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『ダーティー・ハリー2』さらにパワーアップした続編です!!

この映画『ダーティハリー2(Magnum Force)』は、1973年製作のアメリカの刑事アクション映画です。『ダーティハリー』シリーズの2作目。前作を超えるヒットを記録しました。

 

監督のテッド・ポストはイタリアから凱旋帰国直後の1968年のクリント・イーストウッド主演作『奴らを高く吊るせ!』の監督も務めています。

目次

 

 


1.あらすじ

1)プロローグ

場所は、サンフランシスコ。証拠不十分で無罪となった労働組合幹部でギャングのボス、リッカ(リチャード・デヴォン)が白昼に殺害されました。その横暴な捜査で煙たがれ、殺人課から外されたハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)がいち早く現場に駆けつけるものの、銃を使わないことを誇りとし、将来も期待されているブリッグス刑事(ハル・ホルブルック)に現場から追いやられてしまいます。


2)事件続発

その後も、法の網をかいくぐるマフィアやギャングの大物などが殺される事件が続き、手詰まりとなった市警は、やむを得ずハリーを殺人課に戻し、一連の事件の捜査班に加える。事件の真相はマフィアの抗争と睨む警察はガズマンやパランシオといったマフィアの大物の監視を行うが、ハリーは現場の状況から交通課の刑事が犯人だと推理していた。

 

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3)警官殺害

ハリーは何かと犯罪者の抹殺を口にする10年来の友人で交通課の刑事・チャーリー(ミッチェル・ライアン)を疑いブリッグスに報告するが、その前に彼はガズマン殺しの事件に巻き込まれ死亡していました。


4)疑惑

真犯人は新人白バイ隊員のデイヴィス(デヴィッド・ソウル)、グライムズ(ロバート・ユーリック)、スイート(ティム・マシスン)、アストラカン(キップ・ニーヴェン)の4人であり、その銃器の腕前はハリーも認めるほど、高かったのでした。

ハリーはガズマン殺しの現場にいたというデイヴィスを疑いますが、ブリッグスはパランシオ(トニー・ジョージオ)が犯人であると決めつけました。


5)射撃大会

毎年ハリーが優勝を収める恒例の市警察の射撃大会において、今年はデイヴィスが最後までハリーと張りあい、最終的に優勝しました。だが、ハリーの目的はデイヴィスの拳銃を借りてわざと外し、密かに銃弾を回収するためでした。

チャーリーを撃った弾とデイヴィスの弾の施条痕は極めて近く、ハリーは確信を強めます。

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6)一斉検挙

そして、ブリッグス指揮の下、パランシオ一味を一斉検挙することとなり、ハリーはデイヴィスとスイートを推薦して自分の部下とし、パランシオ(トニー・ジョージオ)の摘発に向かいます。

しかしながら、パランシオの事務所にはニセ警官が来ると嘘の密告がされており、勘違いしたパランシオの一味にスイートが射殺され、ハリー、デイヴィスを交えた激しい銃撃戦となりました。

最終的にパランシオも死亡しますが、ブリッグスはハリーの責任を追及し、聴聞会に掛けると言いました。一方、ハリーは相棒のアーリー(フェルトン・ペリー)に、パランシオの一件は自分を狙った罠であり、もし自分が殺されたら証拠の銃弾をブリッグスに渡すように頼みました。


7)挑戦

ハリーは、デイヴィスら3人の待ち伏せを受けて、同じ法が裁けない悪人を殺す共通目的があるはずだと仲間に入るように要求されました。ハリーはこれを一蹴し、決別します。

その後、帰宅したハリーは郵便受けに爆弾が仕掛けられていることに気づき解除しますが、同じく爆弾を仕掛けられていたアーリーは爆死してしまいます。


8)黒幕登場

ハリーがブリッグスに報告すると、彼はハリーの自宅までやってきて爆弾を確認し、車で一緒に来るように言いました。その車中、ブリッグスはハリーに銃口を向けると自らが黒幕であることを明かし、ハリーの拳銃を捨てさせました。

しかしながら、ハリーは隙を付いてバランスを崩したブリッグスを殴打して気絶させ、白バイの追跡を交わすために港湾地帯へ逃げ込ました。

 

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9)銃撃戦

銃を持たないハリーは、一人目を轢死させると車から降りて廃棄された空母の中に逃げ込み、追ってきた2人から巧みに逃げながら、最終的に返り討ちに成功しました。

 

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10)決着

車に戻って来たハリーをブリッグスが待ち構えており、拳銃で脅した上で車を奪います。そして、ハリーをあえて生かした上で3人の警官殺しの罪で合法的に社会的に抹殺するといました。

しかし、ハリーは会話中に解除した爆弾の時限装置を起動させて車中に残しており、そうとは知らないブリッグスは爆死しました。ハリーはそれを見届けその場を立ち去るのでした。

 

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2.ハリー・キャラハンそのひと

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1)人物

1930年サンフランシスコ生まれ。作中で具体的に描写されることは少ないのですが、気質や風貌、名前からアイルランド系とされています。サンフランシスコ市警察本部捜査課に所属する刑事で、階級はInspector(一般には警部、警視、警視長クラスの高級幹部のことだですが、ハリーの属するサンフランシスコ市警察本部では、巡査長クラスの刑事の階級・職名です。ただし第2作目と、4作目で吹替えでは警部と呼ばれ、一般のDetectiveにあたります。)。

第1作目ではバッジナンバー2211。普通は他人が嫌がる汚れ仕事ばかりしているので仲間内から「ダーティハリー(汚れ屋ハリー)」とあだ名されています。第2作目(1973年)の時点で新顔としてサンフランシスコ市警本部にやってきてから勤続10年になりました。


2)行動原理

捜査の手段を選ぶ事は無く、時に暴力に訴える場合もあります。法律が完全ではないため、自身が望む捜査が行えない事や犯罪者が野放しにされる状況を歯痒く思う事はありますが、基本法律を守る主義であり、逸脱や過激な行動は自らが(辞職などによって)責任を負う覚悟の上で行います。

犯罪者の射殺を躊躇はしないのも、あくまで捜査上の行動に限った話で、撃たれる前に撃ったことはありません。したがって正体を隠しての私刑や暗殺などに対しては断固反対であり、本作で警察内の秘密処刑集団に勧誘された際には、激しい怒りを見せてこれを拒絶しています。

犯罪被害者の立場を尊重する傾向が強く、シリーズ第4作のラストではその心情と上記の信念が微妙なバランスを見せ、それまでにない判断で事件を決着させた。犯罪者も舌を巻く抜け目のなさを持ち、社会のありようそのものに深い絶望を見せながら、警察官であり続ける理由は「言っても信じないだろ」。


3)性格

皮肉屋で、人間嫌いのひねくれ者を装っており、特に新米の同僚、マスコミ関係者に厳しい態度を取って見せますが、一旦相手を認めれば信義に厚く、優しい面を見せることもあります。

しかしながら一方で、上司、上役など上の人間にとっては極めて扱いにくい人間であり、市長ほどの権力者に対しても、決して主張を曲げない意地の持ち主です。


4)相棒

劇中で相棒となったのは名前だけ語られた人物も含めるとビートジック、パンドゥーシ、チコ・ゴンザレス、アーリー・スミス(本作中)、フランク・ディジョージオ、ケイト・ムーア、アル・クワンの七名です。

しかしパンドゥーシ、アーリー、フランク、ケイトの4名は殉職し、ビートジックは負傷して入院、チコはハリーをかばって重傷を負って引退、生き延びて刑事を続けているのが確認できるのはアル1人のみとなっています。そのため市警本部では「何日ハリーの相棒を続けられるか」で博打が行われているほどです。


5)身上

劇中では独身で、妻を「夜遅く車を運転してたら酔っぱらい運転が突っ込んできた。妻には何の落ち度も無かった」事故で亡くしており、映画では私室ベッド脇の写真やハリーの台詞でわずかに触れられる程度です。

シリーズ第3作で自身の結婚について問われた際には、「まともな女はみんな逃げ出してるよ」と自虐的な言い回しで否定していますが、複数の女性と関係を持っていて、子供相手には笑顔を見せることもあります。

服装はツイードジャケットにパイプド・ステム(細身)のウールスラックス、革靴はプレーントウ(爪先が丸く平らで飾りがない)という制作当時の1970年代に流行していたアメリカン・トラディショナルで統一しています。第1作目で着用していたサングラスはレイバンの『Balorama』というモデルのようです。

煙草は吸わず、酒はビールのみで、これもハリー・キャラハンを演じるクリント・イーストウッド本人に共通しています。朝は行きつけのダイナーでブラックコーヒーとドーナツ。昼と夜は、「ジャフィーの店」(Jaffy's)でホットドッグを食する事が多いようです。


6)パフォーマンス

射撃では、特に拳銃を使ったコンバットシューティング(実戦射撃)には超一流の腕を誇っており、市警の射撃コンテストでは長年チャンピオンの座を維持しました。

しかしながら本作で、疑惑の白バイ隊員のデイヴィスに射撃コンテストの優勝を譲り彼の銃の弾丸の条痕を調べるなど、あまりチャンピオンの座に執着はないようです。

他にも疾走するバスの屋根に陸橋から飛び乗る運動神経、自分より若手の刑事に負けない体力の持ち主。格闘技にも長けており、取っ組み合いになっても殴り勝っています。


3.S&W M29と.44マグナム弾について

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ハリー・キャラハン刑事の愛銃として6.5インチのブラックモデルがシリーズを通して登場します。M29は当初、使用弾薬が狩猟専用ゆえに一部のハンターなどだけに知られる、特殊用途の拳銃でした。

ところが、1971年にクリント・イーストウッド主演の映画『ダーティハリー』が公開されて、一躍世界中に知られる存在となりました。撮影用に使用されたM29は、ハリウッド近隣の銃砲店で入手できなかったのでプロデューサーが製造メーカーのS&W社へ製品提供の要請を行った特別モデルでした。

この映画で特に有名な台詞で「this is a 44 magnum, the most poweful handgun in the world, and would blow your head clean off」 (この銃は、世界一強力な44マグナムだ。お前の頭なんかきれいに吹き飛ばせる。)があり、「世界最強の拳銃」=「S&W M29」であることを印象付けました。

ダーティハリー』は、M29と.44マグナム弾を有名にしたと同時に、視聴者に多くの誤解も与えました。ハリー刑事が逃走する自動車に発砲して止めるシーンがありますが、正確にはフロントガラス内の犯人を撃っていることが拡大解釈され、実際には不可能であるにも拘わらず「.44マグナム弾は自動車のエンジンブロックを撃ち抜ける」と信じられました。

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本作品の『ダーティハリー2』では同僚の警官に「.44マグナム弾は反動が大きく扱いにくいのではないか」と尋ねられたハリーが、「(自分が使っているのは)軽装弾だから.357マグナム弾より扱いやすい」と答えるシーンがありますが、そのとおりにするには装薬量を大幅に減らす必要があり、.44スペシャル弾を使うのと変わらなくなりますけれども「世界最強の拳銃」 (the most poweful handgun in the world) なのは変わりはありません。

2作目からはこの銃以外の武器で最後に犯人に引導を渡すのが恒例となり、5作目』に至っては犯人のハーラン・ルックにサマンサ・ウォーカーを人質にされて本銃を奪われてハリー自らが撃たれるも、最後には弾が切れたところで捕鯨砲を手にしたハリーがルックに引導を渡しました。


4.白バイについて

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キャラハン刑事のアクショングッズにオートバイがよく出てきますが、本作では、サンフランシスコ警察(SFPD)の白バイが活躍します。この白バイが意外やMOTO GUZZI のVツインなのです。

実際に1970年代、ロサンゼルス警察(LAPD)は伝統のハーレーではなくモトグッツィVツインを白バイに採用してまして、彼の地ではこのニュースが大いに話題になったそうです。

で、縦置きVツインですが元々は4輪メーカーのフィアット製スポーツカーに搭載される予定だったそうですが、その計画が頓挫してしまい宙に浮いていた所へイタリア警察から「大排気量の白バイが欲しい」との要請があったそうです。

そこで、丁度良い具合に700㏄ツインがあり、しかも元々自動車用として造られていたので低速~高速までしっかりとトルクも出ていて直進安定性にも優れていたり、シャフトドライブなので重いけど堅牢な作りが功を奏して西ドイツのBMWと並んで欧州各国で官公庁の正式車両として採用されました。

あたりまえですが、ハーレーでは本作終盤の白バイチェイスはあり得ません。モトグッツィVツインでのアクションも見事なのですが、さらに、やっぱり飛んだり跳ねたり更に過激なアクションは、モトグッツィよりも軽量なトライアンフツインに入れ替わっていました。

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5.まとめ

ベトナム戦争末期の荒廃したアメリカに突如現れた必殺仕事人。大手を振って姿を世間に晒している分、その行動には頑固なポリシーがあって、寸でのところで、リンチの執行者にはなりません。加えて.44マグナムをぶっ放せば正に鬼に鉄棒ですね。その辺が一般ピープルから喝采を受けるところでしょう。