凸凹玉手箱

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映画『ヴェノム』おどろおどろしくお茶目なキャラのモンスターです?!

 

この映画『ヴェノム(Venom)』は、マーベル・コミックの同名のキャラクターを主人公にした、監督ルーベン・フライシャー、主演トム・ハーディによる、2018年のアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画です。

目次

 

 



1.紹介

マーベル・コミックのキャラクターである、”スパイダーマン”の宿敵ヴィラン”ヴェノム”を主人公にした作品で、シリアスでどちらかというとホラー映画のようなイメージではありますが、実際は、アメコミらしくポップなエンタメ作品となっています。

ストーリーの軽さから批判的な意見も多いようですが、街中でのカーチェイスやヴェノム独特のアクション、そして魅力的なキャストも見ものです。


2.ストーリー

1)プロローグ

マレーシアのとある場所で宇宙探査機が墜落します。この探査機の持ち主であるライフ財団のCEOカールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)は環境破壊でいずれ人類は滅びる運命にあることを信じていました。そこで、居住可能な惑星を探すために宇宙へ探査船を向かわせていました。

探査船は奇妙なサンプルを採取しましたが、移送の途中で墜落させられてしまったのです。そのサンプルとは絶大なパワーを持つ謎の地球外生命体でした。墜落した探査機から逃げ出したこの地球外生命体は人の身体を伝ってライフ財団本社のあるサンフランシスコへと向かっていました。


2)ライフ財団の陰謀

一方、サンフランシスコでは正義感溢れるジャーナリスト、エディ・ブロック(トム・ハーディ)がライフ財団の取材を行っていました。

ある日、エディは弁護士の恋人アン(ミシェル・ウイリアムズ)のパソコンを盗み見て「ライフ財団が人体実験で死者を出している」という情報を知ってしまいます。

 

 

その真相を追求しようと、ドレイクを直撃し、情報を突きつけました。エディのしつこい追及に、イラだったドレイクは取材を中断させて去ってしまいます。エディは、この無謀な取材により会社をクビになってしまいました。

騒動に巻き込まれ同じく会社をクビになった恋人アンからは別れを告げられてしまい、エディは仕事も家も婚約者も失うことになってしまいます。

自暴自棄の生活を送るエディでしたが、情報は真実でした。ライフ財団は秘密裏に回収した3体の地球外生命体”シンビオート”の生態を知るため実験を繰り返していたのです。ホームレスを連れ去ってはシンビオートと融合させ、同化の失敗で何人もの死者を出していたのでした。

ライフ財団の科学者ドーラ(ジェニー・スレイト)は、この非人道的な人体実験に危機感を感じ、ドレイクに隠れてエディのもとを訪れます。

エディは一度は断るものの、ドーラは、「真実の報道をしてほしい」との懇願に、正義感からドーラに手を貸すことを決意しました。


3)ヴェノム誕生

早速、エディは、ドーラに誘われて研究所に忍び込みます。そこで囚われていた知り合いのホームレスを見つけ、エディが助け出そうとしたその時、シンビオートに寄生されてしまいました。

エディの身体にとてつもない変化が起き始め、混乱しながらもライフ財団から逃げ出しました。

一方、所有のシンビオートのうち2体を死なせてしまったライフ財団にとって、エディと融合した最後の1体のシンビオートは貴重なサンプルでした。

ライフ財団は激しい猛追撃を繰り返しますが、エディに融合したシンビオートはいとも簡単に相手を倒していきます。肉体がなければ生きることのできないシンビオートはエディに直接話しかけ、協力するならエディを守りパワーを与える取引を持ちかけます。

エディは、肉体の変化に困惑しながらもパワーに魅入られ、これを承諾します。こうしてヴェノムは誕生しました。

 



4)造反者

一方ライフ財団の研究所では、シンビオートのライオットが、マレーシアから寄生を繰り返しやってきました。ライオットがドレイクに寄生し、ライオットは財団所有の宇宙船で仲間たちを呼び、地球に移住させようと考えていたのでした。

エディを守る約束から、ライオットの仲間であるはずのヴェノムでしたが、ライオットと戦うことを決意します。ドレイクは、ライオットに寄生され、研究所で暴走して宇宙船の発射準備を始め、離陸のカウントダウンがスタートします。

ヴェノムも身体を張って阻止しようとするのですが、ライオットは数倍も強く歯が立ちません。アンは、そこへ駆けつけ、スピーカーを使ってシンビオートが苦手とする周波音を流します。

2体のシンビオートは、戦いの中で火を噴く宇宙船に飲まれ姿を消しました。ライオットの暴走を阻止し、宇宙船の離陸を止めることができたのです。

 



5)エピローグ

エディは、ヴェノムを失ってしまったものの肉体はかろうじて助かりました。アンにお礼を言いながらも内心では復縁を期待します。しかしながら、「ダンにはあの時のキスのことを黙ってて」といわれました。

そこへ聞こえてきたのは「俺たちは彼女を取り返す気なのになぁ」と。

エディは、聞き覚えのある声に少し高揚し、アンと別れながらも、ヴェノムに共生の条件を言い含めるのでした。


3.四方山話

1)制作と評価

本作は当初、プロデューサーのアヴィ・アラッドによって2007年にスパイダーマンシリーズからのスピンオフとして企画されたものでしたが、2017年3月にソニーが映画の権利を所有するマーベルのキャラクターを取り込んだ新たなユニバースが始動し、「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」(SSU)の第1作目となります。

作品への期待とは裏腹に批評家の評価は低く心配されたものの、公開されると人気は急上昇しました。製作費に1億ドルをかけた本作は、北米興行収入は2億1400万ドル、全世界では8億5600万ドルのメガヒットとなりました。


2)トム・ハーディ

主演のトム・ハーディは、イングランド・ロンドン出身で、広告およびコメディ作家の父エドワード・ジョン・“チップス”・ハーディと、画家の母エリザベス・アンのもとに一人っ子として生まれて、Reed'sSchool、TowerHouseSchool、ロンドン・ドラマセンターなどで演劇を学びました。

2001年にリドリー・スコット監督『ブラックホーク・ダウン』でハリウッドデビューしました。映画のほか舞台俳優としても精力的に活動しており、2004年には舞台『In Arabia, We'd All Be Kings』でのパフォーマンスでローレンス・オリヴィエ賞にノミネートされています。

2010年の映画『インセプション』のイームス役で国際的に知名度をあげ、同年はじめにはフィリップ・シーモア・ホフマン監修の舞台『The Long Red Road』で主役を演じ、好評を博します。それらの成果を踏まえ、翌2011年2月の第64回英国アカデミー賞ライジング・スター賞を受賞しました。

2012年公開の『ダークナイト ライジング』では悪役のベインに抜擢され、2013年、スティーヴン・ナイト監督の『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』で主演を務めました。

2015年には『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で主役のマックス・ロカタンスキーを演じ、同年にはアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品『レヴェナント:蘇えりし者』でアカデミー助演男優賞にノミネートされました。

誤解を恐れずに言うならば、トム・ハーディは、ある種のリミッターを必要とする俳優かも知れません。その爆発的な存在感ゆえ『ダークナイトライジング』では顔面マスクを装着し、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』では特殊車両の先端に縛り付けられ、『レジェンド 狂気の美学』では心身を分裂させるかのように双子のギャングを演じてきました。

そうやってオーラを抑え込むことで初めて我々はその魅力を直に受け止められるのです。


3)ヴェノム

マーベルコミックのスパイダーマンシリーズに登場するヴィラン、ヴェノムですが、彼は一度、サム・ライミ版の「スパイダーマン3」(2007年)にて実写映画デビューしており、その際には一度スパイダーマンに寄生し、その後トファー・グレイスが演じたエディ・ブロックに寄生しヴェノムとして襲い掛かりました。

本作はソニー製のマーベルコミック映画であり、MCUと直接にはかかわらない設定ですが、これまた独自の世界観を持っています。

本作はヴェノムのビジュアルが出たときから、結構ガチなモンスターで、実際のところ若干「エイリアン」に似たところも無きにしも非ずで、グロい描写が期待されていましたが、その立ち居振る舞いに、ホラー要素やグロさはあまりありません。

実はそこが今作を悪いといえなくさせる素敵なポイントで、エイリアン寄生ホラーではなくて、各所で言われているみたいですが、ド根性ガエルです。ヴェノムはぴょん吉なのです。


4.まとめ

本作は、巻き込まれたエディと押しかけエイリアンのバディ映画なのです。このコンビがぶつくさ言い合いながら、時にケンカしつつ仲良く頑張る映画になっています。

ちょっとヴェノムが子供っぽくて、甘えるようなことやいじけることもあったりして、期待していた方向ではないにしろ、一つの魅力的な要素があるので、ここが気に入ってしまえば楽しめますね。