『バッドボーイズ(Bad Boys)』は 1995年のアメリカ合衆国のアクションコメディ映画です。それまでCMディレクターとして活躍していたマイケル・ベイの映画監督デビュー作です。ウィル・スミス、マーティン・ローレンスが主役を演じ、マイアミ市警で働く二人の黒人刑事の活躍を描いています。
目次
1.『バッドボーイズ』の意味
『バッドボーイズ』のバッドは悪い・出来が悪いというのが本来の意味ですが、それを反転させたスラングでの「いい感じ」や「かっこいい」が本作での意味になっています。
したがって、主演は、スラングが似合う20代のウィル・スミスとマーティン・ローレンスがぴったりで、そんな若い2人には、マイケル・ベイがミュージックビデオやCMなどで培ってきた斬新な撮影方法にピッタリでした。
そして、主演2人のキャラクターの違いが最高で、ウィル・スミスのハンサムで長身な部分は正統派王子様のようであり、ポルシェを乗り回すバッドな独身貴族を演じています。
一方、マーティン・ローレンスはコメディアンであるので、コミカルで奥さんの尻にひかれた既婚者のファミリーマンを演じてます。この2人のデコボコなコンビネーションが、映画では見事にはまりました。マイケル・ベイは自分がかかわっている脚本に不満を抱えており、2人にはアドリブでノビノビと自由にやらせたことが、功を奏しています。
2.ストーリー
1)事件発生
マイアミ署で押収されていた1億ドル相当のヘロインが何者かによって盗まれました。麻薬特捜班のハワード警部(ジョー・パントリアーノ)はあまりにも内部の状況に精通したとしか言えない手際から内部の人間が怪しいと疑い、外部に事態が漏れる72時間以内に盗まれたヘロインを再び押収するよう部下のマーカス(マーティン・ローレンス)とマイク(ウィル・スミス)に捜査を命じました。
2)間違い
一方でマイアミ署からヘロインを盗み出したフーシェ(チェッキー・カリョ)率いる組織を目撃したことで追われる身となったジュリー(ティア・レオーニ)は友人を通して知ったマイクの自宅に逃げ込み、そこにたまたまマーカスがやって来たために彼をマイクと誤って認識して助けを求めてしまいました。
3)交換
翌日、ジュリーの事情を知ってハワードは彼女を最重要人物としてマーカスとマイクを互いの振りをさせながら彼女を保護し、同時に事件の収拾にあたらせるというとんでもない発想を思いついてしまいます。
その後、互いが互いの振りをしながら捜査することになってしまったマーカスとマイクですが、事件から3日目、遂にジュリーの居場所がフーシェにばれてしまい銃撃戦の末に彼女は拉致されてしまいます。
4)発覚
マーカスとマイクはジュリーの情報から、犯行グループの内の一人を特定して、彼らがいるクラブに潜入しますが、後をつけてきたジュリーが思わず発砲してしまい、事件の黒幕であるフーシェの部下たちに追われてしまいました。たまたま乗り込んだバンに積んであったエーテル燃料を爆発させて脱出します。
マイクはこのエーテル燃料がヘロインの精製用だと勘づき、暗黒街に精通する情報屋のジョジョ(マイケル・インペリオリ)からヘロイン精製のアジトの存在と犯行グループの全容を聞き出すことに成功しました。
5)最終決戦
マーカスとマイクはフーシェ一味のアジトに乗り込む準備をしている最中、ジュリーがフーシェ一味にさらわれてしまいました。マイアミ全市に非常警戒体制が敷かれる中、マーカスとマイクはフーシェがかけた電話から居場所を特定、完全武装でフーシェ一味を追撃します。
壮絶な銃撃戦の末にフーシェを追いつめて射殺、ジュリーを無事救出したところで、ハワード警部が引き連れてきた応援部隊が到着しました。
3.公開
1)低調な出発
本作の成功によって、ウィル・スミスとマーティン・ローレンスはスターダムを駆け上っていくじょですが、本作の興行成績はそこまで高くなかったのです。ヒットの指標となる1億ドルをアメリカ国内だけの興行成績では突破しておらず、アメリカ国内だけで6,500万ドルという意外と低い数字でした。
2)TVからスクリーン
これは、テレビでは人気者だった主演の2人が、映画スターとしてはまだまだこれからだったということが理由でしょう。ウィル・スミスは次の作品『インデペンデンス・デイ』(1996年)にてブロックバスター俳優へと大きく飛躍していきました。
多くの人が『バッドボーイズ』を記憶しているのは、恐らく劇場ではなく、ビデオやテレビ放映でウィル・スミス作品として見た結果なのでしょう。
4.まとめ
2人の絶妙なコンビネーションに、マイケル・ベイの爆発やカーチェイスという派手で斬新な演出、そしてマイアミというエキゾチックなロケーション、クールな音楽と、いずれもが斬新で印象に残りました。これが『バッドボーイズ』が、今でも鮮明に記憶に残り、続編も大成功した要因でしょう。
本作は、スマッシュ・ヒットではあったけれども大成功を収めた珍しいケースといっても間違いありません。