凸凹玉手箱

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映画『ボーン・スプレマシー』人気シリーズ3部作の第2弾、さらにヒートアップします!!

 

ボーン・スプレマシー』は、2004年公開のアメリカ映画で、『ボーン・アイデンティティー』(2002年)の続編です。原作もロバート・ラドラムのベストセラーとなったボーンシリーズ3部作第2弾『殺戮のオデッセイ』の映画化ということになります。

前作でシチュエーション台を構築しさらに広がる展開を見せていて、ボーンが追われる立場から一転、彼女を殺害された事により追う立場に変わります。

ここが一番の違いで、前作は、いかにして逃げ切れるかが勝負だったのに対し、今回のボーンは積極的な攻めの姿勢で、敵の先手を行き、罠を仕掛け、問い詰めて、核心のCIAに近づいていきます。

単純だった前作から一転、ボーンが積極的に動くようになり展開やアクションも攻めの姿勢が溢れていてよりエンターティメントになりました。CIA部内の葛藤も前作以上に重点を置かれており、ボーンのストーリーとリンクし並行して進んでいきます。

見ていて緊迫感を感じるのもボーンの方では無くCIAの方にというのも逆転していて、全てがひっくり帰り、過激さを増した今作は立派な続編の成功例だと言うことになります。

 

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さて、前作のラストから2年、無事逃げ切ったジェイソン・ボーンマット・デイモン)とその恋人マリー・クルーツ(フランカ・ポテンテ)は、インドのゴアでひっそりと幸せに暮らしていました。

しかしながら、ボーンはいまだに過去の忌まわしい記憶から逃れられず、悪夢にうなされていました。そしてついに、彼の平穏な生活は刺客キリル(カール・アーバン)の手によって破られてしまいます。

マリーはボーンの身代わりに射殺されてしまい、ボーンはCIAが自分を始末しようとしていると推測して、マリーの復讐を決意します。CIAのパメラ・ランディ(ジョアン・アレン)は現場に残されたボーンの指紋から襲撃犯はボーンだと考えボーンを追うことになります。

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そしてベルリンからモスクワへと舞台は変わってゆき、次第に「トレッドストーン計画」に隠された真実が明らかになっていくことになります。

前作では記憶喪失で登場したボーンは、体が勝手に動いて敵をやっつけていましたが、今回は最初からエンジン全開。全力のボーンのアクションが展開します。

このシリーズの魅力は、ほかのドンパチアクション映画とは明らかに違った、非現実的なアクションの派手さではなく、ディテールにこだわったリアルアクションで、もちろんそれは映画上のリアリティであることは言わずもがななのですが、延々と続く殴り合いなんぞはよその話で、無駄なアクションが一切ありません。

 

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例えば、沈む車内で冷静に天井の空気を吸ったり、ナイフで襲ってくる相手に対し、丸腰なのでボールペンや冊子を丸めて武器として対抗し、都市部を逃亡する際に時刻表を見てからとっさに戦略を立てるなど、玄人好みのこうした細部を丁寧に描いている映画はあまり見かけません。

アクションシーンは前作に増して、スピード感があり、標準以上の出来で、マット・デイモンの全力疾走やみの軽さは舌を巻くほど軽やかで、アクションシーンはすべて自らでこなしたという彼の顔は、前作よりもさらに精悍になったようです。

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前作でも最大の見所であったカーチェイスは今回も健在で、ドイツのポツダムでロケをしたこのシーンは迫力満点な上、リズミカルな音楽に乗ってジャマな自動車をけちらし突っ走っていると敵のリーダー車が現れますが、その瞬間バックの音楽がいかにも真打登場で、勇壮な曲に変わってきます。

また、今回はボーンだけでは無くCIAのパメラも謎を暴こうとしているのが面白く、追う立場と追われる立場で敵対している者同士なのですが、求める謎は同じでした。

最初ランディは空回りしてウザい奴だと思わせていましたが、そのボーン逮捕に対する気持ちに、中盤から「思っていた彼とは違う」というような霧が出始め、疑念が沸き上がってくるという展開になってきました。

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ボーンとパメラそしてワード・アボットブライアン・コックス)の三つ巴はストーリーに厚みを与えていて、ランディのオフィス内の場面でも慌ただしく俳優が動き、遠くからブレつつズームになるなどドキュメンタリーチックな手法も緊迫感を与えています。

特殊工作員ならではの行動のディテールをしっかり描くことで主人公の凄さを印象付け、また、取り巻く環境を丁寧に描くことによって、ありえない展開にもリアリティを感じさせてくれます。このシリーズは、アクション映画としては平均よりはるかに上をいく出来ばえといえますね。