凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『ア・フュー・グッドメン』名優乱舞の法廷サスペンスです!!

 

この映画『ア・フュー・グッドメン(A Few Good Men)』は、アーロン・ソーキンの脚本による同名の舞台劇(A Few Good Men)を基に、1992年に公開されました。製作・配給はキャッスル・ロック・エンターテインメントとコロンビア・ピクチャーズ、監督はロブ・ライナートム・クルーズジャック・ニコルソンデミ・ムーアケヴィン・ベーコンが共演する豪華キャストの軍法会議サスペンスです。

目次

 

 

 

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1.みどころ

何といってもジャック・ニコルソンで、軍人としての尊厳と傲慢を絵にしたようなジェセップ大佐を見事に演じ、その場のすべての役者を圧倒しています。

若き日のトム・クルーズは、心と立場と状況が目まぐるしく変化するストーリーをうまく乗り切る好演を見せています。

デミ・ムーアケヴィン・ベーコンは出すぎることなくトム・クルーズを盛り立て、ケヴィン・ポラックとキーファー・サザーランドは主役の補佐や敵役の部下の役柄そのものを納得させてくれています。

被告のドーソン上等兵を演じたウォルフガング・ボディソンも凛としていて物語の最後を締めくくっていました。


2.ストーリー

1)プロローグ

キューバにある海兵隊の米軍基地でドーソン上等兵(ウォルフガング・ボディソン)とダウニー一等兵(ジェームズ・マーシャル)がサンティアゴ一等兵(マイケル・デロレンツォ)に暴行を加え、サンティアゴは1時間後に死亡するという殺人事件が起きました。

 

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ワシントン法務監査本部の内務課に勤務する法務官のジョアン・ギャロウェイ少佐(デミ・ムーア)は上司にこの事件の弁護をさせて欲しいと申し出ました。ジョアン(以下ジョー)は、この事件は「コードR(レッド)」によるものだと主張します。「コードR」とは基地内で使われる通用語で、規則違反やミスをした兵士に暴力的制裁を加えることを意味するのでした。


2)オーナー弁護士指名

上司は、ジョーの内務には有能であっても法廷技術は未熟なため、希望を受け入れず、この事件の早期解決を目指し海軍法務総監部の法務官ダニエル・キャフィ中尉(トム・クルーズ)にオーナー弁護士を指名しました。キャフィは新米でしたが司法取引に長けた法務官で、9か月で44件の示談を成功させていました。

キャフィと補佐をするサム中尉(ケヴィン・ポラック)はジョーと会い話を聞きますが、法廷で彼らの無実を証明するべきだと考えるジョーと取引で傷害致死にして軽い罪で済ませるべきだと考えるキャフィはことごとく対立しました。


3)容疑否認

ドーソン上等兵は自分たちが暴行したことは認めるが、殺してはいないと主張していました。しかもドーソンたちは海兵隊の規律を守り上司であるケンドリック中尉(キーファー・サザーランド)の命令(コードR)に従ったのだから無実であると訴えていました。しかし軍医の判断は口に押し込んだ布に毒が染み込ませてあり、被害者はその毒の中毒で死亡したというものでした。


4)真実はどこに

実は被害者のサンティアゴは落伍兵であり、転属を望んでいました。それを知ったこの基地最高責任者のジョセップ大佐(ジャック・ニコルソン)は被害者に対する「コードR」を命令していました。マーキンソン中佐(J・T・ウォルシュ)はこの決定に反対しますが、国家安全保障会議のメンバーでもあるジョセップ大佐の決定には誰も歯向かえなかったのです。

 

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キャフィたちはキューバまで行きジョセップ大佐たちから事情を聞きました。ジョセップ大佐は「サンティアゴの転属を許可し、彼は朝一番の便でキューバを離れる予定だった。自分はコードRの命令など出していない」と言いました。

裁判をしても勝ち目はないとキャフィ中尉は判断していましたが、ジョーの熱意とドーソンの「誇りは失いたくない」という主張を聞き入れ法廷で戦うことを決意しました。


5)軍法会議

検察側の検事であるロス大尉(ケヴィン・ベーコン)は被告2名を殺人、殺人共謀、軍規倫理違反の罪で起訴しました。弁護側は被告人の無罪を主張し、軍の裁判が開始されることになりました。

 

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検察側は被害者が海軍捜査局にドーソン上等兵が違法発砲をしていたのを目撃したという内容の手紙を書いたことで被害者を恨み、口封じのため毒殺したと主張していました。また被害者の死因は毒による中毒だったと証明するために軍医を証人として呼び、罪を立証するのでした。


6)無罪の主張

弁護側はキューバの基地内には国から禁止されている暴力の制裁を「コードR」と呼び今も存在すること。そしてその命令が当日出されたことをなんとか立証しようとしますが、決定打は見つかりませんでした。

検察側の証人の出廷した小隊長たちは会議で「サンティアゴには手を出すな」という命令がケンドリック中尉から出たのにドーソンは命令に背いて暴行したと証言しました。しかしドーソンはその5分後にケンドリック中尉が自分のところへ来て「コードR」を命令したと主張しました。それを証明するためには現場にいたマーキンソン中佐の証言が必要でしたが、マーキンソンは行方不明になっていました。

ところが、キャフィのところへマーキンソンが密かに来て「転属願いはジェセップによって却下され、証明書は後から偽装したもの。ジェセップは自らコードRを発令した」と密告しました。これで勝てると喜んだのもつかの間、いよいよ出廷となった時、直前にマーキンソンは自殺してしまいました。

残る方法は法廷にジェセップ大佐を証人として呼び出し、彼の口から「自分が命令した」と言わせることのみになりました。しかし大物のジェセップを呼び出し、そこで彼の証言が得られなければ、逆にキャフィが軍事会議にかけられてしまします。それでもキャフィは戦うことを選ぶのでした。


7)対決

法廷で向き合ったキャフィとジェセップ大佐は激しくやり合います。キャフィは翌日転属するはずだったサンティアゴが何の荷造りもせず、家族にも連絡していないことは不自然だと主張し、さらに「命令は絶対だ」と言うジェセップに「サンティアゴに手を出すなと命令したなら転属させる必要はなかったはずだ」と反論します。

 

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キャフィはプライドの高いジェセップの感情を揺さぶって、怒り狂ったジェセップはついに「コードR」の命令を「そうだ!俺が出した!」と叫びました。これはジェセップが自らの犯罪行為を認める重大発言だったのです。


8)エピローグ

陪審員の評決は殺人と殺人共謀に関しては無罪、しかし軍規倫理違反に関しては有罪として、被告人2名は除隊処分となってしまいました。それでもドーソンは違反命令に従った自分の非を認め、軍人として守るべきは、弱者のサンティアゴの方であったと、この判決を受け入れました。

キャフィはドーソンに「名誉に軍服は必要ないぞ」と声をかけ、ドーソンは敬意の籠った敬礼で答えたのでした。

 

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3.まとめ

軍隊を描いていますが戦闘シーンなどは全くなく、すったもんだの法廷闘争も、「終わり良ければすべて良し」と感じてしまう後味のいい映画でした。