凸凹玉手箱

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映画『ワイアット・アープ』3時間の西部劇をあなたはどう評価します?!

 

西部開拓史の伝説のヒーロー、ワイアット・アープの波乱万丈の生涯を描いた3時間を超す西部劇の大作です。

 

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従来のワイアット・アープものと異なり、史実に沿った忠実で重厚な人間ドラマとして描かれています。

 

しかしながら3時間はいかにも長く、とことん事実に沿っているならば取捨選択して欲しかったし、フィクションを入れているなら尚更に無駄に長いということになります。

 

腕利きの保安官が無法者をやっつけるという勧善懲悪の復讐劇が描かれることが多い西部劇で、ワイアット・アープとOK牧場の決闘いえばその象徴的存在となっています。

 

しかしながら、この映画は彼の人生の幼少期から老齢期までを闇の部分も含めて描いていて、英雄視されている男の違う面をいくつも見せています。

彼は、妻を腸チフスで亡くし、自暴自棄になって酒に溺れ、喰いっぱぐれてて強盗をやったり、長く自分に尽くしてくれた女を捨てて違う女に走ったりします。

 

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強引なやり方で町から嫌われたり、一般に思われている英雄像とは大きく異なっています。その点では西部劇の銃撃戦というよりも、西部開拓期を生きたアープ個人の現実により迫った物語といえます。

 

ただし、どうにも納得がいかないエピソードが満載です。

子供時代のエピソード要りませんね。
最初の妻を失った悲しみで、どん底に落ちるのも共感できません。
妻礼賛がやたら長いです。
妻死亡で、家を燃やし、飲んだくれてホームレスまで落ちますか。
没落への展開が急すぎです。
善意の人を「偉そうな口ききやがって」と罵倒し、殴り倒して金を盗み、さらには馬まで盗みます。


実際、アープは若いころけっこうやんちゃをしたみたいですが、ここまでひどかったものか疑問です。ただ、西部開拓時代とあれば、荒っぽくなければ無法者を押さえられないだろうし、腕っこきであれば、州さえまたげば保安官補としていくらでもやり直せたのかも知れません。

 

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伝説の西部の英雄の負の面を、積極的にこれでもかと言わんばかりにたくさん見せてします。また、わかりやすい派手な撃ち合いにいくまでと、その後がいかにも長くなっています。

重要なエピソードも不要なエピソードも同じような比重で描かれているから、何を描きたかったのか焦点がぼけて、ただただ冗長で、切れ味もありません。

 

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また、アープの負の面を忠実に描くといっても主人公目線で描かれていて、憐れむべき悲劇の人っぽくみせられているように感じてしまいます。

この辺が、素直に演出を受け入れられないところもありました。このあたりは悪い意味のケビン・コスナーらしさで、ケビン・コスナーの評価はさらに下がってしまいました。

 

そのため、残念ながら世間の評価は低くてゴールデンラズベリー賞を受賞してしまい、興行収入も惨敗でした。