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映画『種まく旅人~みのりの茶~』地味にほっこりと暖かな映画です!!

 

この映画『種まく旅人〜みのりの茶〜』は、監督・塩屋俊、主演・陣内孝則、共演・田中麗奈の2012年の映画です。

目次

 

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1.紹介

大分県臼杵市を舞台に、リストラされて東京から戻ってきたばかりの田中麗奈が、農林水産省の役人陣内孝則、市役所職員の吉沢悠や、近所の人々が、お茶の有機栽培をめぐって織り成すドラマを描いています。

2.ストーリー

1)プロローグ

大宮金次郎(陣内孝則)は農林水産省の大臣官房企画官ですが、有給を使って全国の農家を巡っては農作業を手伝ったり酒を酌み交わしたりしていて、農家の人々からは金ちゃんと呼ばれて親しまれていました。

森川みのり(田中麗奈)は、東京の実家で暮らしながらデザイナーとして働いていましたが、リストラされてしまいます。

ある日、友人の栗原香苗(中村ゆり)のカフェが取り上げられた雑誌を偶然目にし、香苗を訪ねて大分県へと向かいます。香苗のカフェを訪ねた後、母に言われて渋々臼杵市で一人暮らしをしている祖父・森川修造(柄本明)の元を訪れます。そこへ臼杵市の農政局長へと赴任して来た大宮が訪ねて来ます。

 

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2)祖父ちゃん倒れる

翌朝、修造が急に倒れまました。修造は心臓の手術が必要で、しばらく農作業は無理とのことでした。

実は、修造は5年前に市から融資を受け有機茶畑を手掛け始めていましたが、今年から返済を始める予定になっていました。

融資を担当した市の農政課に勤める木村卓司(吉沢悠)は返済計画が滞るため途方に暮れます。その話を聞いたみのりは、仕方なく祖父の茶畑の手入れを始めます。大宮は正体を明かさないまま、そんなみのりの元へ朝と夕方だけ訪れては、農作業の指導を行うのでした。

慣れない農作業や田舎の風習に疲れ果ててしまったみのりは、ある日香苗のカフェで愚痴るのですが、おしゃれでカッコいいだけの仕事なんてないとたしなめられます。

その頃、卓司に青年会の部会に連れて行かれた大宮は、参加していた農家の若者達と、学校給食に地元で採れた有機野菜を使うアイデアで盛り上がります。卓司は、そのアイデアをまとめた資料を上司に見せますが、予算が無いと却下されてしまいます。


3)お袋の味

大宮や卓司の協力を得て茶畑の手入れに励むみのりでしたが、茶畑に病気が発生します。近所の畑にも広がる可能性もあるため、農薬を使うべきかみのりは迷います。

農薬を使えば有機農法として頑張って来た祖父の5年間の努力が水の泡になってしまいます。悩むみのりに、大宮はしばらく様子を見ようと言います。大宮や卓司と共に、丹念に病気の茶葉の摘み取りを行なっていると、いつの間にか病気は治まっていました。

茶摘みの時期が迫り、試しに摘んだ茶葉を炒ってみますが、正しい炒り時間が分からず、なかなか良い味になりません。みのりは修造に相談しますが、修造にもわかりません。そんな時、修造が倒れたことを知ったみのりの父・修一(石丸謙二郎)が病院に現れます。

修一は、修造を引き取り、みのりも東京に帰ってくる様にと言いますが、みのりはお茶が出来るまでここにいる、自分と向き合いたいと答え、茶の炒り時間の研究に没頭します。

 

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そんなみのりに修一が亡くなった祖母の日記を見せます。それには、茶葉を積んだ日の天気と湿度と入り時間が記録されていました。それを参考に炒った茶葉でいれた茶を飲んだ修一は「お袋の味だ」と呟くのでした。

 

4)茶摘み

衛藤フジエ(林美智子)を初めととして、近所の人々の協力で茶摘みが行われ、出来たお茶を振る舞うと、評判は上々でした。青年部の部会で、卓司は有機野菜を給食に使うプロジェクトは予算の関係で無理だと報告します。それを聞いた大宮は、市長(寺泉憲)を巻き込み、プロジェクトを承認させます。その直後、大宮は緊急呼び出しで中央に戻ることになってしまいました。


5)エピローグ

半年後、みのりの作った緑茶は、臼杵市優秀農作物表彰式で優秀賞を受賞します。表彰式に大宮が現れ、農林水産省の官僚だと知ったみのりと卓司は驚きます。退院した修造や卓司と共に、みのりは茶畑の手入れに励むのでした。

 

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3.四方山話

1)新芽

新茶の撮影をしたのは、実は12月でした。通常は、寒くて新芽は出ていません。そこで、試験場で茶の温室栽培を行い、12月に無事新芽を撮影することができました。

大分県農林水産研究指導センター茶業チームに所属するスタッフも、この映画の撮影に協力しています。


2)茶の木の病気

お茶園に病気が発生するシーンでは、ロケ地であるお茶園に、本当に病気を発生させる訳にはいきません。そこで、試験場で人工的に病気を発生させ、撮影時に病気に罹った枝を一本一本茶園に差し込んで撮影しました。

 

3)『種まく旅人』シリーズ

いずれも農業や漁業など、日本の地方で第一次産業に携わる人々の暮らしを、その土地の風土とともに描いていく物語です


第1作『種まく旅人~みのりの茶~』(2012年/塩屋俊監督)   大分県臼杵市

第2作『種まく旅人~くにうみの郷~』(2015年/篠原哲雄監督) 兵庫県淡路島

第3作『種まく旅人~夢のつぎ木』(2016年/佐々部清監督)    岡山県赤磐市

 


4.まとめ

いきなり行って20代そこそこの娘さんがお茶を栽培、製造するなんて、現実味はないのかもしれませんが、終始温かな気持ちで見る事ができました。方言もいい。

リアリティはわかりませんが、こういう農業など地味なテーマの映画も必要で、興行的には全く収益がでると思えませんが、こういう世界を教えてくれる映画があったことが嬉しいです。