凸凹玉手箱

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映画『クール・ランニング』今観ても面白い感動スポーツコメディです?!

 

この映画『クール・ランニング(Cool Runnings)』は、監督ジョン・タートルトーブによる、1993年公開のボブスレーを題材にしたアメリカ合衆国のスポーツ・コメディ映画です。

目次

 

 

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1.紹介

1988年冬季オリンピックカルガリー大会での、ジャマイカボブスレー・チームの実際の活躍を基に製作された作品で、友情や努力することの尊さを描き人情味溢れる内容とラストは清々しい感動で締めくくります。

監督は、本作をきっかけに、『フェノミナン』(1996年)や『ナショナル・トレジャー』(2004年)シリーズでブレイクした当時、弱冠30歳のジョン・タートルトーブですが、会場や施設など、舞台となるオリンピックの雰囲気も良くでていて、ハンス・ジマーの音楽と、乗りのいいジャマイカン・ミュージックも効果的に使われています。


2.ストーリー

1)プロローグ

1987年の常夏の国・ジャマイカで、1988年ソウルオリンピックの陸上男子100メートル競走代表選手を決める選考会がありました。

父親も過去オリンピック100m走で金メダルを獲得し、代表最有力候補と目されていたデリース・バノック(レオン)はスタートラインに着きます。下馬評通りデリースはレース途中まで先頭を争いますが、隣のレーンを走っていたジュニア・バヴェル(ロール・D・ルイス)がバランスを崩して転倒します。

デリースとユル・ブレナー(マリク・ヨバ)の2人も巻き込まれる形で転倒してしまい、夏季オリンピック出場の夢は断たれました。

 

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2)思いついた名案

後日、委員会でレースのやり直しを訴えるデリースでしたが、取り合ってもらえません。デリースはその時、委員会室の壁に掛けられた写真に目を留めました。

そこには金メダルを首にかけてたデリースの父と共に、1人の白人男性が写っていました。その男は当時、ボブスレーで金メダルを2度も獲得したアメリカ人選手で、現在この町のプールバーにいると知らされます。その時デリースは、オリンピックに出場してメダルを獲るにはボブスレーが良い、という奇抜なアイデアを思いつくのでした。

今は肥え太り、ギャンブルに明け暮れていた元金メダリストのアービング・ブリッツァー(ジョン・キャンディ)をコーチに迎え、「手押し車レース」の名手で親友のサンカ・コフィ(ダグ・E・ダグ)と共にメンバーを募集しますが、加わったのは純朴だが気弱なジュニアと、彼に転倒させられた短気なユルという因縁の2人でした。

当然、団結力も皆無です。練習用のためのソリもありません。当然のことにジャマイカには雪は無く、草原の斜面で滑ったり、寒さ対策で冷凍庫に入ったりしました。

 

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オリンピック予選への遠征費用の捻出にも苦労しますが、結局ジュニアが無断で父親の高級車を売って調達しました。


3)辿り着いた予選

試合用ソリが無いままカナダに到着しますが、寒くて動けません。アメリカチームの練習用中古ソリを譲ってもらいますが、氷上をまともに歩けず滑って転び、練習できません。

現地では他者から嘲笑され、新聞にも冷やかし記事が掲載されました。また、アービングが選手当時、競技中の不正行為により金メダルを剥奪されていた事実も明らかになってきます。

酒場では他国選手から侮辱されて喧嘩となり、出場停止直前になるが、この事で団結力がつき、予選で通過基準タイムをクリアします。

しかしながら、競技委員会から「国際大会の出場経験が無い」との無碍な理由で失格にされますが、アービングによる必死の主張が実り、本戦出場の権利を得ました。

 

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4)感動の本戦

オリンピックの本戦1日目は緊張のうえ、強豪スイスチームのマネをしようとして自滅します。2日目は、話し合いの末に自分たちのスタイル「クール・ランニング」で臨もうと、ラップを歌いながら登場し、自己ベストタイムで8位に滑り込みました。

最終日、スタートは好調でしたが、途中でソリが壊れて激しく転倒します。しかし、4人は起き上がってソリを担ぎながら何とかゴールを目指しました。

その姿に、観衆や他国チームたちから万雷の拍手が沸き起こりました。かねてより息子の行動に憤慨し、息子を連れ戻すためべく現地を訪れていたジュニアの父もジャマイカ応援シャツを見せ、笑顔で見守る中、ジャマイカチームは完走を果たすのでした。

 

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3.四方山話

1)ボブスレーとは

①概要

ボブスレーは「氷上のF1レース」とも呼ばれていて、鉄製のシャーシに流線型のFRP製カバーをつけたそりに乗り、轟音を立てながら全長約1400m前後の氷の壁を疾走します。

②歴史

1924年の第1回オリンピック冬季競技大会から正式競技になっています。当初は男子だけの競技でしたが、2002年ソルトレークシティー大会から女子2人乗りが新種目として加わって、男子2人乗りと男子4人乗りを合わせて3種目となりました。

③ルール

そりは前方にハンドル、後方にブレーキを備えており、そりの下には前と後ろにそれぞれ2本のスチール製ブレード(ランナー)があり、ドライバー(パイロット)が前部のランナーをハンドルで操作しながら滑走します。

2人乗りではパイロットとブレーカーで組み、4人乗りはさらに2人のそりを押す人(プッシャー)を加えたメンバーで競技します。

競技は2日間で4回滑走して、タイムは1/100秒まで計測され、その合計タイムの一番速いチームが優勝となります。ます。

そりは総重量が重たいほど加速が付いて有利となるため、そりと選手の総重量は2人乗りで最大390kg、女子は325kg、4人乗りは630kgまでと決められています。

そりの最低重量も2人乗りが170kg、女子は165kg、4人乗りは210kgと決められており、重量を下回ると失格になります。

④見どころ

選手は静止したところからそりを力強く押し出し、加速させていきます。タイム計測は、スタート板の15m先の地点からが始まり、その先50m区間までのタイムをスタートタイムと呼びます。

この区間の所要時間は5秒前後で、自分の力で加速できるのはこの時だけとなります。従って、スタートタイムがそのままフィニッシュタイムに大きく影響するため、各チームとも全力を傾けて走ります。

その後、チームメンバーは加速をつけたそりにすばやく飛び乗り、どんどん加速していくそりを、パイロットがハンドルでコントロールして滑走していきます。

プッシャーやブレーカーは空気抵抗を減らすために低い姿勢でそり内に体を沈め、ブレーカーが、ゴールと同時にブレーキを引いてそりを止める役目を担います。

 

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2)実話との相違点

当時、確かに南国のチームの冬季オリンピック出場は話題になりましたが、実際は映画ほど惨めな環境のチームではなかったようで、映画用にかなり脚色はされているようです。

①手押し車レース

ジャマイカチームのプロデューサーが手押し車レースに着想を得ているのは事実ですが、そのまま手押し車レーサーがメンバーに加わるのはフィクションであって、登場人物は全て架空です。

②メンバー

映画では陸上競技のアスリートがオリンピックに出たい一心でボブスレーチームのメンバーになりますが、現実には地元の新聞に選手募集の求人を出しても反応がなかったために、ジャマイカ国防軍所属のアスリートから選ばれています。

③競技において

映画では4人乗りしか描かれていませんが、ドライバーとブレーカーは2人乗りにも出場しています。

選手団は現地で歓迎されていて、映画のように奇異の目で見られることはありませんでした。

チームを率いたコーチは試合の前にカルガリーを離れており、映画のように1人のコーチが大きな役割を果たしたという事実はありません。

映画では3日間開催されていますが、実際には2日間の開催でです。

オリンピックで転倒するのは事実でしたが、ソリの不具合ではなく、技術面で劣っていたからでした。

当時のジャマイカチームのレース映像も一部使用されており、転倒時のニュース映像も実際のものですが、選手は大会係員の手助けで速やかに救出され、係員がソリを押し、選手は歩いてゴールしました。映画のように自らソリを担いでゴールはしていません。


3)挿入歌

ジョニー・ナッシュの『アイ・キャン・シー・クリアリー・ナウ』をカバーしたジミー・クリフの曲は大ヒットとなりました。

 

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そして劇中で何度か歌われる『ジャマイカン・ボブスレーディング・チャント』は、ユル役のマリク・ヨバがオーディションで即興で作って歌った曲がプロデューサーに気に入られ、劇中で使われています。

 

 

4.まとめ

南国ジャマイカ冬季オリンピックに出場することの困難さや偏見、それらをバネにして仲間と共に超えていくスポ根ストーリーをコメディタッチでみせてくれれば面白くないはずがありません。