凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『16ブロック』中年のブルース・ウィリスまんまで好演しています?!

この映画『16ブロック(16 Blocks)』は、2006年のアメリカ合衆国のアクション映画で、 監督は名匠リチャード・ドナー、主演は当時50を過ぎたブルース・ウィリスです。 ニューヨークのダウンタウンを舞台に逃げ惑い繰り広げられる追跡劇を描いています。

目次

 

 

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1.ストーリー

1)プロローグ

ニューヨーク市警察(New York City Police Department、略称:NYPD)のジャック・モーズリー刑事(ブルース・ウィリス)は、勤務中にも飲酒するアルコール中毒者で、妹のダイアン(ジェナ・スターン)からも見放される初老の不良刑事でした。

ある日、夜勤明けのジャックは帰宅しようとしたところを上司に呼び止められて、午前10時の大陪審に証人として出廷する囚人エディ・バンカー(モス・デフ)の護送を命じられました。夜勤明けを理由に断ろうとするジャックに対し、上司は「裁判所のあるセンター・ストリートは、NY市警本部のあるパーク・ロウから16ブロック(約1.6km)程度の距離だ」と言われて渋々仕事を引き受け、エディを車に乗せて裁判所に向かうことになりました。



2)障害発生

車の中でエディは「12時に大事な用事があるから早く証言を済ませたい」と急がしますが、やる気のないジャックは話を聞き流し、車を止めて酒を買いに行ってしまいます。

 

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車に取り残されたエディは不審な男に殺されそうになり、店から出てきたジャックは男を射殺してエディを連れ出し逃走します。馴染みの酒場に逃げ込んだジャックは応援を要請しますが、そこに不良刑事仲間のフランク・ニュージェント(デヴィッド・モース)たちが現れました。


3)逃亡

フランクは「エディは仲間の刑事を起訴するために呼ばれた証人だ」と語り、口封じのためにエディを殺そうとします。

 

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フランクたちが市警内部の不正を揉み消そうとしていることを知ったジャックは、フランクたちに向けて発砲し、エディを連れて再び逃走します。フランクたちは汚職に加担しているグルーバー分署長(ケイシー・サンダー)と組み、二人の行方を追いました。


4)万事休す

ジャックはダイアンの家に向かい拳銃を調達しますが、途中でエディが「大事な用事」を果たすために逃げ出してしまいます。
地下鉄構内でエディを見付けたジャックは裁判所に向かおうとして彼と口論になりましたが、刑事たちと出くわし、二人は逃走します。エディは命を救ってくれたジャックに感謝し、裁判所に向かうことに決めますが、不意を突かれたジャックが撃たれて負傷します。

 

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二人はフランクたちから逃れるためにチャイナタウンに逃げ込み、市警の不正を捜査するマクドナルド地方検事補(ブレンダ・プレスリー)に助けを求めました。マクドナルドは迎えを送ろうとしますが、内通者から情報がフランクたちに漏れてしまい、2人はフランクたちを振り切るためにバスに乗り込みました。
しかし、フランクたちにタイヤを撃たれたバスは工事現場に追い込まれ、ジャックは乗客を人質にして立て籠もります。フランクとグルーバーは、ジャックを「精神異常を起こしてバスジャックをした刑事」に仕立て上げ、周囲を特殊部隊で包囲しました。
ジャックは自分が助からないことを悟って、エディを乗客に紛れ込ませて解放し、乗客が忘れていったヴォイスレコーダーにダイアンに宛てた遺言を残します。


5)脱出

フランクたちは特殊部隊にバスに突入するように命令しますが、エディが突入を止めるように叫びながらバスに戻ってきました。
ジャックはエディを乗せてバスを発進させますが、特殊部隊に銃撃され路地に追い込まれてしまいます。バスから脱出した二人でしたが、エディが撃たれて重傷を負いました。ジャックは救命士であるダイアンに助けを求め、救急車に乗り込み裁判所に向かいました。

 

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その車中で、エディは妹がいることを語り、彼女のいるシアトルに移住してケーキ屋になることを語ります。ジャックは手当てを終えたエディに対して、「汚職が暴露されて裁かれる汚職刑事の中には、自分も含まれている」と語り、彼に代わって証言を行うと語り、途中で救急車から降ろして一人で裁判所に向かいました。


6)証人交代

裁判所の地下に到着したジャックはフランクと対峙し、彼が無実の人間を死に追いやったことを責めて口論となりました。フランクは仲間に、エレベーターに乗ったジャックを射殺するように指示して別れました。

 

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ジャックは裁判所のフロアーで、警官たちにマクドナルドを呼ぶように要求します。マクドナルドに対して、ジャックはエディの犯罪記録を抹消することを条件に証言を引き受けようとしますが、背後からロバート・トーレス刑事(デヴィッド・ザヤス)に撃たれそうになりました。しかし、ロバートは事情を知った特殊部隊に狙撃され、ジャックは地下でのフランクとの会話を録音したヴォイスレコーダーを手に大陪審に出廷するのでした。


7)エピローグ

2年後、刑務所から釈放されたジャックは、ダイアンや友人たちに囲まれて誕生日を迎えます。パーティーの席にはエディから贈られたケーキが置かれており、シアトルでケーキ店を開業したことを報告する手紙とエディの得意げな写真が同封されていました。


2.みどころ

1)バディムービー

映画の概略としては、おしゃべり黒人のお調子者のチンピラと、気難しい白人刑事のバディムービーという、定番中の定番です。命がけで追手から逃げる合間にも、テンポのいい会話劇やジョークが交わされ、これも楽しませてくれます。

 

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2)対照的

このチンケな犯罪者である証人の黒人男が、どん底に落ちながらもまだ人生をあきらめておらず、まっとうな道へと戻るべく、ポジティブに努力していることがわかります。一方刑事の側は、過去の傷から立ち直れておらず、逆に未来に絶望しています。チンピラの暖かい人間性によって、刑事の側が影響を受けていく構図となっていて、ブルース・ウィリスが、落ちぶれ感たっぷりに、傷ついた中年男を好演しています。


3)リアルタイム

導入部から、目付きも変え、足を引きずり、くたびれたアルコール依存症の中年刑事ジャックを見事に体現したブルース・ウィリスに驚かされます。なぜ彼は働く意欲を失ったのか? そんな疑問を抱かせつつ、予測不能の逃走劇と予想外の人間ドラマがほぼリアルタイムで進み、一瞬たりとも目が離せません。


4)マシンガン・トーク

ラッパーのモス・デフエディ・マーフィーのマシンガン・トークを彷彿させて好演しています。終始しゃべりまくっていますが、表情などから緊張のあまり饒舌になっていることがわかり、独特の緊迫感を醸し出しています。彼がジャックに問う、人柄がわかる謎かけが隠し味になっているのも洒落ていいます。

 

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3.まとめ

この映画、最後がよく出来ているために、満足度という点ではなかなかのレベルです。この厳しい時代、無残なアクション映画の多い中、明るい希望を感じさせ、愚直なまでのストレートな人間賛歌です。