この映画『ゴーストバスターズ(Ghostbusters)』は、1984年のアメリカのホラー・コメディ映画で、監督・製作はアイヴァン・ライトマン、脚本はダン・エイクロイドとハロルド・レイミス、出演はビル・マーレイ、エイクロイド、ラミスです。
全世界約3億ドル(80%が北米)に迫る興行収入を上げ、その年のNo.1ヒットとなりましたが、アメリカ以外ではほとんどウケなかった作品でもあります。
目次
1.紹介
「幽霊退治」という古風なテーマを、抜群のユーモアセンスとナンセンスなギャグで笑わせてくれ、見事なSFXも楽しめて、レイ・パーカー・ジュニアが歌う同名主題歌「ゴーストバスターズ」(Ghostbusters)も大ヒットした、娯楽作品の決定版です。
公開されるや否や瞬く間に大ヒット、結果的に全米興行収入第1位、歴代では7位(当時)を記録しました。端的でわかりやすいストーリー、バスターズロゴやマシュマロマンを始めとする魅力的なアイコン達、と80年代を代表するコメディ映画であり、今なお色褪せない傑作です。
2.ストーリー
1)プロローグ
女好きのピーター・ヴェンクマン博士(ビル・マーレイ)、臆病なレイモンド・スタンツ博士(ダン・エイクロイド)、堅物のイゴン・スペングラー博士(ハロルド・ライミス)の三人の科学者が、ニューヨークのコロンビア大学で超常現象や幽霊・霊体などの研究をしていました。
2)初めての依頼
ある日、一方的に研究費を打ち切られ追い出された三人は、借金を重ね、幽霊退治を行う会社「ゴーストバスターズ」を開業します。武器も揃え、秘書としてジャニーン・メルニッツ(アニー・ポッツ)も雇いましたが、なかなか依頼は来ませんでした。
そんな中、たまたまCMを見かけたディナ・バレット(シガニー・ウィーバー)が、マンションの自室で起こったポルターガイスト現象を解決してほしいと、ゴーストバスターズ初の依頼をしてきます。
ディナを気に入ったピーターは、ディナと共に彼女のマンションに向かい、調査を行いますが特に変わったところは見られませんでした。そして何もないと決めつけたピーターは彼女を口説き落とそうとしますが、逆に追い出されてしまいました。
3)商売繁盛
数日後、三人の元に高級ホテルから依頼が来ます。悪戦苦闘した末、ホテルの中を破壊しながらも見事、幽霊を退治しました。
この幽霊退治をきっかけにピーターたちは有名になり、ビジネスは大当たり、ゴーストバスターズは一気に忙しくなり、人手が足りなくなってきたので新人のウィンストン・ゼドモア(アーニー・ハドソン)を雇うことにしました。
そんなある日、環境保護局長のウォルター・ペック(ウィリアム・アザートン)がゴーストバスターズの元を訪れました。「環境の考慮しているのか?」「ゴーストの保管場所を見せてほしい」とウォルターは言いますが、ピーターはウォルターの態度が気に食わず、追い返してしまいました。
そんな中、初依頼主であったディナが冷蔵庫で眠っていた「門の神・ズール」に、ディナの隣人のルイス・タリー(リック・モラニス)が「鍵の神・ビンツ」にとり憑かれ、体を乗っ取られてしまいます。
4)破壊の神・ゴーザ
ズールとビンツが出会った時、世界に終末をもたらす「破壊の神・ゴーザ」が現れてしまいます。それを知ったゴーストバスターズは二人の接触をなんとか阻止しようとしますが、二人が出会おうとしている同時刻にゴーストバスターズの元をまたウォルターが訪れていました。
ウォルターは令状を持っており、強制的にゴースト保管庫の電源を切ってしまいます。そのせいで保管庫は爆発、会社のビルも破壊され、捕らえていたゴーストたちは一気に街中に溢れ出してしまいました。
ゴーストバスターズは爆発物所持の容疑で逮捕されてしまいますが、ニューヨーク市長のレニー(デヴィッド・マーギュリーズ)に幽霊騒ぎを収拾してほしいと活動再開の許可を出されました。
その頃ディナのマンションでも爆発が起こり、「破壊の神・ゴーザ」が現れようとしていました。
5)マシュマロマン出現
このマンションはゴーザを崇拝しこの世の終わりを祈る秘密結社の信者・イヴォの特殊設計で建築したもので、異次元と現実とを結ぶ役割をしていました。
そしてビンツに取り憑かれたルイスがズールに取り憑かれたディナに出会った時に、ゴーストバスターズもマンションに侵入し、ディナたちの元へたどり着きました。
しかしもう遅く、ゴーザが現れていて、ゴーザには通常のレーザー光線は効かず、ゴーザは破壊の方法を選べと迫ります。
ピーターは「何も考えるな!」と言うが、すでにレイモンドがマシュマロマンを頭に浮かべてしまい、本当に街に巨大なマシュマロマンが現れ、街を破壊していきました。
6)エピローグ
4人は最後の手段として、危険なレーザー光線のクロスを行い、見事マシュマロマンを倒しました。ディナとルイスも無事元通りになり、ニューヨークには平和が訪れました。
3.四方山話
1)ゴーストキャラクター
作中では科学的に幽霊が解釈されていて、半透明の有形心霊体と述べられています。劇中ではどのゴーストも出没するとその場所にスライム状の粘液を残します。
①ライブラリー・ゴースト
ニューヨークの市立図書館に出没した老女のゴーストで、書物や整理カードを空中に飛ばしたりしますが、通常は静かに本を読んでいますが、読書を邪魔されると恐ろしい形相となります。
②スライマー
レイ曰く、アグリー・リトル・スパッド(醜い小さなジャガイモ)で、高級ホテルに出没した緑色発光性のゴースト。食物を何でも平らげてしまい、人そのものには粘液をかける以外の危害は加えないようです。
③テラードッグ
デイナのマンションの屋上にある「ゴーザの寺院」の番犬です。雌の「門の神ズール」と雄の「鍵の神ビンツ」の2頭がおり、デイナとルイスにとり憑きました。
④破壊の神ゴーザ
世界に終末をもたらすヒッタイトの神です。どんな姿を取ることもでき、世界を破壊するためマシュマロマンに変身しました。
⑤マシュマロマン
レイモンドの頭に浮かんだステイパフト・マシュマロの袋に描かれているマスコットキャラクターが身長約34メートルの巨大なゴーストになりました。
ニューヨークの町を我が物顔で歩き回り破壊します。
ちなみに、ディナの自宅のキッチンにも、袋入りのステイパフト・マシュマロが置かれていました。
⑥ドリーム・ゴースト
レイモンドのベッドに現れました。
⑦サブウェイ・ゴースト
地下鉄の入り口から現れました。
⑧タクシー・ゴースト
タクシーで危険な運転をするドライバーで、腐乱したミイラの姿をしています。
2)ゴーストバスターズのアイテム
①No Ghostマーク
バスターズ本部の看板や車両に描かれているロゴマークです。本作自体のシンボルマークでもあります。丸に斜線の禁止マークがゴーストを遮っているデザインで、斜線は本来右上がりであるが、日本における本作の宣伝では日本の実際の道路標識(通行止め・駐車禁止など)に合わせ、左右反転して右下がりとしました。
②プロトンパック
バスターズが使用するレーザー装置。小型の原子炉になっており、初使用の際はまだテストもしてない状態でした。
ゴーストたちを捕まえる際に利用しますが、銃として役割を果たす場合とゴーストに巻きつけて使用する場合があります。
2挺以上の光線を交差させると陽子の変化で強大な力になり、爆発する危険性があります。
③保管装置
バスターズがゴースト捕獲の際に使用する箱です。内部から光を放ち薄煙を出しています。
④PKEメーター
霊気を感知する装置で、バスターズ結成前からイゴンが設計していた装備です。
霊気の発生源に近付くにつれて点滅が速くなり、発生源を感知すると、両側のアームが開く仕組みになっています。
⑤ゴーグル
視覚を走査し、霊体の場所を装着者に知らせます。
⑥ECTO-1(エクトワン)
バスターズの専用車両。ナンバーはECTO-1。白い車体にサイレンと点滅灯を装備して、ドア部分にシンボルのNo Ghostマークが描かれています。
元は中古車店で売っていたものを4800ドルでレイモンドが手に入れました。
⑦ゴーストバスターズ本部
古い元消防署を改装したバスターズ本部です。会社設立時に賃貸物件として内覧しましたが、薄汚く、レストアが必要だったにも拘わらず、レイモンドが気に入って即決しました。
出動時にはポール(滑り棒)を伝って下に降りることができます。
⑧保管庫
バスターズ本部内に幽霊を格納している保管庫です。光線によって幽霊を縛り付けていますが、保安局が電源を落したために幽霊が飛び出してします事になります。
3)音楽
アリスタ・レコードよりサウンドトラックが発売され、レイ・パーカー・ジュニアによる主題歌『ゴーストバスターズ(Ghostbusters)』は印象的なベースラインとキャッチーな掛け声が特徴的で、シングル曲はBillboard Hot 100で3週連続1位を記録、同年のアカデミー歌曲賞にノミネートされました。
日本ではシングルの「ゴーストバスターズ」がオリコン洋楽シングルチャートで1984年9月17日付から6週連続1位、サウンドトラックアルバムがオリコン洋楽アルバムチャートで1984年10月1日付から2週連続1位を獲得しました。
4.まとめ
メンバーが、特にビル・マーレイが、脚本通りにセリフを喋った箇所などほとんどなかったそうですが、それでもコメディ界で鍛えた彼らの瞬発力たるやさすがです。
キュートなお化けマークと、傑作キャラのマシュマロマン、あの主題歌も相まって、30年経った今なおあらゆる面で存分に、何度でも、何世代でも家族で楽しめる作品です。