凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『アウトブレイク』今でも、今こそ観るべき映画です?!

 

この映画『アウトブレイク(Outbreak)』は、1995年制作のアメリカ映画で、製作・監督ウォルフガング・ペーターゼン、主演ダスティン・ホフマン、他にレネ・ルッソモーガン・フリーマンケヴィン・スペイシーキューバ・グッディングJr.、ドナルド・サザーランドの共演のサスペンス・アクションです。

目次

 

 

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1.紹介

科学的根拠に基づいて、細部まで丁寧に練られた、ローレンス・ドゥウォレットとロバート・ロイ・プールの脚本はもとより、監督ウォルフガング・ペーターゼンの演出は、アクションも交えてウィルス感染の恐怖をスピード感と迫力ある映像で描いています。

ウィルスがアメリカに侵入していく経路や、それが小さな町に蔓延していく緊迫感は、現実味があり迫力満点です。

さらに、当時、世の中で話題になっていた感染症エボラ出血熱よりも怖いウィルスという設定が、さらに恐怖感を煽ります。


2.ストーリー

1)プロローグ

1967年に、アフリカはザイールのモターバ川流域の小さな村で、原因不明の出血熱が流行し、多くの死者がでます。最初の犠牲者はモターバ川流域で、内戦に参加していた傭兵部隊でした。

しかしそれを隠すため、傭兵キャンプに、細菌防護スーツに身を包むアメリカ陸軍将校2人が調査に入りました。軍はひそかに感染者から血液を採取し、まだ生きている兵士とウィルス共々爆撃し、僅かに逃げ惑うサルを除いて、全てを消滅させました。

そしてその2人の将校のうちの一人はビリーと呼ばれていました。


2)凶悪ウィルス再び

それから時は経ち、同じモターバのある村で住民たちが兵士と同じ症状で苦しんでいました。そこで軍のUSAMRIID LEVEL4研究チーム指揮官のサム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)が、以前に起きた原因不明の出血熱と同じ症状である事に気づきます。その村は1967年に起きたウィルス同様に村ごと燃やされ、出血熱も壊滅されたと思われました。

 

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軍は密かに持ち帰ったウィルスを、最も厳戒レベルの高く厳重に閉鎖された研究室の中で、人知れずに研究していました。それは軍の秘密の実験を進めるための研究で、ウィルスを元に、細菌兵器を作ろうとしていたのです。

しかし、その後、1匹のサルがアフリカからアメリカへ密輸されます。実験用動物検疫所職員の、ジェームズ”ジンボー”スコット(パトリック・デンプシー)は、そのサルを、盗み出しました。そして、カリフォルニアの田舎町シーダー・クリークのペットショップに売る事に失敗したジンボーは、あろう事か森へとサルを放してしまいます。

その後アフリカから持ち込まれたサルに関わったジンボー、ペットショップのオーナー、ジンボーの恋人がモターバで起きた出血熱で次々と死亡します。


3)感染が空気感染へと変異の恐怖

病院に運ばれたペットショップのオーナーの血液検査をしていた血液検査技師が、不注意からウィルスに感染してしまいました。感染した事に気づいてなかったその検査技師は、彼女と共に町の映画館に行った事により、初期症状の風邪に似た咳やくしゃみから飛沫感染をさせ、町は一気にウィルスに侵される事となるのでした。

カリフォルニアに入ったサム達は、当初、空気感染は無いと聞かされていましが、隔離病棟とは違う部屋に交通事故で入院していた患者に同じ症状が出た為、ウィルスが空気感染する形態に変異した事に気づき、愕然とします。

感染してから2、3日で発病し、100%の死亡率であることと、ウィルスの感染力のスピードに危機感を覚えたサムは、軍上層部のビリー・フォード准将(モーガン・フリーマン)に相談します。そこで、サムは、知らなかった秘密に作られていた細菌兵器とそれを元に作られた血清の存在に気づきます。

その血清はペットショップに元から居た、すでに感染していたサルには効きましたが、他の患者には効かなかった事でウィルスが変異した事に気づき、アフリカから持ち込まれたサルがウィルスの保菌宿主で両方の抗体を持っているという結論にたどり着きます。

一方、サムのチームのケイシー・シュラー中佐(ケヴィン・スペイシー)やサムの元妻のロビー(レネ・ルッソ)までも、ちょっとした事故で感染してしまいます。

 

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4)保菌宿主を探せ

サムは保菌宿主のサルをやっとの思いで見つけ出し、捕獲したサルと軍が作っていた血清から、変異したウィルスに効く血清を作り上げます。

その事を軍に報告しますが、陸軍の生物兵器部門幹部のドナルド・マクリントック少将(ドナルド・サザーランド)は細菌兵器を開発していた事を隠蔽すべく、伝染の拡散を防ぐという名目として住民ごと消滅させる事を決定します。

 

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サムは、助手のソルト少佐(キューバ・グッディング・Jr)の操縦するヘリコプターに乗り、必死に軍と作戦遂行者に向けて、血清が出来た事で住民は助かる事を訴え続けます。その必死な訴えに心を動かされた軍上層部のビリー・フォード准将と爆撃機パイロットは目標地点に向かい、ヘリとニアミスして進路を変えます。

そして、投下された爆弾は海上で爆破し、シーダー・クリークと血清は救われました。

 

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5)エピローグ

フォード准将は、大統領に報告すべき情報を隠したことを理由に、マクリントック少将を解任して逮捕し、ブリッグス中佐(デイル・ダイ)に連行させました。

そして、合成された抗血清により、ロビーや感染者は回復に向い、愛を確かめ合ったサムとロビーは、再び一緒に暮らすことを約束するのでした。

 


3.四方山話

1)サルについて

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映像からでは、本作の陰の主役のサルはノドジロオマキザルとみられます。

このサルは、中央アメリカのホンジュラスニカラグアコスタリカパナマなどの他、コロンビアやエクアドルの海岸に沿って分布しているそうです。アルゼンチンにも幾つかの群れが生息していると言われていて、新世界ザルの中ではかなり広い分布域をもっています。

しかしながら、本作の舞台はアフリカのザイールとアメリカなので整合性がなく、単に可愛いく輸出入規制もないサルなので採用されたのでしょう。

飼育下での寿命は55年のものが知られていますが、ふつうは40~45年程度、野生ではこれよりも短く、15~20年程度、長くても30年と考えられています。

外敵にはジャガーオセロットなどがあげられますが、樹上にいることが多いため、大型のヘビやワシなどの猛禽類に襲われることの方が多いようです。

地域によっては食料として狩猟の対象になっていたり、森林開発などによって生息地が減少していますが、ノドジロオマキザルは生息地が分断されたりしても環境によく適応し、現在のところ、特に絶滅の危惧はないとされています。


2)アウトブレイクパンデミックの違い

この「アウトブレイク」という言葉は医学・医療の分野における疫学用語で、たちの悪い流行病や感染症の突発的発生に使われます。定義としては、一定の期間内に、特定の地域の特定の集団の中で、予想をはるかに超える規模の感染症が発生することを指す言葉です。

アウトブレイク」と「パンデミック」の概念はとてもよく似ている言葉ですが、使い分けに明確な境界があるわけではなく、ただ、「アウトブレイク」は限られた範囲における感染の流行を指していることから「集団発生」などと訳されたり、院内感染なども「アウトブレイク」と呼ばれますが、小規模なものではクラスターという言葉の方がよく聞かれます。

対して、パンデミックは病気が世界の複数の地域で同時に大流行すること、一定の地域から周辺地域へ大きな広がりを見せる感染が世界的規模に発展した状態を指すときに使われるようです。

パンデミックが発生した例としては、例えば、ペスト(黒死病)、コレラなどがあり、2002年に流行したSARSパンデミックになるおそれがあると危惧されました。今の新型コロナの流行などはまさにパンデミックと言えるでしょう。

このように、感染症の流行が始まる初期の段階で感染者が一気に発病することを「アウトブレイク」と呼ぶのがわかりやすいかもしれません。


3)豪華すぎるキャスト陣

今となってはアカデミー賞俳優の揃った超豪華となったキャストは、『クレイマー、クレイマー』『レインマン』などのダスティン・ホフマン、『ミリオンダラー・ベイビー』『許されざる者』などのモーガン・フリーマン、『リーサル・ウェポンシリーズ』などのレネ・ルッソ、『ユージュアル・サスペクツ』『アメリカン・ビューティー』などのケヴィン・スペイシー、『ザ・エージェント』などのキューバ・グッディング・Jr、『M★A★S★H マッシュ』『普通の人々』などのドナルド・サザーランド、『プラトーン』『プライベート・ライアン』などのデイル・ダイです。

 

4.まとめ

あらゆるジャンルが網羅された万能作品と言える、2022年の現在でも面白く観れる秀作です。