凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『スピード』ノンストップ・アクションムービーの傑作です!!

 

「ノンストップ・アクション・ムービー」とも「ジェット・コースタームービー」とも云われて、偽りの無い次から次へと繰り広げるられるアクションは、血沸き肉踊り時を忘れさせます。1994年公開の映画ですが、今でも、何度もドキドキさせられます。

 

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その人気は、1994年以来、TVのロードショー番組でもヘビーローテーションされていることや、翻訳の日本語版が3編4編あることも、供給側と視聴者側双方に高く評価されていることの証でしょう。

この映画は、インディ・ジョーンズプロジェクトAダイ・ハード、他、数々の名作アクション映画が生まれた1980年代を経て、幾多のアクション映画がシリーズ化され、落ち着いてきた中でそれらを凌駕する勢いで登場しました。ただ、続編も製作されましたが、出来もいまいちでそれっきりになってしまったのは残念なところです。

 

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ロサンゼルス市警察SWAT隊員であるジャック・トラヴェン(キアヌ・リーブス)はオフィスビルのエレベーターに爆弾が仕掛けられ、乗客達が閉じ込められる事件に対処し、マクマホン分隊長(ジョー・モートン)や同僚のハリー(ジェフ・ダニエルズ)達と共に爆弾を排除、乗客達を救出しました。

エレベーターの落下をビルの屋上に設置されたクレーンで食い止めたのですが、重さに耐えられずズルズルと徐々に落ちる間の救出にパニックを組み込んで映画冒頭のエピソードとしては秀逸のデキと云って良いでしょう。

逃げた犯人、ペイン(デニス・ホッパー)は後日、とある路線バスを爆破してジャックに電話を掛け、ジャックを激怒させました。ジャックのコーヒータイムと爆破のタイミング、さらにはそのバスに顔なじみの運転手が乗りこんだ直後でした。と見事なシナリオなのですが、どうして犯人は場所と時間を知り得たのか解りませんが、まぁ、聞くのはヤボというものでしょう(笑)。

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その電話の内容は、路線バスに爆弾を仕掛けたことであり、ジャックに対応させると同時に身代金を要求することでした。信管は速度測定系に連動し、バスの速度が一度でも時速50マイル毎時(約80km/h)を越えると安全装置が解除され、更に、速度がこれを下回ると爆発すると云うものです。


この映画の設定が、「新幹線に爆弾が仕掛けられ、時速80㎞以下になると爆発する」という設定の『新幹線大爆破』(1975年)にそっくりなのは有名な話ですが、実はもう一つ良く似た映画が存在して、それがジーン・ワイルダー主演の『大陸横断超特急』(1976年)です。

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その内容は、主人公が、特急列車に乗った時、偶然ある女性と出会って事件に巻き込まれ、途中からパトカーや飛行機など次々と乗り物を換えながら追跡し、最後は主人公とヒロインを乗せたまま列車が暴走する、というものでした。

しかしながら、『スピード』の脚本を書いたグレアム・ヨストは、黒澤明原案の『暴走機関車』のシナリオを読んでストーリーを思い付いたと公言しておりますが『暴走機関車』には、爆破の脅迫も予告もなく、スピード80Km/hの表現はどこにも出てきません。止まらない乗り物の中でのパニックぐらいの共通項しかなさそうです。色んな映画からちょっとずつ影響を受けている可能性も否めません。

このあと、バスがハイジャックされたものですから、次から次へと問題が立ちはだかります、当たり前ですが、バスは80㎞で爆走しているのでやたらと物や自動車にぶつかります。あげく、飛行場で旅客機にぶつかり、ラストシーンでは地下鉄が地上に飛び出してしまいます。

 

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この様に、派手なアクションシーンが多い『スピード』ですが、その製作費は驚くほど安く、たったの3000万ドルしかありませんでした。当初、監督を打診されたヤン・デ・ボンはあまりにも安い製作費予算に難色を示しつつも、既に50歳を超えていたこともあり、「これを逃したら映画監督になれるチャンスは無いかもしれない」と判断して引き受けることにしたそうです。

しかし、大掛かりなクラッシュシーンを撮るにはお金が掛かります。そこで、台風の被害で廃車になった自動車を安く買い取って撮影に使用するなど、様々な倹約と工夫を余儀なくされたそうです。

撮影に使用したバスは全部で12台。外観を撮るためだけに2台や、爆破用に1台、照明の発電装置を取り付けた車内撮影専用が3台という具合に、状況に応じて様々な車両が用意されました。その他にもジャンプ用、特注の油圧を使ってタイヤを沈ませた片輪走行用、爆弾処理シーンで車体の下側を映す用、スタント用などがありました。

 

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運転手が撃たれてヒロインのアニー(サンドラ・ブロック)が運転することになり、指示を無視してパニックになった女が逃げ出そうとして爆発させられて死に、犯人逮捕に向かった相棒のハリーが爆死させられたり、ヒューマン・エピソードが上手に仕込まれています。

高速道路でバスを15m飛ばしたり、バスの車載カメラをVHFでとらえてループ再生したものを犯人に送って騙している間に人質を救出したり、極めつけは、手錠で地下鉄のポールに繋がれ逃れようのないアニーを庇いつつジャックは衝突の危機に立ち向かうと云うような、ハードなアクションやトリックが満載です。

 

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ほんとよくできたストーリーです。25年も前の映画で、大掛かりなCGなども望むべくもない状況で、非常に良くこなれた脚本と、工夫を凝らした映像でいつの世でも礼賛されるような映画となりました。