凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『シンプル・プラン』よくできたサスペンスの小品です!!

この映画『シンプル・プラン(A Simple Plan)』は、スコット・B・スミスの同名小説をサム・ライミ監督が映画化した、1998年のアメリカのサスペンス映画です。

第71回アカデミー賞において、助演男優賞ビリー・ボブ・ソーントン)、脚色賞、撮影賞がノミネートされています。

目次

 

 

 

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 1.ストーリー

1)発端

アメリカの雪深い田舎町。飼料店に勤めているハンク(ビル・パクストン)は、薄給に苦しみながらも妊娠中の妻サラ(ブリジット・フォンダ)のために黙々と働いていました。

みそか、失業中の独身中年男の兄ジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)とその悪友の太っちょのルー(ブレント・ブリスコー)に父親の墓参りに連れ出されたハンクは、その帰り道、偶然入った森の中で墜落したセスナ機を発見しました。機内にはパイロットの死体と、なんと440万ドル(約5億円)もの大金がありました。

 

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2)逡巡から加担

ジェイコブとルーはこれが犯罪がらみの金だと決めつけ着服しようと持ちかけ、最初は反対したハンクも結局同意し、彼が責任をもって預かることになりました。最初は混乱したサラも出産後の生活苦を考えて、着服プランに積極的に関わってきます。

サラの提案によって、ジェイコブを誘って金の一部を森に戻しに出向いたハンクでしたが、狩りのため森に行こうとした近所の老人ドワイト(ジャック・ウォルシュ)を、動揺したジェイコブがバールで打ちすえてしまいます。ハンクはジェイコブをなだめ、息を吹き返したドワイトの息の根を止めて事故死に見せかける工作をしました。

 

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3)動揺

こうして辻棲あわせのためのウソが始まりました。さらに、借金まみれのルーが金をよこせとふたりを脅迫し、ハンクとジェイコブはいきがかりで彼とその妻ナンシー(ベッキー・アン・ベイカー)を殺してしまいました。正当防衛が認められ罪には問われなかったふたりですが、ジェイコブは良心の呵責に苦しみ出しました。


4)決着

ほどなく、保安官のカール(チェルシー・ロス)から兄弟に呼び出しがかかり、FBIのバクスター(ゲイリー・コール)と名乗る捜査官が来て、かつてこの付近で誘拐事件の身代金を乗せたまま消息を絶ったセスナ機について情報を欲しいというのでした。

バクスターの正体に不審を覚えたサラは、この男が誘拐犯人のひとりということを突き止めてハンクに連絡しまし、ハンクは身を守るためすきをみて保安官の銃を盗んみました。森の中のセスナ機の前で、バクスターは保安官を殺しましたが、ハンクに逆襲され射殺されました。

それを見ていたジェイコブは精神的に限界に達し、なんとハンクに自分も殺して全ての始末をつけてくれと懇願します。兄としての最後の頼みだと迫った彼をハンクは泣きながら射殺しました。

 

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5)終焉

結局、例の大金は札番号が控えられており、使うことが不可能とであることが解ってきて、ハンクはサラの制止をきかずに、金を暖炉で燃やしました。しかしながら、彼には平穏な日々はもはや戻らないのでした。

貧しい独身中年男の兄や、酒と博打で破綻している兄の友人、産後の生活苦を抱える妻の、「お金があったら・・・」という切ないお話でした。

 

 

2.みどころ

1)ビリー・ボブ・ソーントン

物語自体は大変スリリングでした。兄ジェイコブを演ずる才人ビリー・ボブ・ソーントンが渋いのです。頭が悪そうなんだけど、ちょっと切れ者っぽい顔も見せたりしますが、やっぱり愚鈍さが際だってきます。この存在感、危なっかしさが映画を支えました。

 

2)ビル・パクストン

3人組で唯一まともであったハンクを演じましたが、彼の優柔不断が悲劇を招きました。兄や妻の言動に右往左往するのがこの映画の本筋と言ってしまえば、しっかりと4番バッターを演じています。

このビル・パクストンは、『エイリアン』シリーズ、『プレデター』シリーズ、『ターミネーター』シリーズに出演した唯一の俳優であり、そして全作品でタイトルとなる敵に“殺された”人物を演じた俳優でもあります。


3)展開

主人公、兄、兄の友達の三人が金を猫ばばしようとする共犯三人組なのですが、この関係がちょっとずつぼろぼろになっていく、その緩やかさが素敵で、映画的に思い切った流れをつくっているのもよく、それまでの映画のトーンからすると、ああ、思い切ったな、という展開があって、そしてそれが結構、説得力を帯びています。つまり、これぞ物語、これぞ「展開」だなという動きで、映画の面白さが加速しました。

 

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3.まとめ

この映画の場合、原作の物語が面白いのであって、この映画に特有の映画的風合いはというと、終始雪化粧した風景とそこにいつもいる不気味なカラスが印象的でした。この映画における監督の仕事は、この舞台の風合いをいかに引き出すか、だったように思います。