凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』人気冒険小説を映画化したアドベンチャー・エンターティメントです!!

 

この映画『サハラ 死の砂漠を脱出せよ(Sahara)』は、2005年にアメリカで製作されたアクション映画です。クライブ・カッスラーの人気シリーズ小説の映画化作品で、監督は、ブレック・アイズナーで、マシュー・マコノヒーペネロペ・クルスが共演しています。

目次

 

 

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1.紹介

言ってみれば、『スターウォーズ』とか、『パイレーツ・オブ・カリビアン』とか、そっち系の作品で、映画として見応えがそんなにあるわけではないけれど、見ている間は普通に面白く楽しい、そんな映画です。

『内戦』『産業廃棄物』『暗殺』といった物騒なテーマを、とにかく軽いノリとパワー全開の映像で楽しく見せてしまいます。

序盤はまさに登場人物の紹介って感じで、ややかったるく、そんな中でも、ペネロペ・クルス演じるエヴァは「謎の病気」がらみで、名作『アウトブレイク』のような緊張感とホラーテイストで結構ドキドキさせられます。
でもそれも期間限定で、トレジャーハンター組のダーク&アルと合流してからは否応なしに陽気なアドベンチャーへと様変わりします。

ナイジェリアのラゴスや、マリのラベザンガ、アッセラーに、マリの首都バマコなど、知らない都市の風景や行き交う人々、彼らの暮らしなどは興味深く見れました。
作中のニジェール川は、ギニア山地からマリ、ニジェール、ナイジェリアへと流れ、ギニア湾へ注ぐ大きな川です。夕日に映えるラクダと砂漠や、渓谷の景色が美しく描かれています。


2.ストーリー

1)プロローグ

南北戦争末期、南軍最後の甲鉄艦テキサスはある重大な積荷と共に、北軍の包囲下にあったリッチモンドから脱出を果たしました。そしてこれ以降、テキサスの姿を見た者はありませんでした。


2)トレジャーハンター

時は移り現代。海洋学者ダーク・ピット(マシュー・マコノヒー)は、アメリカ政府に属するジェームズ・サンデッカー提督(ウィリアム・H・メイシー)率いるNUMA(国立海中海洋機関)の一員であると同時に、世界中のあらゆる場所に眠っている秘宝を探し出すトレジャーハンターでもあります。
そんな彼は提督をはじめ仲間内からの評判はいいのですが、仕事の舞台がアフリカになる度に「甲鉄艦テキサスは、アフリカの奥地に眠っている」と主張して譲らず、この点に関しては冷ややかに見られていました。

ダークがそう主張する根拠は、南北戦争と同じ時代にダカール灯台守が記した記録に「銀色の見たことのない船が、嵐の海に浮かんでいた」とあったことだけです。大海を渡ることを前提に作られていない甲鉄艦で、それも川を遡って内陸へ移動するなど不可能だと提督らは言いますが、ダークは「南軍最後の甲鉄艦が北軍の手に渡ったり沈められたりしないように、彼らは大西洋を横断してアフリカへ向かいました。嵐の年なら海も川も水位が増して、内陸へも入れる」と言うのでした。


3)謎の疫病

ナイジェリアの砂漠の村でWHOの医師エヴァロハスペネロペ・クルス)はフランク・ホッパー博士(グリン・ターマン)と患者を診察していました。エヴァの見解では伝染病だと言う事で、フランク博士にのマリに行って調査したいと進言しましたが、マリは戦闘地域の為無理だと言われました。
エヴァは患者の妻の話を聞いて、灯台の宿舎に行くと、一人の男が病気で死んでいました。病状は同じでした。

 

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砂浜を歩くエヴァを3人の男が襲いましが、その時アメリカ人男性がエヴァを助けます。男はトレジャーハンターのダークでした。

提督の船で目覚めたエヴァはキングバディーオの墓の発見のパーティに博士と共に参加しました。そこで実業家のイヴ・マサード(ランベール・ウィルソン)を紹介されマリへ行くことの手助けを求めました。しかしイヴは乗り気ではありませんでした。


4)死の船

ダークはある男に沈没船に積まれていたと言われる金貨を買いました。ダークはアメリカの財宝を積んだ船が、この周辺に眠っていると信じ、提督に金貨を見せ探索の許可をもらうのでした。

そしてアル・ジョルディーノ(スティーヴ・ザーン)とルディ・ガン(レイン・ウィルソン)の3人で提督のボートに乗って探すことになりますが、そこにエヴァと博士が待っていて、途中でマリに降ろしてくれと言われ受け入れました。マリに着き、ダークはエヴァに仕事が終わったらプライベートビーチへ二人で行こうと言って、エヴァを送り出しました。

ダークは途中の村で長老から、かつて帆の無い黒い船が来て川を遡って行ったまま戻らなくなり、その後、川は干上がったと言う話を聞きました。そしてその船をここでは死の船という事も聞きました。

そのころイヴはマリでザテッド・カジーム将軍(レニー・ジェームズ)と会っていました。イヴは将軍に金を渡し違法な商売をしていました。そしてエヴァを襲わせたのもイヴとカジーム将軍でした。


5)全滅の村

ダークら3人が川を遡っていると、軍の兵士に襲われました。攻防の末、ボートを自爆させ逃げ切りました。

アッセラーの村に着いたエヴァと博士は死体だらけの村が全滅したことを目の当たりにしました。そして原因が井戸にあると考えたエヴァは井戸に降りましたが、そこにカジーム将軍と兵士がやって来て博士を拉致し射殺しました。この光景を隠れて見ていたダークらが将軍が立ち去ったあと襲撃しエヴァを助けました。


6)沈没船と毒

4人で砂漠を抜けていると、トゥアレグ族の男たちに捕まり、村に連れていかれました。村を率いるモディボ(ポーリンF.フォドゥオプ)にエヴァが伝染病の原因を調べていると言うと、村の患者を見せました。エヴァの調査で、伝染病ではなく地下水に毒が混じっていることがわかりました。

 

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そのころアルが地下の洞窟で沈没船の壁画を見つけました。それを見たダークは、ここは元々川で、この近くに沈没船が埋もれていると確信しました。

そのころ提督は、ナイジェリアでカール(デルロイ・リンドー)という男にダークらの救出を依頼していました。


7)ソーラタワー

ダークらとエヴァ、そしてモディボと兵士たちが、イヴの建てたソーラタワーに向かいました。広大な地下室には化学廃棄物が捨てられていました。これが病気の原因であることが判明しましたが、カジーム将軍の兵士らに捕まりました。しかしながら、ダークとアルはジープで護送される最中に逃げ出しました。

 

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エヴァはイヴに気に入られ、死んだことにされイヴに軟禁されました。しかし地下廃棄物を見つけられたことにより、イヴはタワーを爆破してヘリでエヴァと逃げる計画を立て実行しますが、ダークによってエヴァを奪い返されました。アルはタワー内の爆破装置を見つけ危機一髪で破壊しました。


8)大逆転

逃げ出したエヴァとダークらは砂煙の中に沈没船を見つけました。沈没船に入り込み、大砲でカジーム将軍のヘリを撃ち落としました。その時、背後の崖の上にはモディボの兵士たちが大挙して身構えていて、カジーム将軍の兵士らは降伏しました。

 

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7)エピローグ

生き延びたイヴが高級レストランで食事をしていました。ウエイターに成りすましたカールは毒入り水を差しだすとイヴは飲み干しました。

一方ダークとエヴァは約束通りプライベートビーチで仲睦まじく楽しんでいました。


3.四方山話

1)装甲艦

冒頭にテキサスという装甲艦が現れますが、どう見ても本物とは思えず、それゆえ、このとんでもない物語への真否感情が影響します。そこで調べると、装甲艦テキサスは実在したものの、戦争には間に合わず、1864年まで起工されずに、北軍が鹵獲した時点では未だ艤装中でした

本作に登場する装甲艦の絵柄によく似たので、CSS アーカンソーCSS Arkansas)というのがありました。
アメリカ連合国海軍の装甲艦で、南北戦争西部戦線で活躍し、1862年7月15日にはビックスバーグの北軍封鎖艦隊を突き抜け、自身の損害を上回る損害を北軍に与えたそうです。最終的には北軍による鹵獲を防ぐため、乗員の手で自沈しました。

 

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2)原作

原作のシリーズは「NUMA」という海洋探査機関の隊員であるダーク・ピットと仲間が伝説の遺物や、歴史に埋もれた財宝を探すアドベンチャー小説です。
国家や企業、武装組織などが登場し、アクションの連続で読み応えがあると共に、歴史や科学に基づいたストーリーが現実感を醸し出しています。

ちなみに、このNUMAは小説内では海洋調査や沈没船の引き上げ、そのた宝探しや陰謀解決などの活動をしていますが、実は作者クライブ・カッスラーが本の印税を基に実施に立ち上げてしまったんです(笑)
 しかも、本当に沈没船を引き上げたりと成果もあげています。

本作については、シリーズの『死のサハラを脱出せよ!』(原題は映画と同じく、Sahara)を原作としていますが、脚色が多いことから、カッスラーは「製作側が自分の了承なしに大幅に脚本に手を加えた」とし、制作会社を提訴する動きを見せています。


3)評価

本作には否定的な評価が下されていて、映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには171件の批評家レビューがあって、支持率は39%、平均点は10点満点中5.2点となっています。全体の批評を総括すると「馬鹿げた脚本による底の浅い冒険映画」でした。

また、製作費1億3千万ドルに対し、興行収入は1億1千9百万ドルで赤字となったようです。

 

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4.まとめ

細かい設定に疑問を持ったり、突っ込みをしたら「負け」の、気楽に楽しむべき「冒険活劇」です。映画はフィクションだから都合よくても当たり前です。
そうはいっても都合がよすぎて、ポンコツ飛行機のランドセーリングや100年以上前の大砲で飛んでるヘリコプターを一発撃破など感心してしまいます。