凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『ブラッド・ワーク』ここでも元気なイーストウッドです?!

この映画『ブラッド・ワーク(Blood Work)』は、監督・主演をクリント・イーストウッド、共演はジェフ・ダニエルズアンジェリカ・ヒューストンなどで、マイクル・コナリーの『わが心臓の痛み』を原作とした、2002年のアメリカ合衆国のサスペンス・スリラー作品です。

目次

 

 

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1.紹介

単純な強盗殺人などと違い、緻密に仕組まれたゲームを楽しむような犯行の仕組みなどが、巧みな展開で描かれている作品です。

70歳を過ぎ、本作以降もさらにステップアップしていって、”高尚”な作品を撮り続けることになるイーストウッドですが、ある意味、実に彼らしい、ホッとさせてくれる作品でもあります。


2.ストーリー

1)エピローグ

FBIの捜査官テリー・マッケイレブ(クリント・イーストウッド)は、彼宛てのメッセージを現場に残す連続殺人犯を追跡していましたが、心臓発作を起こして倒れてしまい、犯人を取り逃がしてしまいました。マッケイレブはFBIを退職し、心臓移植手術を待つことになりました。

2年後、無事に移植手術を終えて退院したマッケイレブは、港のクルーザーに生活の拠点を移して生活していました。

 

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2)因縁の依頼人

そこにグラシエラ・リバース(ワンダ・デ・ジーザス)という女性が訪れ、妹が強盗に殺された事件の捜査を依頼します。

マッケイレブは依頼を断ろうとしますが、移植された心臓が彼女の妹のものだったことを知り、殺人によって自分の命が生かされたことに怒りを覚え、依頼を受け入れることになりました。

 

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マッケイレブは市警のロナルド・アランゴ刑事(ポール・ロドリゲス)、ジョン・ウォーラー刑事(ディラン・ウォルシュ)に協力を求めますが、現役時代から折り合いが悪かったため十分な協力が得られず、市警と捜査権を争う保安官事務所のジェイ・ウィンストン警部(ティナ・リフォード)を訪れます。

マッケイレブの手助けで女性でありながら出世を出来たこともあって、ウィンストンは快く協力を申し出て、必要な捜査資料を渡しました。


3)連続殺人の再発

捜査資料から、グラシエラの妹とは別件のコーデル殺人事件との間に関連性があると判断したマッケイレブは、隣のクルーザーで暮らすジャスパー "バディ" ヌーン(ジェフ・ダニエルズ)を助手にして捜査を進めます。

捜査を進めるうちに、彼女とコーデルは同じ希少な血液型でドナー登録していたこと、2人とも犯人から脳死状態にされていたことが判明し、マッケイレブは、犯人が同一犯で、自分に心臓移植をさせるためにドナーの2人を殺したと推理しました。そんな中、容疑者の一人だったミカイル・ボロトフ(イゴール・ジジキン)が殺害され、続けてコーデル夫人(アリックス・コロムゼイ)も殺害されました。

マッケイレブの元にアランゴ刑事、ウォーラー刑事が現れ、3件目の殺人事件が発生したことを告げました。被害者はロックリッジ、容疑者の一人で、現場には「ハッピー・バレンタイン」の文字と、2年前の連続殺人犯が残したものと同じ数字が残されていました。

 

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4)現れた真犯人

マッケイレブは、再び現れた犯人を捜し、グラシエラの甥が数字を見て「1の数字だけない」と言ったことが頭に残り、そこから数字の意味が「1がない=ノー・ワン(No One=Noone)」だと知り、ヌーンの元に向かいます。

ヌーンは犯行を認め、「昔のように自分を追い掛け回して欲しいから、2人を殺して心臓を提供した」と語り、同時にグラシエラと甥を人質にしたことを告げました。

バディの腕を撃ち、座礁した船に捕らわれていた、グラシエラらを助けようとしたマッケイレブでしたが、隙を見てバディはその場を逃れ、隠してあった銃で反撃に出ました。

マッケイレブはグラシエラと甥を逃がし、心臓を気にしながらバディを捜します。グラシエラは、甥を連れてマッケイレブのボートで座礁船を離れるものの、バディが襲い掛かろうとしたため、彼を乗せたまま座礁船に激突しました。

瀕死のバディにマッケイレブは止めの一撃を放ち、息のある彼をグラシエラが水中に沈めました。


5)エピローグ

マッケイレブは、ウィンストン警部のこれからどうするという問い掛けに、グラシエラの意思に従うといい、グラシエラと彼女の甥と共に、ボートを走らせました。。


3.四方山話

1)ダーティーハリー?

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クライマックスで、傷ついた犯人(ジェフ・ダニエルズ)を威嚇し容赦なく銃撃する姿やカメラアングルや、時折、皮肉交じりに癇癪を起こす主人公も、年老いた”ハリー・キャラハン”のようであり、間違いなく『ダーティハリー』(1971年)へのオマージュに観えます。


2)ハードボイルドの聖者

クリント・イーストウッドの顔が画面に出てくるだけで、ハードボイルドの雰囲気が横溢してきます。それはセリフがあっても、なくても変わりません。
顔の表情、後ろ姿(肩の上げ下げ)、ガンさばきなどで、男の孤独や矜持を表現してしまうのです。

 

3)羨ましく寒い展開

捜査依頼したグラシエラとイーストウッドが良い仲になってしまうところで一気に冷めてしまいました。70歳で心臓悪いのに。イーストウッドはいくつになってもラブシーンができるようです。

 

 

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4.まとめ

ジェフ・ダニエルズもやはり単なる暇な隣人ではなかったし、イーストウッドの心臓移植がきっかけで何人も死んでるわけで、めでたしめでたしとはいかず、考えてみると、背筋が凍りそうな展開でした。