凸凹玉手箱

A Post-Baiby Boomer

映画『ワーロック』時代の変遷、友情、愛情、盛りだくさんの西部劇です?!

 

この映画『ワーロック(Warlock)』は、1958年に出版されたオークリー・ホールの同名小説を原作として、監督エドワード・ドミトリクヘンリー・フォンダ主演、リチャード・ウィドマークアンソニー・クイン共演の1959年に公開されたアメリカ西部劇映画です。

目次

 

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1.紹介

社会派監督として評価を得ていたものの、レッドパージ赤狩り)の矢面に立たされ、イギリスに逃れていたエドワード・ドミトリクの、ハリウッド復帰後の作品です。

正統派の西部劇ですが、悪に対する考え方や、阻害される人間の苦しみなどを盛り込み、男のロマンや正義感、それに絡む女心、さらには、身勝手な町民の心理などの描写ある異色の西部劇作品です。


2.ストーリー

1)プロローグ

1881年ユタ州の田舎町ワーロックでは、サンパブロ牧場のならず者エイブ・マキューン(トム・ドレイク)一味が、町を牛耳ろうと無法の限りを尽くしていました。

保安官補ロイ・トンプソン(ウォルター・コイ)は、町に現れたマキューンに通りに呼び出されるが、一味に辱められ追い出されてしまいます。

一味の中で、ジョニー・ギャノン(リチャード・ウィドマーク)だけは、そんなマキューンのやり方に嫌気がさしていました。


2)クレイとモーガン

町民は集会を開き、ハロウェイ判事(ウォーレス・フォード)やジェシー・マーロー(ドロレス・マイケルズ)の反対を押し切り、有名なガン・ファイターで請負保安官でもあるクレイ・ブレイスデール(ヘンリー・フォンダ)を雇うことにしました。

 

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クレイには、悪評高いトム・モーガン(アンソニー・クイン)がいつも付き添っていて、町民はそれを心配するのでした。

町に到着したクレイとモーガンは、ハロウェイ判事に、唯の人殺しだと罵倒されるが、二人は全く意に介しません。

その後クレイは、自信に満ち溢れた態度で町民に接し、モーガンは酒場に賭博場”フランス宮殿”を開きました。

夜となり、酒場で楽しむマキューン一味の前に、おもむろにクレイが姿を現し、一瞬、その場に緊張感が走ります。

一味の一人カーリー・バーン(デフォレスト・ケリー)が、クレイを挑発して銃を抜こうとします。

しかし、クレイはカーリーより遥かに早く銃を抜き、彼に銃を捨てさせ、マキューンに脅しをかけて、一味を退散させてしまいました。

同行していたジョニーは、卑怯な手を使おうとする仲間達を見限り、町に残ることにしました。


3)モーガンの企み

ジェシーは、クレイが町に来て以来、批判的な目で見ていたのですが、マキューンを追い払った彼に謝罪し、心を通わせるようになりました。

そんな時、モーガンはフェン・ジッグス(L・Q・ジョーンズ)からの情報で、クレイに恨みを持つ、リリー・ダラー(ドロシー・マローン)が町に近づいていることを聞きます。

モーガンは、町外れでリリーらを待ち伏せて、彼女に連れ添い、クレイを始末しに来た男の命を狙いました。

リリーらの乗った駅馬車は、途中、マキューンの手下で、ジョニーの弟ビリー(フランク・ゴーシン)達に襲われてしまいます。

男を射殺したモーガンでしたが、自分のことを人間扱いしてくれる、唯一の友クレイの敵は必ず仕留めてきたのでした。

町に到着したリリーらは、駅馬車の襲撃と連れが丘の上の何者かに殺されたことを、クレイに知らせるます。

クレイは、襲撃犯ビリーらを捕らえにサンパブロ牧場に向かい、モーガンは何食わぬ顔でリリーを迎えます。

かつて愛し合っていた二人でしたが、モーガンがリリーと婚約した男を、クレイに挑ませるように仕掛けて殺させたのでした。

その後、捕らえられたビリー達をリンチにかけようとする町民を制止し、クレイは郡保安官を待ことにしました。

ホテルに戻ったクレイは、リリーの婚約者がなぜ自分に挑んだのかをモーガンに尋ね、それを疑問に思います。

町民達は気勢をあげてリンチを強行しようとしますが、現れたクレイはそれを許さず騒ぎを鎮めました。


4)ジョニー保安官補

ビリーらを連行するために来た郡保安官は、ワーロックに保安官補を置こうとしますが、町民から志願者はなく、ジョニーがそれを受けました。

クレイのやり方に疑問を感じたジョニーは、リリーの連れを殺した男を突き止めようと、彼女から情報を得ようとします。

ジョニーが、クレイに挑む覚悟だと知ったリリーは、一旦は彼を見くびります。しかし、町で身寄りの無いリリーは、ジョニーの意外な誠実さに心を寄せるようになりました。

 

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クレイに心を許すようになったジェシーは、彼の紳士的な態度に惹かれるようになります。

その頃、裁判で無罪になったビリーらは釈放され、警告を無視して町に姿を現しました。

モーガンは、クレイがジェシーとの結婚を決意して、自分を見捨てるのではないかと考え始め、精神的に不安定になっていくのでした。

そして、ビリーらはクレイに復讐するため、通りで彼を待ち構えますが、ジョニーはそれを止めようとします。

クレイに立ち向うため、ビリーはジョニーを振り切りますが、太刀打ちできるような相手ではなく、あえなく射殺されてしまいました。


5)ジョニーの決断と町民の勇気

その後、マキューンが”取締官”を名乗ったため、殺し合いが激化することが必死となってきます。

その標的となるクレイに、身を引かせようとするモーガンでしたが、既にクレイの心の支えはジェシーであり、彼はモーガンの助けを必要としていませんでした。

ジョニーは、クレイやモーガンに、マキューンには手出しをしないよう、法の番人として警告します。

そしてクレイは、自分の役目が終わったかもしれないことをモーガンに告げるのでした。

サンパブロ牧場に行って、マキューンに町に入ることを止めさせるようと警告したジョニーは袋叩きに遭い、右手をナイフで刺されてしまいます。

マキューンの、卑劣な行動を見た一味のカーリーは、ジョニーに同情するようになりました。

翌日カーリーは、マキューンに単独で立ち向かおうとするジョニーに、町を出るよう説得します。

ジョニーはそれを拒みますが、殺されることが目に見えている彼の無謀な行動をリリーは非難し、クレイに助けを求めます。

クレイは、ジョニーに、人を殺す場合の自分を納得させる心得を伝授し、町が自立するためにも単独で方をつけようとする彼に、あくまで加勢しようとしました。

 

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そしてマキューン一味が町に現れますが、クレイを失いたくないモーガンは、彼に銃を向けて引き止めるのでした。

たった独りで一味に立ち向かったジョニーは、卑怯な手を使おうとするマキューンらを、カーリーと町民の協力で見事に倒しました。

ジョニーの気持ちが町民に伝わり、勇気を持って立ち上がったのです。


6)友との別れ

クレイは、自分を利用して、リリーに復讐したモーガンを責めジェシーの元に向かおうとします。

モーガンはクレイが町に必要なくなった状況を見て、町を支配するにはジョニーを殺すしかないと助言します。

しかし、クレイは、それを聞き入れずにその場を去り、モーガンは酒を煽り正気を失ってゆきました。

モーガンは銃を乱射し始めます。それを制止しようとしたクレイに町を出るよう言われ、それを見ていた町民は嘲り笑います。

リリーにも軽蔑の目で見られて、絶望したモーガンは、クレイを挑発し、銃を抜かせます。

一瞬早く、モーガンの撃った弾はクレイの帽子を飛ばしましたが、クレイの撃った弾はモーガンの胸板を撃ち抜いていました。

クレイは、モーガンを侮辱した町民を見限り罵倒し、酒場に火を放ち彼を弔います。

 

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ジョニーは、クレイに町を出ることを要求しますが、彼はそれを拒否し、決闘でけりをつけることをジョニーに告げました。

リリーにそれを告げたジョニーは、逃げるわけにはいかない気持ちを伝え彼女を抱きしめました。

燃え尽きた酒場にたたずむクレイは、ジェシーのために引退を決意していたのでしたが、再び他の町で保安官に戻ることを彼女に告げて同行を求めます。

しかし、ジェシーは、自分はモーガンにはなれないと言って、それに同意できずに立ち去ってしまいました。

翌朝、まだ傷の癒えない右手の包帯を振り払い、町の大通りで、クレイを待ち受けるジョニーは覚悟を決めます。

勇者の証である黄金の拳銃を腰に、颯爽と通りに現れたクレイは、一瞬の隙も見せずに、ジョニーよりも早く銃を抜きました。

しかし、クレイは、拳銃を捨てて笑みを漏らし、潔く町を去ってゆきました。


7)エピローグ

クレイを尊敬の眼差しで見つめるジョニーに、安堵の表情を浮かべたリリーが寄り添います。

そして、悲しみにくれるジェシーは、クレイの後姿を、いつまでも見つめるのでした。


3.四方山話

1)オマージュ?

この作品、冒頭は、『七人の侍』(1954年)の集会で保安官を雇おうとするあたり、クレイとモーガンの雇われの身の二人は、『OK牧場の決斗』(1957年)のワイアット・アープとドク・ホリデイの関係にも似ています。


2)特撮?

西部劇には珍しく特撮(?)も使っていて、丘の上から見下ろすワーロックの町並みはグラスペイントで、まるで、絵画のような美しさになっています。


3)共演、競演?

出来過ぎと思ってしまうほどの、優雅でスマートなヘンリー・フォンダの、背筋を伸ばし大股で歩く姿には惚れ惚れします。自信みなぎる体全体から発する貫禄は、強面で巨体のアンソニー・クインをも圧倒します。

最後には絶望してしまうアンソニー・クインの共演は、作品自体のスケールアップに大いに貢献しています。

リチャード・ウィドマークの、悪党一味からまさかの一転、正義感溢れる保安官補役も、翌年の『アラモ』 (1960年)を凌ぐ好演でした。

 

 

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4.まとめ

アンソニー・クイン扮するモーガンのクレイへの思いが切なく悲しい、この映画の一等賞はアンソニー・クインと言って良いのではないでしょうか?